MSIが画期的かつ変態的マザーボード“Big Bang-Fuzion”を1月16日に発売する。
どの辺りが画期的かつ変態的かというと、搭載するビデオカードの並列化において、従来は同じメーカーでかつ同じ型のビデオカードでしかマルチGPUを構成する事ができなかったものを、LucidのHYDRA ENGINEを利用する事で、混載可能にしたという所に起因する。
要するに今までであれば、NVIDIAであればGeForce GTX 285を2個用意しなければならなかったSLIが、GTX285とGTX260でSLIが可能になったばかりか、GTX285とRadeon HD 5870とでマルチGPU化する事ができるようになった、という事である。
何故こんな事が可能になったのかというと、前述したようにLucidのHYDRA ENGINEを利用したからこそ可能になったワケだが、このHYDRA ENGINEはDirect3Dとディスプレイドライバの間に割り込んで、異なる性能のビデオカードに、各々が得意とする処理を分散させる事が可能だからである。
もちろん、これはハードウェアだけで可能になったワケではない。ハードウェアとドライバの両面で可能になったからこそ実現したものである。
しかもこのHYDRA ENGINEはブリッジの役割を果たす為、今までのようにSLIやCrossFire Xなどで必要であったブリッジケーブルも不必要になる。
画像を見てもらえばわかるが、Radeon HD 5870とGeForce GTX 285が見事に一枚のマザーボード上に接続されている。
この技術、一見ハイエンド向きのものと思われるかもしれないが、私が思うにどちらかというと低スペックPCにこそ必要な技術なのではないかと考える。
安価なビデオカードを2枚、あるいは4枚組み合わせ、そこで並列処理で演算能力を稼ぐという方法は、安価なスーパーコンピュータを作り上げた手法によく似ている。つまり、低スペックで高効率を生み出す手法という見方ができるのである。
もっとも、本当にその効率がでるかは分からない。だが、少なくとも単性能では得られない性能がマルチGPUで得られるのならば、それは高スペックマシンよりも低スペックマシンにこそ必要な性能である。
そうなるにはHYDRA ENGINE搭載マザーボードが安価に出回る事が条件になるが、爆発的に普及させるにはハイスペックマシンよりもローエンドマシンが主体になるだろうから、Lucidにはその辺りを考慮して展開してもらいたいものである。
2010/01/09 • no comments