Intel独走状態が続き、随分と時間が経過した。
Zenは大幅に跳躍する
AMDが今年末から来年にかけて新しいアーキテクチャのCPU「Zen」を投入する。
前々から言われていた計画なので、Zenの存在自体は知られていたが、その内容についてようやく判明してきたところも多く、私個人としては期待している。
旧来のAMDコアは、Bulldozer系CPUで2CPUが1モジュールとして稼働するよう設計されていた。その為、整数演算ユニットは1モジュールの中に2ユニット含まれていても、命令キャッシュからデコーダまでのフロントエンドと、浮動小数点演算装置及びL2キャッシュは2CPUで共用するという手法を採っていたため、Intelの同一クロック数コアと比較すると搭載しているCPUコア数の割に実行性能が伸び悩むという傾向があった。AMDとしてもこの傾向がある事は分かっていたようで、Bulldozer系コアはユニット数が少ないという事を逆手に取ってとにかくクロックを上げて実効性能を上げていくという手法を選択したようだが、時代はワットパフォーマンス向上に向かっていたこともあって、結果的に消費電力が上がってしまうBulldozer系コアはIntelコアの後塵を拝する事となった。
テクノロジーという意味でAMDはエポックメイキング的メーカーだとは思うが、それが完全にマッチすれば良いのだが、たまにこういう事が起こり得る為、今回のようなIntelとの決定的な差を生み出してしまったのではないかと私は思っている(他にも要因はあるのだが)。
そうしたBulldozer系コアから、今回のZen系コアへと変貌する事で、AMD側はクロック当たりの整数命令実効性能は40%向上する、と発表した。
通常、ここ最近の技術的性能向上率において、Intel側からすると40%向上というのは、あり得ない数字と言える。だがそれを可能にしたのは、アーキテクチャの変更だけによるものではなく、製造プロセスの変更も合わせての話であり、それら複数の技術を組み合わせた結果での達成率となる。
一気に14nm FinFETへ
現行のAMDのCPUは40nmプロセスで製造されている。APUでも28nmプロセスでの製造であるため、14nmプロセスでSkylakeシリーズを製造しているIntelと比較すると、この時点で性能が伸び悩む事は明確である。
プロセスが微細化すると、間違いなく省電力になる。しかも最近は3Dゲートの採用によってリーク電流も少なくなったため、ある程度クロックも上げられるようになったため、結果実行性能も伸びている。というか、今はそのクロックも4GHzを常態化出来るほどになっている。
だから今回のZenが14nm FinFETで製造されるというだけで、大幅な性能向上が期待出来るのは当たり前で、そこに全く新しい設計で作られたアーキテクチャが搭載されれば、さらに上乗せして性能が伸びるのは、大凡予測できる話である。
ZenはBulldozer系アーキテクチャからではなく、新規設計で作られている。
その際、AMDはシングルスレッド性能を追求し、そこにワットパフォーマンスの向上というポイントを上乗せしたような設計をしたらしい。
この流れはIntelの現在の流れと同じである。つまり、遅れてはいるが、これでAMDはIntelと同じ土台の上で勝負を賭けられるようになった、という事である。
デスクトップ向けは8コア
詳しいアーキテクチャの話をしても、なかなか理解できない話となる為、とりあえずもっと詳しい事が知りたい人は以下を参照。
PC Watch 後藤弘茂のWeekly海外ニュース
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/1015633.html
もっとラフなレベルでZenはイケてるのかどうかを私的に見ていきたい。
ZenはGlobalFoundriesの14LPPによって製造されると目されている。もちろんこれは前述したように大幅な性能ジャンプとなる話で、今までの消費電力と同等で40%の性能向上をもたらすとしている。
デスクトップ向けとしては、8コア16スレッド性能を持つコアとして製造される。コードネームは「Summit Ridge」と命名されていて、ソケットは以前から言われているとおり「AM4」となる。
接続するメモリはDDR4、I/OはPCI Express Gen3、それに加えて新規のチップ間インターコネクトを備えるとしている。
私が気にしているのは、コアに内蔵するPCI Expressのレーン数であり、Intelは16レーンをCPU内に搭載しているので、デスクトップ版Zenコアにはそれを上回るレーン数を確保して欲しいと思っている。理由はビデオカード等のSLIやCrossFireにより対応しやすくする為である。
それと、現時点ではまだこのZenに接続するチップセットが不明確である。
こちらも一定の性能を持っていないと、Zenの性能を生かし切れない事になる。AMDにはぜひとも総合的な性能向上をお願いしたいものである。
期待したいZen
ここでちょっと考えたいのは、IntelのSkylakeシリーズ、また年末に登場すると言われているKabylakeは4コア8スレッド製品だが、Zenは8コア16スレッド製品だという事である。
IntelとAMDで説明している1コアの規模に違いがある為、単純比較はできないのだが、1チップに搭載しているコア数でいうならば、AMDの圧勝という事になる。
実際には、ベンチマークテストによる比較が必要だが、これだけのアーキテクチャを持ってきたと考えるならば、少なくともIntelの現状コア性能とほぼ互角の勝負はするだろう。
そうなったとき、私の次のメインPC計画に大きな変化が訪れるかも知れない。
ホント、久々にAMD系で構成する可能性が出てくるかも知れないのである。
過去私がAMDで自作したPCは、たしかAthlon64の頃だから2004年~2006年頃の話。既に10年以上も前になるのだから、久々もいいところである。
もし性能的にZenコアで行ける、と判断できれば、それにRadeon系のビデオカードを組み合わせてメインPCを組むというのも悪い話ではない。
問題は、Radeon系は今の所GeForce勢にワットパフォーマンスで全く太刀打ちできない状況にあるという事だが…組合せるパーツは今後の様子を見ていろいろ絞っていく必要はあるかもしれない。
どっちにしても、Zenコアの性能に対して今後のレポートは注視していかなければならないだろう。
ZEN、どんなインパクトになるか楽しみですねー。
AMDを愛用している身としては、王者Intelに危機感を感じさせる様な、挑戦的な技術が出て来る事を期待してます。
しかし、このコードネームって何なんでしょう?
前は重機だったけど、今回は禅?膳?
日本語な訳は無いと思うけど、どんな思いが込められているのか気になりますね。
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たしか、今回のZenというコードネームは、日本語の「禅」から採ったモノ…というのをどこかのサイトで見たような気が…。
ま、ホントかどうかは知らないけど、悟りを開く勢いって事でしょう(爆)
Zenの8コア16スレッド処理は、Intelの4コア8スレッド処理と性能的には余り変わらないとは思います。
おそらく最小パッケージの規模の違いで、Intelでは4コアとしているところをAMDが8コアと言っているに過ぎない…と考えられます。
ただ、性能的にIntelと拮抗してくれるだけでも競争が生まれるので、市場はより健全化するでしょう。
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