米国Qualcommが“Snapdragon”チップセットを使った新しいカテゴリのモバイルPC構想を発表した。
Snapdragonとは、ARM系CPUとメディア処理用DSP、Wi-Fi/3G/Bluetooth/GPSなどの無線機能、3Dグラフィックや720pの画面表示および動画デコード機能なども併せ持つ、チップセット群を指す。これだけの機能を搭載しているだけでかなりハイエンドな仕様と言える。
最大の特徴は、スマートフォンなどの携帯端末を対象にしたチップだという事。つまり、省電力でありながらハイエンドな処理が可能な仕様という事である。
今回の構想発表とともにASUSTekなどからプロトタイプデモ機が公開された。一見するとネットブックにしか見えないが、中身はどちらかというとスマートフォンに近い。
ASUSTekからはEeePCのS101似のデモ機が公開された。
このスマートブック構想、仕様を見ていると昔のPDAに近い感じがした。
その仕様とは、携帯電話のように世界中どこでも常にネットへの接続が可能であり、電源を入れた瞬間に立ち上がり、稼働時間も8~10時間とほぼ丸1日バッテリ駆動する。この辺りの仕様、実にPDAっぽいところである。
Snapdragon自体がもともとスマートフォン向けであり、基板が小さく低発熱であるため、これらの仕様を満たす事が可能になったのだろう。
加えてハイエンドなまでのAV機能を搭載している事で、スマートフォンと棲み分けるようで、ネットブックとスマートフォンの中間に位置する製品群となるようだ。
デモ機にはGoogleのAndroid OSが搭載され、実際に動作しているという。
この仕様、果たして上手く市場に溶け込むのだろうか?
かつてPDAという存在は結局携帯電話とのモバイル端末競争で生き残れなかった。
それはPDAが単体で通信機能を持ち合わせていなかった、携帯電話の性能がPDAに追いつきはじめた、ノートPCとの性能差を結局うまく吸収できなかった…等々いろいろな理由があったと思うが、今回のスマートブックはまさにそのPDAのポジションに収まる感じ。
ただ、PDAの時と状況が違うという事と、スマートブックは単体で通信機能を搭載しているという事などがその違いになるが、時期が違うという点ではネットブックという存在があるという事も同時に言える。
x86系コアを搭載しWindowsがほぼそのまま動作するネットブックと戦って行くには、その用途と目的、そしてそれらをハイレベルなところで融和させる必要があり、単に製品を投入しただけでそれらが上手くいくという事にはならない。
要するにネットブックとは明らかに違う棲み分けとブランドの確立が必要だと言える。
今回のスマートブック構想発表は、おそらくx86系コアをメインとする業界に一石を投じた結果になるだろう。
一年後、私はx86系コアを搭載したネットブックにまた新たな展開が始まっているように思う。
既にAtom系でも単独通信機能搭載のモデルが登場してきているのだから、それは私でなくても想像できるはずだ。
果たしてスマートブック構想は、新たなブランドの確立に成功するだろうか?
かなり興味のある話だ。
究極のモバイル、電脳化を市場に投入しましょう!
冗談は2割位にして、単体で通信可能でバッテリーが持つなら用途は沢山ありそうですね。描画能力も高いみたいだし。
価格帯をどの辺に設定して来るかが気になります。
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Intelも2010年に今のAtomより1/50の省電力を実現するチップを投入するようです。
あとはそれについて回るチップセットの問題。
これで今のネットブックが8~10時間駆動すると、スマートブックの存在はさらに微妙なものに。
さて、これからどうなることやら…
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