リコーが12月上旬にユニット交換式デジタルカメラを発売予定だ。
レンズ交換式でなくユニット交換式となっているのは、レンズ・撮像素子・画像処理エンジンを組み合わたカメラユニットを付け替える為。
つまり、レンズのみを交換して本体の映像素子と画像処理エンジンで被写体を捉えていくのではなく、それら全てを被写体に合わせ、あるいはそれら全てで被写体を別の視点で捉えていくカメラ、それがリコーの“GXR”である。
上記画像がそのGXR(試作機)だが、見た目は普通のカメラに見える。
しかし、レンズ部がごそっとハズれる仕組みになっており、取り付けるユニットによって全く味付けの違うカメラに変貌する。
詳しい内容はココに譲るとして、ちょっと私の思った事を書いていきたい。
このユニット交換式カメラだが、明らかに汎用性に欠ける仕様と言わざるを得ない。
交換できるのに汎用性に欠けるとはどういう意味か? と思う人もいるかもしれないが、要するにこのユニット単位でないと交換が出来ないわけだから、リコー以外からそうした交換ユニットが発売されなければ、結局はリコーオンリー仕様のカメラと言わざるを得ない。
オリンパス ペンE-P1やE-P2をはじめとしたマイクロフォーサーズ規格のデジカメは、このマイクロフォーサーズ規格のレンズであればメーカーを問わず使う事ができるし、ニコンやキヤノンの一眼レフデジカメにしても、マウントが合えばシグマやタムロン等社外製レンズを取り付ける事ができる。
つまり、そのメーカー単独でないパーツを付ける事で、メーカー外の味付けを得られるのが従来のレンズ交換式カメラという事になるが、このリコーのGXRは現時点でリコー以外からこれらユニットが出てくる可能性がそんなに高いように思えないというのが私の考えである。
ただ、リコーからすれば私の言っている事そのものが間違いだという事らしい。
このGXRの発表会で以下のようなコメントがリコー パーソナルマルチメディアカンパニー プレジデントの湯浅一弘氏より語られている。
「デジタル一眼レフカメラでは、選んだレンズがセンサーとベストマッチングするとは限らない。GXRでは撮像素子、レンズ、画像処理エンジンのベストマッチングで高画質を実現している。リコーが提供するユニットを使えば、必ずベストマッチングの組み合わせで撮影できる」
なるほど、そう言われればそうとも思えるが、元々写真というのは撮影者の味付けで千差万別な画を得られるところに面白みがあるのではないだろうか?
決まったユニットで高画質を得られるというのは初心者が高画質な写真を得るには近道かもしれないが、無限の可能性を閉ざしてしまっているとも言える。
多分、リコーの湯浅氏が言う事も正しいだろうし、私の考え方もまた否定できないものではないかと思う。
要は、使用者がどう考えるか? 次第だが、リコーのGXRはその考えの中にあって一つの選択肢として存在する事に違いはない。
こういうコンセプトもまたアリなのかと思うと、デジカメといえど実に奥が深いと思わざるを得ない。
良い意味で奇異なデジカメの登場で、一眼デジカメの幅はまた一つ広くなったと言える。
興味のある人は、ぜひ発売後に店頭で手にとって確かめてみてもらいたい。
多分、ナニかを感じる事ができるのではないかと思う。