Sonyがゲーミングデバイスの市場に参入してきた。
新ブランド投入
Sonyがゲーミングモニターとゲーミングヘッドセットを投入すると発表した。
しかもそれらは新ブランドである「INZONE(インゾーン)」というブランドで投入され、製品の技術としてはSonyのBRAVIAやノイズキャンセリングヘッドフォンの技術を採用しているという。
共にSonyの家電としてのブランドや技術を、そのままゲーミングデバイスの世界に投入する事を意味しているわけだが、正直、PlayStationブランドの製品でなく、ゲーミングという幅広いジャンルに向けて製品を投入してきた事に、意味があるのではないかと思う。
従来なら、SonyグループであるSIEのプラットフォームであるPlayStationに連動した製品を投入してくるのが自然な形だと言える。
だが、今回SonyはPlayStationと謳わず、ジャンルであるゲーミングという市場に製品を投入してきた。
言ってしまえばRazerと似たような立ち位置で製品を投入した、という言い方になる。
SIEとしてはあり得ない話だが、Sonyとして最近の動きを見ていると、何となく市場というものの見方が以前と異なってきているように思える。
プラットフォームに縛られない
SIEも含めた話かもしれないが、PlayStationというプラットフォームのIPをPCでも再生できるような動きを、Sonyは以前から見せてきていた。
それがPS4のリモートプレイだったりするワケだが、今はそれだけに縛られない動きを見せている。
PS Nowでもそうだったが、基本はPlayStationプラットフォームの上で動作する環境を用意していたが、最終的にそれらはいろいろなデバイスの上で動作する方法へと変わっていき、6月から導入された新しいPS Plusは3つのサブスクリプションに分類され、Essential、extra、Premiumと価格に差が付けられた。この差によって、受けられるサービスに差が付き、現時点ではクラウドストリーミングによるゲームプレイはPS4、PS5に限られるが、今後のアップデートでPCでもクラウドストリーミングによるゲームプレイが可能になる。
つまり、Sony自体がPlayStationというプラットフォームに縛られない方向に流れているわけで、今回の「INZONE」はまさにその流れの中に投入されたブランドのように見える。
というか、個人的にはそうとしか見えないのだが。
価格が高すぎる
こうしたSonyの動きそのものは、理解できるものである。
プラットフォームに縛られるよりは、より広いジャンルを捉えた方がブランドとしては大きくなるし、広がりが出る。
だが、問題はその投入される製品の価格が、どうみてもPremium価格にしかなっていないという事である。
投入されたゲーミングモニターは2種あり、27型4K/144Hz対応の「M9」は店頭予想価格154,000円前後と言われ、27型フルHD/240間Hz対応の「M3」は年内発売予定で現在価格は未定となっている。
27型4Kモニタでリフレッシュレート144Hzという、確かに性能はとても良い製品ではあるが、その価格が154,000円となると、少なくとも日本国内では飛ぶように売れるような製品とは言い難い。
ゲーミングヘッドセットにしても、ノイズキャンセリング機能を搭載した「H9」が36,000円前後、ノイズキャンセリング機能非搭載のワイヤレス「H7」が29,000円前後、ノイズキャンセリング機能非搭載かつ有線接続の「H3」が12,000円前後と、比較的高級な部類に入る価格帯に設定されている。価格を考えれば、決して安いとは言えない製品である。
ブランドとして安売りはしない、というスタンスである事は何となくわかるが、問題は機能に対してその価格が妥当かどうかというところ。
この辺り、Sonyはもう日本国内よりも海外を視野に入れて考えているのかも知れない。
今回のSonyの「INZONE」というブランドは、正直、私には刺さらないものであった。
ブランドを投入し、BRAVIAで培った技術を存分に使い、価格を抑えてユーザーを確保するような動きなら大歓迎だったのだが。