穴っていっても物理的なものじゃない。
ソフト追加が可能
メガドライブミニは、私が知る限り「○○ミニ」と銘打った昔の名機の復刻版ゲーム機の中でも最高峰の出来映えである。
私が知る限り、という時点で絶対的な意味は全くないわけだが、その開発者側の情熱や造り込みの良さなどを考えても、相当に出来が良く、ハッキングされるような作りにはないっていないと思っていた。
しかし、人間のやる事には完璧はない、という事だろう。やはりメガドライブミニにも、そうしたハッキングツールが入り込む余地が存在していたようだ。
海外サイトだが「Project Lunar」と称してメガドライブミニをハックするツールが出回っているらしい。
必要なものはメガドライブミニ本体とデータ転送可能なmicroUSBケーブル、Windows機、そしてProject Lunarのソフトウェア、あとメガドライブのカートリッジから抽出したゲームデータの全部で5種のものである。
「データ転送可能なmicroUSBケーブル」と記載したのは、メガドライブミニに同梱されているケーブルは、電源として使用するだけのものであるためデータ転送ができないからである。
たったこれだけのものを揃えるだけで、あのメガドライブミニにソフトを追加したり、或いは標準で搭載されているメガドライブミニのソフトを抽出したりする事ができるのだから、そのハッキングソフトウェアの技術とはスゴイものである。
ちなみに、このハッキングソフト「Project Lunar」は、メガドライブミニに実装されているエミュレータソフトがステートセーブで使用する格納パーティションにインストールされる。この空き容量は170MB程度しかないのだが、ここに「Project Lunar」がインストールされ、本体をハックするという。空き容量として170MBしかないと、追加でインストールできるソフトが限定されてしまうが、これを見越して「Project Lunar」ではUSBストレージが使用可能になっている。これで追加し放題…となるかはやってみないとわからない。
自己責任
こうした改造に関しては、全てが自己責任になる事は言う迄も無い話である。
また、遺法になるようなやり方はマズイ。あくまでも合法の範囲内で楽しむべきである。
私は情報としては記載するが、それを実効する上では何の責任も負えない。
これを前提に、説明する。
「Project Lunar」の使い方は、下記サイトがわかりやすいかもしれない。
Info Thief [Mega Drive Mini] Project Lunar がリリース
http://cmd0725.blog.fc2.com/blog-entry-3019.html
このサイトを見ると、他の「○○ミニ」で使用するハック系ソフトとそう使い方は変わらない感じである。
気をつけなければならないのは、元々メガドライブミニに入っているソフトウェアデータを消去してしまわない事である。これらは念入りにバックアップを取っても良い感じである。
また、この元々入っていたデータをWindows上で動作するエミュレータで使用できるようにする事もできるようである。ま、メガドライブミニそのものがエミュレータで動作している事を考えれば、出来ない事はないはずである。
Windowsの世界では、自己責任という名の下で、大凡想像できるほとんどの事が可能になっている。これはある意味恐ろしい話で、リバースエンジニアリングとしてオリジナルを凌駕しているとさえ言える状況にある。
世の中にはとんでもない技術者がいる…まさにそういう事と言えよう。
メガCDミニが登場する可能性
こうしたエミュレータの世界を知ると、公式からメガCDミニが登場する可能性があるのかが気になるところである。
Windowsのエミュレータの中には、本体のBIOSさえ準備できればメガCDやスーパー32Xをエミュレートする事も可能な状態にある。
もちろん、Windows機を所有している事を前提とした環境構築にはなるが、不可能ではない事実がある。
これを公式はWindows機を介せずに一般消費者に提供するかどうかを考える。
メガドライブミニは、そうしたWindows上でのエミュレータがある事を事実として認知している中から、公式であるセガが一般販売に乗り出た商品である。
メガCDで発売されたタイトル数が数多く、消費者に提供するに値するだけの価値と期待があるならば、セガは商品化するかもしれない。
しかし、一部の熱烈なファンのみが反応し、かつタイトル数が少ない状況であれば、公式として発売する可能性は低くなる。採算が合わないからだし、そういうユーザーは概ねWindows機を準備し、エミュレートしてしまうからである。
違法行為と分かっていても、実際にそれをやっているかどうかなどは、見た目だけではわからない。やっている本人がSNS等を介してその事実を漏らさなければ分からないのだから、図りようがない。これはセガに限った話ではなく、あらゆるコンテンツで言える事である。
だが、忘れて貰っては困るのだが、エミュレータを作っている人も元々はエミュレータを作りたかったわけではなく、Windows上でその機器のタイトルをブレイしたかっただけだと思う。陳腐化するオリジナルの本体に対し、タイトルをデータ化してWindowsという汎用性の高いOSの上で再現する。おそらくそれがしたいだけで作っているのではないかと思う。
その結果、違法性を孕んだ上で世間に広がってしまっているのが現状だとしたら、もし公式がそういうエミュレータを提供していたならば、そもそも遺法性を持つ存在は作られない可能性がある。
人はプラットフォームや環境が変わると、新しいプラットフォームや環境に現状を反映しようとするし、それを望む。
それは、枯れたプラットフォームを維持するのが困難だからであり、時にはやむを得ずエミュレータという逃げ道で新しい環境に順応させていく。
このエコシステムを犯罪色が強いからといって否定してしまうと、より一層犯罪色の側面が強いものとしてリリースされてしまう事がある。
メーカーはもちろん利益が出ないと新しいプラットフォームに適した形で製品はリリースできないのだが、消費者がそれを望んでいるという側面も理解してほしいところである。
エミュレータは、あくまでも手段の一つであり、正規な方法があれば本来はそちらが使われる事は往々にしてあるのである。
そう考えた上で、ではメガCDミニは商品化されるのか?
希望としては欲しいが、採算で考えるとかなり微妙ではないかと思う。
今回のメガドライブミニが採用したエミュレータでは、メガCDやスーパー32Xのプログラムを処理できるかは分からないが、Windows機でのエミュレータでは再現できているので、一部のマニアの欲求は既に満たされている可能性がある。
あとは一般層の反応だが…やはり微妙である事に違いはないだろう。
メガドライブミニという公式の再現機に、更なるソフトを追加したいなら、合法範囲で本ツールを使ってみるのも一興である。私は…とりあえずいいやw