Apple SiliconのM1の後継チップ…というか上位チップの噂が出始めた。
M1Xと称された上位版
昨年秋に登場したApple Silicon、通称M1は、今までのMacBookの常識を一気に覆し、WindowsのノートPCとの比較においても圧倒的性能を見せつける事に成功した。
その性能の高さは依然としてx86系コアの上を行く状況から変わりはないが、唯一の弱点としてメモリを統合している関係から最大16GBまでしか搭載できないという事、そしてI/Oコントローラーも統合しているがこれがThunderbolt3が2口という制限があった事である。
残念だが、どんなに処理能力が優秀でもメモリが最大16GBでI/OがThunderbolt3を2口のみ、という事であれば、これをハイエンド製品に使用する事は難しい。
よって、AppleはM1をあくまでもエントリークラスのSoCだとして展開した。
なので、現時点でこのハイエンドクラスの性能を持つエントリーSoCは、残念ながらiMacやMacBook Pro 16インチ等には利用されていない。
2021年に、それら上位モデルに、何らかの形でM1の上位版が搭載されるであろう、という予測が各所で立てられたが、いよいよその噂が表面化してきた、という事である。
ちなみにこのM1の上位版が噂されたのは、昨年11月のこと。つまり、M1が登場した直後くらいから、そうした話が出ていたのである。
Apple M1X:
-12 Cores.
– 8 performance cores.
– 4 high efficiency cores.
– Coming first on a MacBook Pro
16” unveiling as a press release.– According to a source who used a prototype, “if you think M1 is fast, you haven’t seen M1X”.
-Name isn’t final though. pic.twitter.com/tpBhXpDCad
— LeaksApplePro (@LeaksApplePro) November 22, 2020
「もしもM1が速いと思うなら、それはM1Xを見ていないからだ」
このようにツイートされ、話題を呼んだのである。
データベースサイトに
そして今回、CPUデータベースサイトのCPU Monkeyに「Apple M1X」のベンチマーク及びスペックと称される数値が現れた。CPUは高性能コアが8コア、高効率コアが4コアとなり、M1よりも高性能コアが4つ増える形になるようだ。
そしてさらに驚きなのは、内蔵GPUは16コアを搭載するという。M1ではGPUは8コアだったので、2倍に増強される事になる。
また、このSoCのTDP値は35w~45wとなり、最大32GBのLPDDR4X RAMを搭載し、さらにPCIe 4.0ストレージ対応となるらしい。
TDP値でいえばM1は15wだったので、2倍以上に引き上げられている事から、その持てるポテンシャルは相当高いものになるだろうと予想される。
ただ…このスペックは誰も正しいかどうかを検証できないという問題がある。なので、リーク情報なのか、それとも希望的観測が入っているのかがわからない。もしそれがハッキリとわかるようなら、Appleから公式発表があるわけで、この辺りの不確かさはやむを得ないのかもしれない。
可能性だけで言えば
なので、可能性だけで言ってしまえば、接続できる外部ディスプレイが2台から3台に増える可能性も考えられる。現在のM1では2台までしか接続できないので、この辺りはハイエンドMacでマルチディスプレイで作業している人には期待したい部分だろう。
また、さらに上位性能を持つSoCの登場も可能性としてはあるかもしれない。
先程は高性能8コア+高効率4コアのCPUだったが、高性能16コア+高効率4コアのSoCなんてものが登場するかもしれないし、搭載するメモリも64GBのSoCが出てくるかも知れない。可能性で言えばいろんな可能性が考えられる。
私が思うに、今Appleは複数のM1シリーズを製造しようとしているのではないだろうか?
Macにも性能的ランクがいくつかあるわけで、それらに全て同じApple Siliconを載せるというのは、あまり得策ではない。場合によっては歩留りの関係でランク下の製品が生まれる場合もあるので、ハイエンド製品を設計した後、歩留りでいくつかのコアを潰さないといけないものをミドルレンジあたりに持ってくるなんて事も考えられる。
もっとも、現在主力しているTSMCのN5プロセス製造で、ここまで歩留りが悪い事が起きるかどうかは不明だが。
何はともあれ、2021年のAppleも昨年同様、台風の目になる可能性が高い。
x86コアは、このApple Siliconの性能にどう立ち向かっていくのか、興味深いところである。