Intelの第11世代Coreプロセッサの販売がスタートした。
デスクトップ向け
Intelはここ最近、ずっとモバイル向けのCPUばかりを公開していたイメージだが、ここにきてようやくCore i9-11900Kをはじめとした第11世代のデスクトップ向けCPUを発表、販売を開始した。
8コア16スレッドのCore i9-11900Kの他にもGPU削除版のKFシリーズ、同じコアのクロック制限版の無印や低電力版のFシリーズ、Tシリーズ、また6コア12スレッドのCore i5-11600Kなど、バリエーションは18にも上る。
それぞれベースクロックが異なっていたり、ターボブーストクロックが異なっていたり、と差別化されてはいるが、どれもアーキテクチャはRocket Lake-Sという、Skylake以来の新アーキテクチャを採用したCPUになる。
またCPUに内蔵される統合GPUは、Xeアーキテクチャが採用されており、従来のIntel系CPUより高性能と謳っている。
ただ、前モデルであるComet Lake-Sの最上位は10コア20スレッドというモデルが存在していたが、今回のRocket Lake-Sでは8コア16スレッドが最大コア数になるので、場合によっては前モデルよりも性能が出ない、という結果になる可能性もある。
また、CPUやGPU以外にも、内蔵されたコントローラ類も強化されている。
PCI ExpressはGen.4に対応し、ビデオカード用のx16レーン以外にNVMe SSD用のx4が新たに追加されている。メモリコントローラの対応クロックもDDR4-3200に引き上げられていて、CPUとチップセット間の接続はDMI 3.0×8接続に対応した。
これにより、新チップセットであるIntel Z590チップセットと組み合わせる事で、従来の2倍の帯域幅でCPUとチップセット間を接続する事ができるようになった。
ただ、製造プロセスは未だ14nmプロセスで、Intelの10nmプロセスでの製造ではない。
これによって懸念されるのは、その消費電力で、一応TDPは最上位で125wとしているものの、実際の動作においては、結構な消費電力に膨れあがるだろうと思われる。
価格は安くない
このRocket Lake-Sは既に販売が始まっているので、価格がある程度見えている。
まだ市場に登場していないものもあるので、全ての価格が解るわけではないが、最上位のCore i9-11900Kで大凡78,000円程度、Core i7-11700Kで59,000円程度、Core i5-11600Kで38,000円程度と、AMDのRyzen 5000シリーズと比較して安い、というイメージではない。
ただ、ソケットについてはLGA1200と第10世代と同じものが使われているので、マザーボードなどの流用はBIOSさえ対応していれば可能ではあるが、問題は前述した新チップセットであるIntel Z590チップセットと組み合わせる事で可能となるDMI 3.0×8の機能が使えないため、全ての機能を網羅しようと思えば、それなりの出費にはなるだろう。
性能は?
一番気になる性能だが、ベンチマークテストが既に実施されている。
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これによると、Ryzen 5000シリーズと渡り合える性能を得ている事は間違いないようだが、その他の検証などの情報によると、消費電力ではまだまだ追いつかない感じではありそうである。
また、Ryzen 5000シリーズは、さらに上位の12コア24スレッドモデルや16コア32スレッドモデルがあるので、上位製品での性能はどうしてもRyzenには叶わない。その場合、IntelはXeonを推す事になるのだろうが、そうなるとAMDはRyzen Threadripperを出してくる事になるので、結果としてはまだIntelはAMDを超えてきた、とは言い切れない段階ではなかろうか。
これはどうあっても製造プロセスに差がある以上、どうあっても覆す事のできない事なので、Intelは今しばらくは我慢の状態が続くだろう。
唯一の救いは、Ryzen 5000シリーズが市場で枯渇しているという事。今のウチにIntelが市場にRocket Lake-Sを投入すれば、モノがないが故にシェアを伸ばす事は出来るかも知れない。
まさに今が勝負時ではなかろうか。