私がACE COMBATという作品に出会ったのは、初代PlayStationの時。
その前からフライトシミュレータなども好きで、演算能力の低い頃のPCでワイヤーフレームで動作するコンバットフライトシミュレータなどもプレイしていたぐらいだから、時代と共に進化するコンシューマ機によるフライトシミュレータは目移りするぐらい凄さを感じるものばかりだった。
その中で登場したACE COMBATは、その出会った時の衝撃の大きさはものすごいものがあった。
シミュレータとは明らか違う爽快感と迫力で、シビアであるハズのフライトゲームをシューティングゲーム感覚で楽しめてしまう…この新感覚は私を一気にACE COMBATファンにしてしまった。
当時ネジコンというコントローラの左右を捻る事でアナログ入力を可能にしたコントローラがあったが、それに対応していたのも面白い試みだった。
そんな初回作からプレイしていた私が未だに名作だと思っているのが、ACE COMBAT 3~エレクトロスフィア~である。
このエレクトロうスフィア、どうも一部の人からは不評らしい。おそらく世界観が一気に未来に進んでしまった事が原因だと思う。こういう航空戦を楽しむゲームは、過去の世界か近未来というのが常套句だが、エレクトロスフィアではかなり未来の世界をフォーカスしていた。
まぁ、そんな名作だったエレクトロスフィアの次の作品からは近未来に世界観が戻ったわけだが、なぜかこう昔の面白さというのが薄れていったような感じがした。それはACE COMBATらしさに慣れてきた…という事かもしれないが、あの爽快感が弱くなったというか、らしさを逆に感じなくなったのである。
そして5作目はプラットフォームがXBOX360になったため、とうとうプレイすらしなかった。表現力は凄まじく進化したが、見た目にどうも面白そうだと思ってもプレイするかという気に今ひとつなれなかった作品だった。
その後PSP版なども発売されたが、私の食指は動くことはなかった。面白そう…という意識はあったが、プレイするまでに至らなかったのである。
ところが、こんな私のACE COMBATへの思いは、実は日本国内での話であって、海外では思いの外知名度は低かったらしい。そこで開発元のナムコでも“ACE COMBATとは何ぞや?”という原点回帰に似た要素分解を行ったらしい。
そして生まれたのが、今回の新作“Assault Horizon”である。シリーズ7作目にして“7”という冠を付けず、あえて別称を取ったところに、新作への思いが込められている。
今回のAssault Horizonでは、トレイラームービーで見ているような事が実際にできてしまう! というのを一つのウリにしているらしい。
まぁ、本当にできるかどうかは分からないが、見ていて爽快と感じる演出はかなり突き詰めているようだ。
たしかに、初代ACE COMBATの面白さの一つはその爽快感にあった。慣れてしまったことでその爽快感というものそものが薄れた可能性はある。
だからこそ、今感じる事のできる爽快感にフォーカスしたというのは、ある意味原点回帰と言えるのではないだろうか。
それと、ストーリーに関して言うと、どうも今まで以上に現実とクロスオーバーする感じのリアリティ追求の近未来らしい。
シナリオを作るにしても、アメリカの軍事小説家と合宿してあり得ないと思われるような展開や要素を排除し起こりそうな出来事を追求、同時にゲームとしての面白さをピックアップして組み込んでいく…そんな作り方らしい。同じ近未来をテーマとしていても、その作り方はシリーズ5作目や6作目とは全く異なるという事だから、それも原点回帰と言えるかもしれない。
クレスレンジアサルトという新システムで、画面に表示されるアサルトサークル内に敵機を補足し続ける事でスピード感あるカメラワークなどによる演出が行われる。これは同時にミサイルの追尾性を向上させる効果もあり、破壊するという爽快感を向上させる事に寄与している。
過去のACE COMBATでは当たり前に感じる事のできた爽快感は、こういう新しいシステムでよりダイナミックなカメラワークを必要とするほど、現代人は感じにくくなっているのかもしれない。だが、このシステムでより確実に爽快感を感じる事はできるだろう。
演出するという事の難しさから生み出されたこのクロスレンジアサルトは、このAssault Horizonのコアとも言えるかもしれない。
現時点では発売日はまだ未定となっているが、クレジットを見ると2011となっている。ひょっとしたら2011年中には発売されるのかもしれない。
どれだけ原点回帰したのか?
今の私にとって気になるのはまさにその一点である。
PS3版も発売されるという事だし、久々に私も原点回帰する時がくるのかもしれない。