アメリカ空軍が2009年にPS3を購入した。
連邦政府の発表によると3月に300台、11月に2,200台、総計2,500台を購入したそうである。
何故アメリカ空軍がPS3を大量購入したのか?
当然、米兵の娯楽、福利厚生の為ではない。
合理的でいかにもアメリカ人らしい発想での購入なワケだが、その使用目的は各種の軍事シミュレーションの演算の為、との事である。
どういう事かというと、利用するのはPS3に搭載されたCell Broadband Engine(以下Cell B.E.と略)コアであり、その並列処理性能を格安で利用する為である。
スーパーコンピュータ。
日本でもつい最近、スーパーコンピュータの開発予算を捻出するにあたり、税金投入の事業仕分けが行われたワケだが、その時の予算額は268億円(2010年度予算概算要求)。
それに比べ、PS3は1台日本円にして29,980円、2,500台だとすると57,450,000円、米国で考えるなら1台299ドル、2,500台だと747,500ドル(1ドル=90円で計算すると67,275,000円)になり、268億円と比較して約398分の1の価格となる。
また比較対象を一般的なCell B.E.搭載サーバーでシステムを組んだ場合としても、PS3を使用すると約10分の1のコストで同等の性能を実現できると言われている。
これら2例で考えても、PS3を利用するという事が如何に破格かは一目瞭然である。
しかし、Cell B.E.にそれだけの性能が本当にあるのだろうか? と疑問に思う人もいるだろう。
それは既に実証されていて、2008年にIBMが改良型のCell B.E.を1万3,000基使用したRoadrunnerというスーパーコンピュータを開発したが、このRoadrunnerは史上初めて1Peta FLOPS(1秒間あたり1000兆回の演算)もの処理能力を達成している。
RoadrunnerはCell B.E.の改良型を使用していたが、通常のCell B.E.でも演算速度が速いという事に違いはない。
前述の日本製スーパーコンピュータの開発予算にしても、本当に268億円もかかるものなのだろうか?
たしかに世界最速を狙うという目的を達成するという事は、Roadrunnerなどよりも高性能である結果を出さなければならないわけだが、何となくもっと効率の良い方法があるように思えてならない。
今回のアメリカ空軍の考え方は、合理的を通り越している側面もあるかもしれないが、考え方の方向性としては正しいように思える。
日本の偉い人にはもっとよく考えて欲しいものである。そうすれば税金の無駄遣いも亡くなるわけなのだが…。
PlayStation 3(120GB) チャコール・ブラック(CECH-2000A) |ソニー・コンピュータエンタテインメント
PlayStation 3(120GB) チャコール・ブラック(CECH-200…