昨年末の話の続き。
Webでの面会
昨年末、私宛に会社に一本の電話があった。
キーネットワークという会社から、私個人への電話という事で、当初は怪しい電話ではないか、と考えたが、とりあえず出てみようと話を聞いたところ、その話がヘッドハンティングの話だったのである。
正直、この話が来たときには、その怪しさからどう考えても詐欺か何かだと思えてならなかった。
その後、キーネットワークという会社をネットで調べて見たが、レイノスという会社の窓口業務を行っている会社だという事がわかった。
レイノスという企業そのものは、求人を扱う企業のようだったので、どこかしらから私の情報を入手した結果、求人サイトに登録、斡旋して手数料を取るという事をするような企業なのだろうとアタリを付けた。
とりあえず、Webでの面会という事だったので、翌年の1月12日を指名し、その時は納めたのだが、今日、まさしくその面談の日だったのである。
内容を知る
レイノスの担当者からは、Web面会の前に何度かSNSによる連絡が来ていた。
直前までZoomの接続先連絡がこない仕組みで、今日の夕方頃にようやくURLが送られてきたのだが、その前に個人情報の取扱いに関する情報などが送られてきていた。
そうした個人情報の扱いについての説明が事前にあるあたりは、真っ当な会社なのかなとも思えたが、今の時代、詐欺を働く企業だってそのあたりに配慮するのは当たり前の時代。事が起きるまでは安心はできないのが常である。
Web面談の時間に合わせ、Zoomに接続すると、担当者がカメラ越しに出てきた。
顔を隠すワケでもなく、すんなり出てきたところで、私もカメラをONにして面談が始まった。
先方からいきなり「怪しい連絡が来たと思われていると思いますが…」と言ってきたあたり、他でもそう思われているのだろう。
面談では、そうした今回の経緯に至るまでの話を説明してくれた。
どうやら、レイノスのエージェントに対して、私を紹介した人がいるらしい。
紹介者の情報は公開できる場合とそうでない場合があるとの事だが、レイノス側としては聞かれない限りは伏せておくのだとか。ま、私の場合は匿名からの情報というわけではなかったようだが、私からは相手が誰なのかは聞かなかった。
年末の電話では私をヘッドハンティングしたい人がいる、という連絡だったが、実際にはそうではないらしい。なので私はその旨を伝え、今回面談を受けたのは、そのヘッドハンティングしたいと言ってきた企業がどこなのかを聞きたくて面談を受けたと伝えた。
だが、実際にはそうではなく「○○ができるような人を紹介してほしい」という顧客からの要望に応えられる人材を集めるために、今回のような面談をしているとの事。
ようするに、レイノスという企業は、顧客から欲しいスキルを持った人材を探し、マッチングさせる事をビジネスとしているという事。一つの企業が自らの労力で欲しい人材を探すよりは、こうした人材を取り扱う企業が代行していろんな人材情報をため込み、斡旋する方がより効率的という、考えれば簡単な仕組みのビジネスモデルである。
で、今回は品質管理ができる人材を求めていた先に、私が当たった、という事らしい。
しかも、機密保持契約に抵触しないレベルで、その企業がどんな企業なのかも教えてくれた。
ある意味ベストマッチだったかも
その企業が欲していた人材は、単純な品質管理ができる人材ではないとの事。
具体的には、営業、技術、購買、生産管理、製造、品質管理、倉庫管理といった、各プロセスの間を取り持つ存在が欲しかったようである。
詰まるところ、それは品質管理システム(QMS)を理解するもの、という意味である。
実際、製造業に勤めるとよく分かるが、これら別セクション間の情報のやり取りが上手くいかないと、労力ばかりがかかって、しかも物事はスピーディに行われず、トラブルが続く。この各プロセス間のコミュニケーションをどう取り持つか? これが全てであるが、これをもっとも理解しているのがQMSを理解する者とも言える。
私はQC検定のような資格はまだ持ち合わせていないが、少なくともQMSには10年近く携わっているし、医療機器の事業をゼロから立ち上げるにあたり、その仕組みの構築、調整、運用までを実務として経験してきている。
今回の対象者としては、ある意味ベストマッチだったかもしれない。
だが、私は今回の件は丁重にお断りした。
理由は、私自身には仕事以外の面で背負う者があるからだ。
母の介護という実態があるので、業務を行うにあたり、欠勤する事もあれば早退、遅刻をする事もあり得る。
マッチングという仕組み上、そうしたしがらみのない人と私が同時に比べられたなら、真っ当な企業ならしがらみのない人を選ぶのが普通である。
私の場合は、最初からマイナス要因を抱えているわけで、そのマイナス部分を受け入れてでも私を雇いたい、という企業はある意味異常である。
というわけで、昨年の怪しげな電話は、怪しいわけではないものの私に福音をもたらす電話でもなかった。
ただ、自分の情報というものが自分の預かり知らぬ所でやり取りされ、それが表面化した時に今回のような事が起きるのだという事を理解した。
上手くヘッドハンティングされるだけの条件が整っていたら…私の運命も変わっていくのかもしれないが、今回はそういうのとは縁が無かったようだ。