以前、マイクロフォーサーズ用が発売されたのに…
干渉無しの良品
焦点工房から、ようやく「KIPON BAVEYES EF-MFT AF 0.7x(OM-D)」が発売となった。これは、キヤノンのEFマウントレンズをマイクロフォーサーズのOM-Dシリーズで使用する事ができるようになる変換マウントで、特徴は電子接点を持っていてAFやレンズ内 or ボディ内手ブレ補正、Exif情報の伝達ができる製品である。
OM-D専用と謳っているのは、以前この製品が発売されたとき、OM-Dで使用するとボディとレンズが干渉する問題が発覚し、急遽OM-Dのみ対応製品から外されたという経緯があるためである。
この製品がいよいよもって発売された事で、OM-Dでも本格的にEFマウントレンズが使用できるようになったと言える。
35mm換算の計算が違う
この「KIPON BAVEYES EF-MFT AF 0.7x(OM-D)」は、通常のマイクロフォーサーズの35mm判換算の計算式と異なる焦点倍率になる。
というのは、0.7倍のフォーカルレデューサーレンズを搭載している為で、例えば50mmレンズを装着した場合、35mm判換算で70mm相当の画角となるのである。
またこのマウントはフォーカルレデューサーレンズの集光効果により、F値が1段分明るくなる。だからこのマウントを使用してEFマウントの単焦点レンズを装着すると、通常のマイクロフォーサーズの焦点距離の伸びほど焦点距離は長くならず、なおかつ明るいレンズとなる。
たとえば、私が35mm判換算で85mmのレンズが欲しいとして、従来であれば、パナライカの42.5mmレンズ「NOCTICRON」しか選択肢がない、という状況だとすると、この「KIPON BAVEYES EF-MFT AF 0.7x(OM-D)」を使えば、EFレンズの60mmというレンズがあれば、35mm判換算で84mmという焦点距離のレンズを得る事ができる、というワケである。しかもそのレンズでは電子接点によりAFも効くし、手ブレ補正もレンズ内 or ボディ内問わず普通に効く。
しかも、レデューサーレンズによって明るさは1段分明るくなるわけだから、レンズの選択肢が広がり、結果として良い事ずくめという事になる。
EFレンズはちょっと大きいか?
ただ、唯一の不安となるのが、EFレンズは大きいという事。
それこそ、フルサイズセンサー用のレンズだったりするわけで、重く大きいのは当たり前である。
EFマウントには、兄弟分のEF-SマウントというAPS-Cサイズのイメージセンサー用マウントも存在するが「KIPON BAVEYES EF-MFT AF 0.7x(OM-D)」がEF-Sマウントのレンズに対応しているのかどうかは明確なところがわからない。基本、EF-Sマウント対応のカメラはEFマウントレンズの装着が可能なのだが、その逆が不可能なのは、35mmフルサイズのクイックリターンミラー等が干渉するからであり、本製品である「KIPON BAVEYES EF-MFT AF 0.7x(OM-D)」を装着するマイクロフォーサーズはそもそもミラーレスであるため、干渉しない事から、場合によっては装着は可能かもしれない。実際には誰も試していない情報なので、試す事ができる人がいたらぜひそのあたりを教えてほしいものである。
前述したようにEFレンズはフルサイズ用なので大きく重い。そのレンズを装着するワケだから、OM-D側もちゃんとしたグリップを装着したカメラでないと実使用上は厳しいかも知れない。
ましてPEN-FやPENなんかだと、支えきれないかもしれない。そのあたりは使用するレンズとの兼ね合いだろうが、フルサイズ用のレンズは基本重く大きいものが多いのが常である。
ましてそれにアダプタを組み合わせるのだから、カメラ本体から長さも嵩むので、よりバランスが悪くなり、支えきれなくなる。
なので、この「KIPON BAVEYES EF-MFT AF 0.7x(OM-D)」は基本OM-D E-M1や外部グリップを取り付けたOM-D用と考えた方がいいかもしれない。
どちらにしても使えるレンズの選択肢が増えるというのは喜ばしい事である。
どうしても既存メーカーのレンズで欲しいレンズが見当たらない時は、キヤノンレンズを検討してみるのも良いかも知れない。