初音ミクという存在を知っているだろうか?
一般人には多分あまり知られていないとは思うが、アキバに出入りしている人の半分くらいはその名前を知っているのではないだろうか?
初音ミクとは、YAMAHAが開発したVOCALOID ENGINEを搭載した、クリプトン社製ソフト“VOCALOID”シリーズから出てきたキャラクターである。
VOCALOID ENGINEとは、プロシンガーの声をサンプリングしたデータを基にメロディと歌詞を入力するだけで曲を生成する事ができる音楽生成プログラムである。
最初の頃のVOCALOIDは、外国人シンガーのサンプリングデータしか発売されていなかったのだが、2004年11月にMEIKOという日本人女性のサンプリングデータが発売され、2007年8月にその日本人ボーカル第二弾として新たにキャラクターを当て込んで発売された。それがVOCALOID 2『初音ミク』である。
また『初音ミク』から、VOCALOIDはVOCALOID 2へと内部システムもバージョンアップされ、よりリアルな声が可能になった。
この初音ミクがニコニコ動画を始め、YouTubeなどで騒がれるようになってきたので、私も取り上げてみた。
クリプトン VOCALOID特集
http://www.crypton.co.jp/mp/pages/prod/vocaloid/cv01.jsp
たしか昔、MEIKOの時も日記に書いたのだが、ボーカルを自然な形でデータで生成する事そのものは不可能な事ではない…と考えられていた。
もちろん、そこに行き着くまでにはいろいろな問題があっただろうが、スタジオでいろんな歌のディレクションなどやっていると、そのあたりは何となく「できるだろうな」という確信めいたものを持つことができる。
というのも、今の時代、ボーカリストが歌詞を一部間違えても、つなぎ合わせで修正する事ができる時代である。もちろんそのつなぎ合わせるデータは、既存のデータを変調させたりして生成して…である。
この事から、フォルマントフォント(声のフォント)を作り、それが標準化されれば、すべてをゼロから作ることもできるだろうという憶測は、関係者なら薄々気がつく事である。
VOCALOIDは、まさしくそれを可能にしたソフトで、MIDIデータで曲を与え、それにVOCALOIDのフォルマントフォントに歌詞を合わせ、パラメータを与えればVOCALOID上でバーチャルソングが完成するというソフトだ。
その歌声がどんなものかは、上記リンクの中にあるデモソングを聴いてもらえばわかる。かなり自然な形の歌にできる事がわかるはずだ。
さて、前述したように、このVOCALOID 2『初音ミク』がニコニコ動画等で今ちょっとした話題になっている。
もちろん、そのほとんどがアニソンなどを歌わせたものなのだが、ここに来てオリジナル曲がとうとう登場しはじめた。
特に私の目に留まったのが『恋スルVOC@LOID』という曲で、初音ミクを完全に擬人化した曲である。
ディスプレイ上に存在する初音ミクから見た、VOCALOID 2を操作するユーザーに向けた歌で、ニコニコ動画の運営から「その詳細な話を聞きたい」と連絡があった曲である。
運営側が動いた。
この事がニコニコ動画の一部視聴者をさらに反応させ、公式ソングになるのか?というような異様な盛り上がりを見せている。
なお、作者からはmp3と歌詞が公開されている。
楽曲『恋スルVOC@LOID』
http://fuwafuwacinnamon.nm.land.to/koisuru.mp3(現在リンク切れ)
歌詞
http://fuwafuwacinnamon.nm.land.to/koisuru.txt(現在リンク切れ)
もちろん、これらのオリジナルであるニコニコ動画のFLVデータも存在するが、こちらはネット上ではニコニコ動画にアクセスしなければならないので、とりあえずリンクはしない。
聴いてもらえばわかるが、ハッキリ言って稚拙な歌声である。
出来そのものはデモソングから比べれば悪いが、こうした曲の存在が登場してきているという事に意味がある。
OSを擬人化して話題となった「OSたん」もそうだが、こういう擬人化されたキャラクターというのは、そこから大きな発展が考えられる。
今年12月には、初音ミクに続く第二弾が発売されるVOCALOID 2だが、まだまだこの熱は一部で燃え上がる(萌えあがる?)だろう。