つい先月にケータイを新しくしたため、今また変えようとかそういう事は考えていない。
ただ、ウチにあるモバイルゲーム機器をざっと見た時、随分と数があるなぁと思ったと同時に、現行機とケータイとの性能差をふと考えてしまった。
ケータイも言わばモバイル機器。
違いは通信回線を単独で持っているかどうかの違いと、書き込めるメモリ領域を持っているかどうか、あとはプロセッサの処理能力と画像処理能力の違いぐらいである。
つまり、ケータイにプロセッサ能力とメモリがあれば、今の時代モバイルゲーム機器はケータイに勝てない状況にあり、そしてそれはここ1年で現実味を帯びている。
PSP2の話を前にこのBlogでした時、私はPSP2の仮想敵はiPhoneのようなケータイだ、みたいな事を書いた。
そのiPhoneだが、発売から9ヶ月でソフトの10億ダウンロードを実現した。
これはその自由度の高いOSを搭載しているという事と、モバイルゲーム機に匹敵する性能を内包しているからだとも言える。
つまり、もしすべてのソフトをiPhoneで作ってしまえば、iPhoneがあれば他がいらないという状況が生まれてくると言えるワケだ。
おそらくPSP2はこのiPhoneのとんでもないエコシステムに恐怖しているのではないかと考えられる。
Appleが火付け役とはいえ、今やAppleがアプリを供給しなくてもiPhoneのアプリは拡充を続けている。
PSPも今ようやくサードパーティソフトが拡充してきているが、発売直後はそのような体制になるのか? と感じるほど周囲が立ち上がってくる気配が見えていなかった。
iPhoneは登場して9ヶ月でそういう状況を作り上げた。
その真意は何だったのか?
おそらくSCEはそこの分析結果が見えていない…というか、方向性が見いだせていないのかもしれない。
…実際はどうなのかわからないが。
昔、似たような「何故こんな事ができるのか?」と感じたものがある。
それがニコニコ動画だ。
増え続けるデータに対して増強しなければならない設備は多いのに、その資金はどこから出てくるんだろうと思った事がある。
だが、ニコニコ動画は結果的に人が集まるというところにそのエコシステムの全てが存在していた。
これはYahoo!BBも同じだったような気がする。
赤い半被を着た人が駅前で赤い袋に入ったモデムを配りまくっていたあの戦法だ。Yahoo!BBはアレで確実にユーザー数を延ばし、そのシェアを拡大した。
iPhoneも、結果的に普及させてしまう事であとはどうにでもなるというある種の力業の展開だったのではないか? と感じてしまう。
使う人が多いという事は、そこにはスタンダードになる強みがかならず存在している。
それが実現しやすいプラットフォームならなおのことである。
iPhoneはケータイの中では圧倒的に機種数が少なく、動作検証する対象が少ないため、ソフトウェア開発をする側からしてみればかなりデザインしやすいハズだ。
iPhoneのアプリを見ていると、たしかに持っていたら便利かも、と感じるものも多く、そしてそのデバイスで電話もできて…となると、使っている側からすれば他の機器がいらなくなる。
ケータイにも確かに似たようなソフトは多いかもしれないが、操作方法に問題がある。数字キー+αで全てを操作しなければならないのだから。
しかしiPhoneはタッチパネルでの操作だからその辺の不安がない。
インターフェースも含め、iPhoneのデザインはあらゆる方面で強みしか見えてこない。
Appleという企業が計算づくでiPhoneを設計したワケだから、このあたりの展開はまさに神展開だと言える。
ハードウェアとして見た時、今iPhoneより可能性のある製品がこの世には存在しないのではないか? とすら思えてくる。
PSP2やNDSiは、この巨大なマルチデバイスにどうやって立ち向かっていくのだろうか?
ターゲット層の違いというだけで、勝負できる…多分、そんな安易な考えもじきに通用しなくなるような気がしてならない。
PSPももっとOS部分からオープンにしてくれればいいのに…と思えてくる。
多分、PSPの性能を引き出すアプリが民間から出てくる事になるかもしれない。そうなれば、PSPは少なくとも日本市場ではモバイル機器としてiPhoneと対等以上の勝負が出来ると思えてならない。