まぁ…こんな技術もあり得るワケで。
新技術ではないが…
メモリ…と呼ばれるものがある。
ここで言うメモリはあくまでも電気・電子的なものの事で、要するにコンピュータの記憶容量の事を言うわけだが、これにもいくつか種類がある。
一つはCPUなどが稼働する際にキャッシュとして使用するもの。これは最近ではCPUのダイの上に実装されたりするもので、一次キャッシュからモノによっては四次キャッシュくらいまで存在するのだが、容量は極めて小さい。書き換え回数がとても多いため、書き換え耐性の高いメモリで、普通は揮発性メモリ(通電していなければ中身は消える)である。
次にPC全体のメインメモリやビデオカード上に実装されているメモリ。こちらは通常の使い方だと1GB~32GBくらいで、最近の技術ではDDR2~4という規格の上で実装されているRAMを言う。揮発性メモリで、こちらも書き換え耐性が必要になるものである。高速アクセスできればできるほどPC全体のパフォーマンスは上がり、今ではこのメモリの速度がPCの性能のボトルネックになるとさえ言われている。ビデオカード系のGDDRなどはまさにこのアクセス速度が問題で、最近AMDでは積層型の全く新しいメモリを採用したりと変化が激しい。
次にデータのストレージに使われるメモリ。これは通常メモリという表現はしないかもしれない。HDDだったりSSDだったりするもので、こいつの速度を上げないと性能が上がらないと深刻な問題になったこともある。基本的に大容量で、今では速度が求められないわけではないがキャッシュ技術などで補われ、メインメモリやビデオメモリほど深刻化はしていない、と私は思っている。HDDでは6TBなど大容量なものが登場し、SSDでもGBの領域を超え始めるものが製品化されている。USBメモリやSDカードもこのストレージに使われるSSD技術と同じと考えていい。
このストレージに使われるHDDはアルミの円盤に磁性体を吹き付け、その磁性によって0と1を記録するという方式を採っているが、何ぶん円盤が回転し読み取りヘッドが移動するという物理的動作がある為、速度に限界がある。一方SSDは基本的にはNAND型フラッシュメモリを使用しているものが一般的であるため、大容量が可能で速度は速いものの書き換え耐性に問題がある。最近ではデータの書き換え方を工夫してHDD並に使用する事ができるようになっている…とは言ったものの、あくまでもストレージとしての書き換えに耐えうるもの…なのだが、今回発表された新製品は、そのNAND型フラッシュメモリをメインメモリとして使用するというある種今までの常識を覆す製品である。
不揮発性メモリのメリット
今回発売されるのは、DDR4互換メモリモジュールで、最大256GBという大容量のメインメモリを実現する。詳しいスペックは不明なものの、CPU単位でTBクラスのメインメモリを構成する事ができるようになり、今までとは全く異なるメモリ運用を可能にする。
主としてインメモリデータベースなどは劇的な変化を遂げる事になるが、ここで一つ気になる事がある。
NAND型フラッシュメモリを使用しているという事は、このメインメモリは不揮発性なのではないか? という事である。
不揮発性となると、電源を落としてもメモリ内にデータが残っているワケだから、サーバでの運用でなく、通常のPCとしての運用であれば、サスペンドからの復帰時に瞬時に元の環境に戻せるのではないだろうか?
もし、書き換え耐性に優れ、速度に優れたものであるならば、この製品はクライアントPCにも大きな波になる…と思えるのだが。
まぁ、もしそれが可能ならば、今頃このような技術において新製品が出てくるハズもなく、おそらくクライアントPCでの使用には耐えられないだろうし、また価格もそれを赦すものではないだろう。
となると、やはり望まれるのは書き換え耐性がDRAM並の不揮発性メモリを可能とする技術という事になるだろう。
以前からそうした技術がいろいろ登場しているが、未だ決め手を欠く。
早い所、そうした技術が確立し、今のPCの構造そのものに変化を与えて欲しいものである。