いよいよOLYMPUSの後継機が本格始動。
正統進化
OLYMPUSのマイクロフォーサーズを使っている人は、ここ数年にかけてモヤモヤとした時間を過ごしたと思う。
OLYMPUSがカメラ事業を他社に売却し、その後フラッグシップの新製品が全く出てこない時間を過ごしてきた。
今の一眼デジタルカメラは、もはや高級機が幅を利かせる時代になったので、フラッグシップ機が出てこないという事は、即ち主力製品が動かないという事でもある。
だからこそ、新しいOM SYSTEMからフラッグシップ機が出てきてくれる事をいのり続けていたわけだが、ようやく、来月3月発売という事で、フラッグシップ機「OM SYSTEM OM-1」が同社のオンラインイベントで発表された。
見た目のデザインは、従来のE-M1をほぼ踏襲していると言える。軍艦部にも「OLYMPUS」の文字が書かれているのが意外だったが、これは今回のモデルのみになる可能性があるという。
価格は店頭予想価格で273,000円前後で、レンズキットの設定がなく本体のみの構成である。
名称のOM-1だが、これはOLYMPUSが1972年に銀塩一眼レフカメラに参入した際の「OLYMPUS OM-1」に由来しているという。その時の思いがデジタルの今の時代で生きる名として踏襲するようだ。
搭載するセンサーは裏面照射積層型のLive MOSセンサーを採用しており、受光面積が増えた事でダイナミックレンジが大幅に拡大し、高感度性能が向上しているという。
また画像処理エンジンは前モデルのE-M1 mk3の「TruePic IX」から進化し「TruePic X」となる。
センサーと画像処理エンジンの更新により、常用最高感度はISO 25600にまで拡大(従来は6400だった)し、最大設定感度はISO 25600から102400に向上した。
手ブレ補正はレンズと協調する5軸シンクロ手ブレ補正で最大補正能力が8段分という驚異的な補正へと進化した。
また、動画記録は4K60Pに対応し、連続撮影時間の制限もなくなった。もともとOlympus機は動画に弱いと言われていたが、これで肩を並べる性能に届いたとも言える。
強化されたAF等
気になるAFシステムだが、1,053点オールクロス像面位相差クァッドピクセルAFを搭載する。クァッドビクセルAFは、イメージセンサーのフォトダイオードを4分割する構成によって縦横の両方で位相差情報を取得できる特徴を持つ。これにより、全画素・全撮影領域で、いろんなパターンの被写体の測距が可能になったという。
これに繋がる技術として、インテリジェント被写体認識AFも進化した。名称を「AI被写体認識AF」と改め、車、バイク、飛行機、鉄道、鳥、にさらに犬と猫の認識に対応している。
連写速度も従来はAF/AE追従で18コマ/秒(ブラックアウトフリー撮影)だったが、OM-1はAF/AE追従で50コマ/秒に対応した。AF/AE固定だと120コマ/秒の連写が可能だが、これらは電子シャッターの時である。メカシャッター撮影時では最大10コマ/秒なので、この辺りは時代の変化を受け入れつつ性能とコストバランスを採ったという事かもしれない。
ちなみにシャッターボタン全押しで遡って撮影できる「プロキャプチャー」は連写速度が60コマ/秒から120コマ/秒に向上し、記録コマ数も35コマから70コマに拡大している。
他にも、いろいろな変化点があるが、これらは公式サイトでスペックを確認してもらった方がよいだろう。
OM SYSTEM OM-1
https://www.olympus-imaging.jp/product/dslr/om1/
(上記は既にリンク切れ。後継は以下より)
https://jp.omsystem.com/product/dslr/om-omd/om/om1/
コレは買いか?
さて…一番気になる話だが、このOM SYSTEM OM-1は買いと言えるカメラなのか?
スペックを見れば確かに正統進化と言えるし、イマドキの技術を取り込んだマイクロフォーサーズと言えるのだが、即決で「買い」と言えないと私は見ている。
その理由が、先日Panasonicから情報が出た「LUMIX GH6」の存在である。
GH6は、どちらかといえば動画撮影が得意なモデルと言えるが、だからといって静止画がダメかというとそうでもない。
またOM-1も今回は動画で4K60Pを無制限というスタイルで登場した。
互いに領域を重ねてくるモデルであり、また価格も近い製品なので、比較対象になってしまう。
まだGH6の詳細が発表されていない事もあって、現時点ではどちらが優位かは全く語れない状態である。
なので、判断はせめてLUMIX GH6の内容がハッキリしてからになるのではないかと思っている。
共にマイクロフォーサーズというマウントを使用するモデルなので、良きライバルとして存在して欲しいと思っているが、性能からして大きく差が付くとは考えにくいので、どちらが何を得意としているか? で、その人の「買い」の一台が決まるように思える。
ちなみに…スタイルだけで言えば、私の好みは「OM-1」である。
さて、新しいOM SYSTEMの渾身の一台が登場した。
これによって、マイクロフォーサーズに新たな光が差し込むのか、とても気になる。
願わくば、再び市場が活性化してくれる事を望むが…デジカメ市場はどんどんと厳しくなってきている以上、そう大きな期待はできないという流れは覆す事はできないのかもしれない。