YAMAHAがVOCALOIDの新しい形としてVOCALOID-flexなる技術を提供開始した。
もっとも、一般にではなく、まだ法人にのみ提供という形だが、このVOCALOID-flexによって、ついにVOCALOIDは歌だけでなく“しゃべり”まで可能になってしまった。
VOCALOIDは、人間の声の声質をデジタル化したライブラリから歌声を生成する技術だったが、歌声に限定していた最大の理由は、歌声には一定の法則があり、それに準じた形でフォルマントを割り当てる事で歌声のようにできたからであり、しゃべりとなると一定の法則が全くないばかりか、表現方法もかなり自由であり、なかなか制御するのが難しかった為である。
しかし、VOCALOID-flexではそうした難しい部分ですらコントロールする事を可能にした。
音韻(音素などの音の構成や長さ)や韻律(音の高さ、強さ)の編集を可能にし、これまでできなかった母音の無声化や脱落化が表現可能となった事にプラスして子音の長さや音の高さ・強さも細かく編集できるようにした。
この結果、話し声における細かいニュアンスや、方言のアクセント・イントネーションもつけられるようになったようである。
概念を図式化するとこんな感じ。
まぁ、簡単に言えば変動要素をしっかりパラメータ化した事でより幅広い表現が可能になった、という事なのだが、そこまでして合成音声にこだわる必要があるのか? という疑問はここでしてはいけない。
ちなみにこの技術、4月29日発売のPSP用ソフト“METAL GEAR SOLID PEACE WALKER”でキャラクターの音声制作ツールとして使われている。
実際に聞いてみたい、という人は、まずメタルギアで聞いてみるといいかもしれない。
しかし、こうなると声の仕事をしている人はますます苦しくなるような気がしないでもない。
ただ、逆を言えば老齢化している有名声優のフォルマントをデータ化して、VOCALOID-flexで再現するというのはありかもしれない。
来るべき高齢化社会を救う一技術となるのか、ちょっと興味のあるところである。
2010/02/25 • no comments