2017年にアナウンスされた通り、2020年末にてAdobe Flashは幕を閉じる。
一時代を築いた動画システム
Adobe Flashが終了を迎える。
現在はそのシステムはHTML5へと移行するよう、数年前から各所でアナウンス及び対応が進み、Webサイトを中心とした動画コンテンツの中心はほぼ移行してしまったが、いざ終了するという話が出てくると、なかなかにして感慨深いものがある。
1996年にフューチャーズウェーブ・ソフトウェアという米国企業が作り上げたアニメーションデータ作成ソフトがその始まりで、この会社をMacromediaという企業が会社ごと買収、MacromediaのShockwaveシリーズに組み込んで、広くShockwave Flashという名で親しまれた。
SWFフォーマットは、動画サイト黎明期を知っている人であれば知らない人はいないというぐらい有名になった動画フォーマットだが、2005年、MacromediaがAdobe Systemsに買収され、Adobe Creative Suiteに組み込まれた。これにより、2014年まで進化を続けるが、常にセキュリティ問題と隣り合わせの状況にあるぐらい、その修正対応は忙しいものだったと言える。
日本ではニコニコ動画のFlash板で猛威を振るい(爆)、Flash職人が次々と動画を増産し、知名度がうなぎ登りとなった。
他にも、いろんなサイトで動画フォーマットとして採用され、Web動画といえばFlashという図式が一時は常識だった。
YouTubeが台頭してからというものは、基本的にHTML5への移行が進んできた関係から、時代の移り変わりと共に徐々にSWFファイルが使われなくなってきた。
ただ、現在のような動画サイト全盛になるまでの時代を支えてきたのは間違いなくFlashであり、この功績は無視できないものと私は思っている。
アスキーアート
2ちゃんねるという掲示板で知名度を上げたアスキーアートだが、私はFlashもまた、これらアスキーアートを後押ししたフォーマットではないかと思っている。
ニコニコ動画に上げられるFlash動画の多くは、このアスキーアートで作られるキャラクターであり、それらが動くフラッシュサイトは当時ニコニコ動画を席巻していた。
アスキーアートは文字ではあるが、これをFlash作成ツールの上でベクターデータとして扱うことができれば、動きは簡単につけられる上に、多彩な表現も可能だった。
ある意味、Flashとの相性は抜群だったように思う。
日本国内では、この動きがFlashの知名度を爆上げしたのと同時に、Flashによっていろんな動きや音のあるサイトが作れるという事を認知させた。ある意味、ハードウェアや環境が今ほど整っていなかった中での動画が一番熱い時代だったのではないかと思う。
アンインストールソフト
Adobeは2020年12月31日まではFlash Playerの更新、提供は続けるが、この日を境にそれらを終了すると2017年7月に発表している。
その関係で、現在Adobeはサポート終了前にFlash Playerをアンインストールする事を推奨、その削除更新プログラムを提供している。
現時点でも僅かながらにFlashを利用したサイトは存在するものの、その多くはHTML5への移行を終えているので、現時点でもFlash Playerを削除しても大きな問題はないと考えられる。
脆弱性と常に戦い続けている同ソフトなので、この際、先行して削除してしまっても良いという人は、更新プログラムを適用して削除する事をAdobeも推奨している。
また、ChromiumベースのMicrosoft Edgeは、デフォルトでFlashを無効化しているし、Google Chromeもまた同様である。
ただ、Microsoft Edgeについては、Internet Explorerモードでサードパーティ製プラグインとしてFlash Playerを利用する事は可能なので、どうしても使いたい、という人は再生環境をかえる事で使う事はできる。
そのあたりは環境によって変わるので、自分の用途と状況で今後を見据えて対応すれば良いだろう。
何はともあれ、Flashが幕を下ろす。ネットの時代が移り変わった証ではないかと思う。