ウチのPCを組み上げた時は、まだSSDは高価なものという意識が強かった。
いや、正確に言えば今も高価なものだが、容量が64GBクラスのものであれば手が出ないものではなくなった。
しかし、昨今のPCにおいて500GBレベルは極々当たり前の容量になったような気がしてならない。
というのは、バルクの話にはなるが、通常の5,400~7,200rpmの3.5インチHDDは、容量1TBで7,000円を下回っている。
2TBでも11,000円前後と、実にリーズナブルな価格設定になっている。
まぁ、それだけ必要としているかどうかは別問題だが、そこそこの性能の大容量HDDがこの価格なら、あえてSSDに行かなくてもいいかな、と思ってしまっても仕方がない。
だが、そうした性能をある程度犠牲にしてもいいや…という思いを持って選んだHDDという選択も、いざ実際の評価を見てしまうと多少揺らいでしまう。
インストールしたWindows 7のエクスペリエンスインデックスを見ると、HDD以外の評価がすべて7.2もしくは7.3なのに対し、プライマリハードディスクの評価のみ5.9と全体の評価を落としている原因がHDDと明確になっている。
今プライマリとして使っているのは、Western Digitalの5400rpmの3.5インチHDD(容量1TB)だが、それで5.9という評価。それ以上にするには、SSDに向かうか、もっと高速なHDDへと向かうしかない。
そんな中で私的に価格的にもっとも妥当な製品はコレしかないのではないかと考えた。
回転数10,000rpmのWestern Digital製Serial ATA HDD“VelociRaptor”である。
今回、新製品が登場、なんとSATA6Gbps対応の600GBモデルである。
実売価格は32,980円と安くはないが、それでも容量単価はSSDなどから比べても断然上である。
画像を見ればわかるが、このVelociRaptorシリーズはHDD部そのものは2.5インチHDDとなっており、それに3.5インチサイズのマウントがついている形だ。しかもこのマウントはヒートシンクの役割を果たしており、10,000rpmという高速回転から発生する熱を逃がしている。
今回登場した600GBモデル“WD6000HLHX”は、従来機と比較してHDD-ホスト間のデータ転送速度も126MB/sから145MB/sに向上しており、6Gbpsに対応しただけの速度は出ていると言える。
これだけ高速なHDDだと、多分Windowsエクスペリエンスインデックスも7点台に突入するだろうと思う。
容量的に600GBあれば起動ディスクとしては申し分ない(というか多すぎる)し、性能もかなり高い。
問題があるとすればコストのみだが、SSDを導入するつもりでコチラをセレクトするという手もあるのではないかと思う。
450GBモデルもあるため、コストが見合わなければ450GBモデルを選ぶという手もある。
もっとも、価格的に大きく変わるかといえば多分変わらないのではないかと思うが…。
そういえば、結構前に私はある予測をしていたのを思い出した。
何れPCのHDDは3.5インチから2.5インチへと主流が変わっていく…というものだが、残念ながらその予測はまだ現実のものとはなっていないようだ。
おそらく2.5インチの容量が3.5インチになかなか追いつかない&SSDの価格が下落してきた事がその原因だと思うが、省電力化を進めていく上で3.5インチから2.5インチへと移り変わっていくのは現実的な事だと未だに思っている。
SSDは確かに省電力化でもっとも優れた特性を持っているとは思うが、依然として容量問題が残っているし、何よりSSDよりもHDDの方が信頼性が高いという安心感もある。最近のSSD&Windows 7という環境であれば、SSDの繰り返し書き込み耐久力に随分と優しい形となっているが、それでも安心感となると話はまた別問題。
HDDは長年の実績がある事から、未だ安心という部分においてSSDより上を行く。そうなると、省電力化の最有力候補は3.5インチから2.5インチへとHDDの主力を変えていく事に繋がると考えられる。
実際、最近の2.5インチHDDの容量は、500GBで6,000円前後で実にリーズナブルになってきた。
まだ3.5インチHDDと比べると同価格帯で容量半分といったところだが、使用用途として考える場合の容量では、すでに十分な容量に達していると言える。
これから先、私の予測の方向に向かっていくのか、それともSSD勢がさらに加速するのかは分からないが、より小型&省電力という方向に向かっていくことだけは変わらないだろう。
その時、今回のVelociRaptorシリーズの技術がさらなる進化を遂げていれば、SSDを駆逐するだけの力を持っているのではないかと思う。
今はヒートシンクが必要だが、それが不必要にさえなれば、高速で大容量の2.5インチHDDの誕生だ。
ぜひそうなる事を期待したい。