やはりそうきたか。
製品名変更
NVIDIAが今年発表したGeForce RTX 40シリーズの中で、GeForce RTX 4080 12GBは当初発表されはしたが、結局その後発売しない事が発表され、3モデル発表した製品が2モデルとなるという状況になった。
当初の発表ではGeForce RTX 4080には、メモリが16GB版と12GB版が存在し、それらはメモリ量の違いだけでなく、採用しているコアすら異なるモデルでありながら、製品名はどちらも4080と名付けられていた事から、実に判りづらいと評判が悪かった。
しかもそれは単に判りづらいというだけでなく、その裏側には価格を下げたくないであろう意図が見え隠れしていた。
評判が悪いと感じたからなのか、その後、12GB版の発売が中止となり、製品の発売がその後どうなるのかずっと不明のままだったのだが、ようやくこの不明になった製品の行き先として、新たに「GeForce RTX 4070 Ti」の名称でもって発売する意図があるという噂が出てきた。
折角製造もしていたわけだし、このまま廃棄というワケにもいかなかったのだろう。早ければ来年1月には市場に投入される可能性もあるようだ。
収まるべきところに
この流れは、結局のところRTX 30シリーズと同じものとなった。
現行世代のGeForce RTX 3070 TiもGA104のフルスペック仕様であり、コアの“4”名称のもののフルスペック版が同じ“70 Ti”を名乗るという形になった。
消費電力にしても、3070Tiが290W、4070Tiが285Wと、似たようなレンジに収まっている。
最初から、このような体制にしておけば、何も変更する事もなく、予定も遅延せずに市場投入できたのに、何故に4070系の名称にしなかったのだろうか?
やはり価格を低くしたくなかったから?
だとしたら、AMDを見習って欲しいものである。
ただ、NVIDIAの製造方法では、コストそのものを下げる事はまずムリではないかと考えられる。モノシリックダイでの製造だと、コストを下げようと思ってももう下がらないので、結局NVIDIAは4070 Tiと銘打った製品にしたとしても、価格は変えずに発売するのではないかと予想する。
こういう時、チップレット戦略を採っているAMDは実に賢いと思える。ニーズのあるところからメスを入れて行き、設計段階からどうやってコストを下げていくかという事を綿密にやっているように見える。
実際、ミドルハイのレンジに入ってくるであろう4070 Tiが、日本円にして16万円台のGPUとして発売された時、ほとんどの人は「高い」というイメージしか持たないと思う。
ミドルレンジ
ハイエンド製品はほんの一握りの人たちの為に作られるような製品である。世界の中でも相当な金持ちと呼ばれる人達であれば、GPUに30万とかつぎ込んでも性能が欲しい、なんて人もいるからだ。
しかし、多くの人はそんなハイエンド製品は欲しくても買えないし、そもそも排熱処理や電力処理の問題を解決する事の困難さから、手を出そうとしない。
そういった層は、結局ミドルレンジクラスの製品に留まるわけで、このクラスの製品の価格がある意味全てである。
AMDはそんな中にあっても、ハイエンド製品で性能勝負した時に勝てないと判れば、コスト勝負してくる。しかも絶妙なコスト設定である。
1,499ドルの4090に対抗する製品であるRadeon RX 7900XTXを999ドルという価格設定で出せるというのは、相当に強いという言い方しかできない。
消費者側の考え方であれば、ここまでの価格差があるなら、多少性能が落ちても扱いやすい分選びやすいとすら考えてしまうだろう。
実際、私だってモニターがG-Sync対応機でなければRadeonを選びたいくらいである。
まぁ、実際の所、まだNVIDIAから正式に製品や価格が発表されたわけではない。
なので、ホントのところはまだ判らないとするのが正しい判断と思うが、これまでの傾向から考えると、安い価格設定になる事はまずないだろう。
それにしても…ミドルレンジGPUすら価格が高くなり、そのちょっと上を狙いたいと思ったら一気に価格が高騰するというこの状況、ホント、何とかならないものだろうか?