まだまだ性能向上の伸び率のあるRadeon?
Adrenaline 2019 Edition
AMDがドライバ及びユーティリティ類を統合した大型アップデートを公開した。
これは2015年に公開した「Catalyst Omega」以降、月1回ペースのドライバアップデート以外に、毎年年末に大型のアップデートを提供している流れのもので、2016年はCrimson Edition、2017年はCrimson ReLive Edition、2018年はAdrenalin Editionと公開し、今回2019年向けにAdrenalin 2019 Editionと命名し提供している。今回もユーザーからのフィードバックなどを元に、数多くの改良が図られているという。
この大型アップデートでは、性能面で毎年平均10%の性能向上を実現してきた。今回はさらに15%性能を引き上げた(Radeon RX 570の場合)としている。
また安定性でも2018年に実施した自社テストでは競合他社(…多分NVIDIAじゃないかと思うが)より11ポイント高い93%の安定性スコアを実現したとしており、ユーザー満足度も平均で2年連続90%に達しているという。
昨今はeスポーツが注目されているので、それに対する「Project Radeon eSports Experience(ReSX)」と呼ばれる最適化機能を搭載し、フレームレートだけでなくマウスをクリックしてから反応が発生するまでの遅延も低減しているという。実際、特殊なマウスと高速カメラで検証した結果、「ReSX」によって遅延時間を10%短縮できたようである。
またこのAdrenalin 2019 Editionでは「Game Advisor」機能というものが搭載されており、そのPCで実際にゲームを動かし、そのPCにとって最もフレームレートが高く、かつ高画質になる設定を教えてくれるという。あくまでも推奨する機能であるため、その設定を受入れるかどうかはユーザー次第ではあるが、細かい調整を自動的に調べてくれるというところでは非常に便利である。
人工知能?
また、このAdrenalin 2019 Editionでは、スマートフォンを利用した「AMD Link」が搭載された。これは「Siri」や「Google」のようなアシスタント機能のようなもので、音声入力でいろんな機能を自動化できる。
例えば「Hey, Radeon」とスマートフォンに呼びかけると、ストリーミングの開始/停止や録画の開始/停止、スクリーンショットの撮影やインスタントプレイの保存が可能になる。
また、この機能では音声で最低/平均/最大FPS、GPU温度、GPU周波数、メモリ周波数、ファン回転数を聞くことも可能である。機能としてWattManと連動して、スマートフォンでGPUの状態を取得、必要に応じてオーバークロックなどもできたりする。
なお、音声操作は現時点では英語と中国語のみに対応し、他言語に関してはまだ未定である。
ReLiveによる動画配信や録画
ReLive機能もいろいろ強化された。
配信中にゲームの中で5~30秒のインスタントリプレイを再生したり、ホットキーで画面構成を切り替えたり、背景やバナーなどをダイナミックにオーバーレイしたりする事ができる。
またインスタンスリプレイについては、従来の動画に加え、動画だけてなくGIF画像での保存も可能になった。音声のマルチトラックオーディオ保存機能も搭載された。
こうした機能は動画プラットフォームへの配信だけでなく、ローカルでの他デバイスへのストリーミング機能も実装された。これにより、PCにインストールしたゲームをAMD Linkをインストールしたスマートフォン/タブレットへとストリーミングして、モバイル端末でのプレイが可能になる。スマートフォン側では、ゲームコントローラーを再現したオーバーレイによってタッチ操作でPCゲームをプレイできるようになる。
また、この機能は何もゲームに限らない為、オフィス関係のソフトでも利用する事ができるというのがおもしろいところである。
他にもVR機能を強化したりといろいろな強化点が搭載された。
NVIDIAでももちろんこうした機能を搭載したユーティリティは存在するだろうが、昔からソフトウェアが弱いと言われ続けたRadeonも、ようやくこうしたソフトウェアの最適化を中心とした機能向上に力を入れてきた。
折角のハードウェアなのだから、もっと最適化を進めて、より効率の出る仕様にしてもらいたいものである。