EVGA、ビデオカードから撤退

他のメーカーも追従する、なんて事はないだろうな?

安定メーカーの撤退

米EVGAが、次世代のGPUを搭載したビデオカードを販売しないことを明らかにし、公式フォーラムのその声明を発表した。

EVGA 公式フォーラム
https://forums.evga.com/m/tm.aspx?m=3574574&p=1

これによると、EVGAは次世代GPUを搭載したビデオカードの製造をしないが、既存製品については引き続き提供を続け、サポートも継続するとしている。
今の価格はやはりオカシイEVGAは日本市場でも今では安定して知名度のあるビデオカードだが、搭載しているGPUはNVIDIA製のものばかりで構成されている。
この話、実は噂レベルの話では少し前に話題に出ていた事で、どうもNVIDIAとの契約で揉めた事が原因らしい。

北森瓦版
https://northwood.blog.fc2.com/blog-entry-11539.html

話が出たのは9月17日で、どうもNVIDIAとの関係が悪化した、という事のようで、状況として穏やかではない話のようだった。
EVGAの収益は75%がNVIDIA製ビデオカードらしく、EVGAとしては主力事業から撤退する事を意味する。なので、今でこそ既存製品の販売は継続する、サポートも続けるとしているものの、それがいつまで続くのかは全くの不明である。
おそらく、NVIDIAとビデオカードベンダーとの間で、価格に関する話が出た際、両者の折り合いが付かなかったのではないかと考えられる。

すべては需要と供給から

なぜこのような事が起きたのか?
すべてはマイニング需要とコロナ禍による半導体不足が引き起こした事と言える。
2~3年前、ビデオカードは今ほどの価格ではなかった時代だった。
それは当Blogでも幾度となく説明してきた事だが、半導体が不足し、そこにきてマイニングの需要があり、ビデオカードが全くといっていいほど手に入らなくなった。
その状況から・NVIDIA含めたGPUメーカーは、製品の価格改定を行うが如く、新製品の価格を一気に引き上げた。少なくとも日本では米国で販売されている価格の1.5倍~2倍くらいの価格になっていたが、それは最初に通達された価格との比較であって、おそらく米国市場でも価格が引き上げられていたのではないかと予想される。
10万円クラスのビデオカードが20万円超となり、5万円クラスのビデオカードが10万円クラスとなる時代の到来で、メーカーもベンダーも一定の利益は得られたとは思う。
だが、吊り上げられた価格は、その需要が終わる時に反動を受ける。
マイニング需要が終息した時点で、市場価格が一気に下がりはじめる。だが、メーカーは一度あげたGPU価格をなかなか下げないハズなので、ベンダーとしては売れる価格帯に製品を持っていけないと考えられる。そこに両者のトラブルの火種が生まれるた可能性がある。
NVIDIAも、次世代の4000シリーズの生産数は当初から絞り込むと言っていた。これは3000シリーズの在庫が相当数あるため、という噂もある。
だが、市場では余っているからといって価格が崩壊しているかというとそうでもない。以前と同水準にかなり戻っている感じがあるが、ミドルレンジからローエンドにかけての製品は価格が高めのまま推移しているように見受けられる。
ビデオカードで20万円という製品が当たり前に存在しているという事自体が、数年前ではあり得なかった話なのに、未だその影が見え隠れしている。
ベンダーとしては、もちろん利益が出ればそれでもいいかもしれないが、市場要求と異なる価格に思うような利益は出ない状況なのだろう。

性能的に必要十分

あともう一つ考えられるのは、上を見続ければキリがないが、GPU性能が一定量高くなった事で、既に必要十分という性能に達したという言い方もできる。
PCゲームなどでも、未だフルHD画質でプレイしている人は多いと言われていて、そこにHDRや高リフレッシュレートが最近は加わった感じである。
ところがGPUメーカーは性能的に4K画質でそれらを達しようと高性能を追求してきた。フルHDでプレイしている人からすると、完全にオーバースペックである。
既に必要十分という領域にあって、それでも高いGPUを誰が好んで買うというのか?
このプロダクトアウトの状況に、ベンダーが振り回されていると言えるかも知れない。
もちろん、一定数のハイエンドゲーマーはそうしたGPUメーカーの動きを称賛するかもしれないが、そんなのはほんの一握りである。
ま、その一握りの層がいるおかげで、GPUは常に進化、高性能化してきたワケだが。

というわけで、メーカーとしては安定していてとても信頼のあるEVGAがついにビデオカード製造から撤退した。
他メーカーもおそらくは同じようにギャップに苦しんでいるだろうし、NVIDIAの要求に対して困っている可能性はある。他メーカーが同じように追従しない事を祈るばかりである。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Share
アバター画像

武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

You may also like...

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


コメントは承認待ちです。表示されるまでしばらく時間がかかるかもしれません。

Desktop Version | Switch To Mobile Version