私がパソコンに出会った時には考えられない世界。
2TBの壁は過去の話
OSが32bit版の頃、搭載できるメモリは4GBまで、HDDは2TBまで…みたいな話があったが、Windowsも10へと移行すると、多くの人が64bit版を選択するようになり、気がつけばそうした制約はほぼ過去の話になってしまった。
おそらく、現在では使用するメモリやHDDで容量限界などを気にする人などほぼ皆無なのではないかと思う。もし気にするとしたら、価格ぐらいである。
そんな天井知らずな状況にありつつも、それでも技術的に不可能な領域となれば、自ずと天井は見えてくる。
HDDだと、私も今年の初めぐらいに8TBの話を聞いて「ああ、もうそんなに搭載できる時代になったのか」と思っていたのだが、気がつけば今年の夏前ぐらいには10TBの領域に到達し、そして来年上半期には12TBが見える時代になったようである。
12TB…。
私が初めてパソコンという名のものに触れた時には考えも及ばない領域の話である。
今回、12TBのHDDの発表を行ったのは、米Western Digitalで、買収したHGST(日立グローバルストレージテクノロジーズ)ブランドよりデータセンター向けの3.5インチHDDとして発表された。
製品名は「Ultrastar He12」で、その名前からヘリウムガス注入タイプとわかる。
ヘリウム注入製品としては第4世代となる同製品だが、業界初の8ディスク設計で、垂直磁気記録方式を採用したもののようだ。
計算すると…1ディスクあたり1.5TBという計算になるが、たしか1ディスクあたり2TBのディスクも存在していたと思うので、今後、最終的には16TBまで製品容量は拡大できるのではないかと考えられる。
3.5インチに収まる奇跡
スペックを見ると、特別特殊なものには見えない。
SATA 6GbpsまたはSAS 12Gbpsのインターフェースを持ち、バッファ容量は256MB、回転数は7,200RPMで連続転送レートは255MB/SECというから、驚く程飛び抜けているという事はない。
だが、この変わり映えしないスペックと12TBという大容量を3.5インチという枠に収めた事が既にスゴイのである。
3.5インチという共通規格を維持する事の難しさは、高密度になればなるほど増していく。HDD業界は、少なくともNANDフラッシュストレージとの戦いを継続する意味でも、共通規格に収まる中での大容量という道は、避けて通れない覚悟のようなものなのかもしれない。
データセンター向けという事で、平均故障間隔は250万時間で保証期間が5年間とされている。これだけの大容量でありながら、保証期間が従来と変わらない事の凄さも本来なら特筆すべき事と言えるかも知れない。
Western Digitalでは、2017年中には14TB製品も投入する予定らしい。やはりここ数年内に16TBの領域に突入する事は間違いないとみてよいだろう。
ああ、一つ言い忘れていたが、秋葉原等で我々が購入するバルクのHDDの保証期間は10ヶ月と言われている。そもそもバルクはそうした保証というものを切り捨てた製品なので、同じほど保証されているとは思わない方が良い。
それと…HDDは基本的には消耗品なので、そこも忘れない方が良い。
ハードとは言え、消耗はするのである。