IntelからSandy Bridge-Eがいよいよ発表となった。
今回発表されたCore i7シリーズはいよいよ3000番台へと突入し、6コア12スレッドモデルの“Core i7-3960X Extreme Edition(以下Core i7-3960X)”と“Core i7-3930K(以下Core i7-3930K)”の2モデルが発表となった。
この2モデルはクロック周波数とL3キャッシュ以外に違いはない。
Core i7-3960Xは3.3GHz(Turbo Boost時3.9GHz)でL3キャッシュが15MB、Core i7-3930Kは3.2GHz(Turbo Boost時3.8GHz)でL3キャッシュが12MBと、スペック的にもかなり高いものだが、問題はこれで12スレッド処理可能という事。普通に使うにはオーバースペックに感じるかもしれない。
一番左から今回のSandy Bridge-EのLGA2011、LGA1366、LGA1155となっている。ピン数が大幅に増えたため、ソケットに装着する為の機構も少し変わっている。
さらに今回のSandy Bridge-Eは、リテールパッケージにCPUクーラーが付属しない。代わりにIntelからトップフロー型のCPUクーラーと水冷ユニットが別売される。
AMDのFX-8150に続いて、公式の水冷化である。一つのトレンドなのかもしれない。
性能などは別サイトに譲るとして、私的に感じたことをいくつか。
今回のSandy Bridge-Eは、とうとうメモリが4chとなった。
今までIntelの上位CPUで3chというものがあったが、それを上回る4chである。
つまり、1枚4GBモジュールなら一度に16GBを搭載し、それを4ch駆動させる事でメモリ帯域を稼いでいる。
また、DDR3-1600をサポートした事で帯域幅は約51.2GB/secとなり、LGA1155版Sandy
BridgeのDDR3-1333の2ch(約21.2GB/sec)や、LGA1366/DDR3-1066の3ch(約25.6GB/sec)の帯域を大幅
に上回るようになった。
メモリはDDR4の登場がさらに遅れており、高速化は先送りになっている状態。既にCPUなどの速度はメモリの速度を遙かに凌駕し、メモリだけが追いつかない状態になっているのだが、それを多チャネルで乗り越えようという手法なのだろう。
ま、こういう手法しかなかったのかもしれないが、メモリモジュールを4枚一気に購入しなければならないのは民生用としては敷居が高いように思えるが、この部分こそこのSandy Bridge-Eが業務用、もしくはハイエンドである所以ではないかと思える。
また、このSandy Bridge-Eには、新チップセットのIntel X79チップセットと組み合わせる事になる。
このチップセットは現時点ではIntel P67 Expressとほぼ同じものらしい。
SATAポート6本の内、SATA
6.0Gbpsに対応しているポートは2本のみで、残り4ポートはSATA 3.0Gbps対応となっている点や、USB 2.0の本数、PCI
Expressインターフェイスのレーン数などもIntel P67と同じだ。
またIntel Z68
Expressで採用された、SSDをHDDのキャッシュとして利用するIntel Smart Response
Technologyには対応していないようで、その時点でもIntel P67と同じと言えるが…この方向性が民生用でなく業務用もしくはハイエンドという色を強くしている部分と言えるかもしれない。
Sandy Bridge-EというCPUの完成度は高いようだが、X79チップセットの完成度が今一つな感じがするのは、多分私だけではないだろう。
考えるに、上位のZ79(Z80)チップセットとかが後々出てくるのではないかと思えてならない。
ま、それが出てくる前にIvy Bridgeが登場するのかもしれないが…。
個人的にはIntel Smart Response
Technologyが使えない時点で、導入する予定は全くないシステムと言える。
もちろん、これを使わないという人であれば、何ら問題はないだろうし、十二分にハイエンドな環境となる事は間違いない。
ま、安い買い物にはならないだろうから、パワーユーザーしか選択しないだろうが、ハイエンドを望む人には魅力的な製品と言えよう。