何か、前にも似たようなタイトルの記事を書いたような気もするが…ま、それはおいておき、フォステクスから約1万円の自作スピーカーキット「かんすぴセット」が12月18日に発売になる。
10センチフルレンジと8センチフルレンジ
かんすぴセット2種というのは、組み込むスピーカーの径が2種類あるという事。10センチフルレンジスピーカーのタイプと8センチフルレンジスピーカーのタイプがあり、どちらも2本1組セットで、しかもアンプも付属する。
実はこのかんすぴセットは、ちょうと1年ほど前に、フォステクスが簡単に作れるスピーカーとして発表した“かんすぴ”というキットを2個セットとしたものである。
だから商品的には真新しいという事はないのだが、今の時代はスピーカーはステレオ運用で2本セットが基本だから、このかんすぴセットが事実上有効な商品になるのではないかと思う。
これが8センチフルレンジのキット「KANSPI-8」で、スピーカーバッフルが四角い形をしているのが特徴。エンクロージャーに取付けると結構カッコイイ。
かんすぴ 公式サイト
http://www.fostex.jp/kanspi/
かんすぴセット ニュースリリース
http://www.fostex.jp/news/404
この公式サイトの一番最初に表示されるのが8センチモデルである。
バスレフのスピーカーとして実にスタンダードではあるが、自作故の自由なスタイリングに加工できる所が魅力である。
こちらが10センチフルレンジのキット「KANSPI-10」で、スタンダードなタイプ。
フォステクスのこの手のスピーカーはスピーカー径のわりにスリムなものが多いが、このキットもその例にもれずスリムでコンパクトなスピーカーだ。
この2種類のキットに付属するエンクロージャーは、既に完成品となっていて吸音材も中にちゃんと仕組まれている。組み立てる際には背面のターミナルとスピーカーをスピーカーケーブルで接続し、スピーカーをエンクロージャーに固定するだけ。自作といっても、ドライバー一本で作業が終わる簡単作業である。
価格は「KANSPI-8」が10,290円、「KANSPI-10」が11,970円と、以前のかんすぴから比べると随分とお得になっている。
ちなみに…私が秋に自作したStereo付録のスキャンスピーク5cmのキットは、総額で1万円近くかかっている。かんすぴキットはアンプも付属しているのだから、かなりお得と言える。
“作る”という行為から“創る”を生み出す
このかんすぴキットに付属するアンプは、単体でも販売されている“AP05”というモデルで、その能力も実にスタンダード。出力は0.5w+0.5w、S/N比80dB以上と、能力もこのスピーカーを鳴らすには必要十分なものである。
背面のスピーカー出力と前面のヘッドホン出力をどうやって切り替えるのかはわからないが、おそらくヘッドホンジャックにヘッドホンが接続されている時のみスピーカー出力を切るという排他仕様ではないかと思われる。
大きさは86mm×26mm×67mmと、実にコンパクトで、価格も単体価格で4,800円(税別)と特別凄い何かがあるようなものではない。
フォステクス AP05 公式サイト
http://www.fostex.jp/products/AP05
このサイズと価格なら、そろそろ発売されるStereo 2014年1月号に付属するLUXMAN製LUX-OT3を使ってもいいかもしれない。おそらくそちらの方が音が良い可能性もある。
こういう“作る”事を意識したキットを経験すると、そこから自分なりの創造が生まれる事がある。
それは別に手の込んだものでなくてもいい。今言ったような、このアンプと違うアンプを組み合わせてみる…というのも、ひとつの創造だと思うし、前述したエンクロージャーの自由なスタイリングへの変更でもいい。
もっと良い音を求めたいなら、取付けたスピーカーをアップグレードしてもいい。
フォステクスからは、8cmも10cmも上のグレードのスピーカーが発売されているから、これらに取り替えて音を楽しむのもいい。
とにかく、ありのままだけでなく、いろいろ自分で手を入れてオリジナルと違う楽しみを見つける。
そこに想像があり、その想像から新しいものを創造する…その楽しみを知るには、このかんすぴキットは実に入門用として良く出来ているように思う。
雑誌付録のアンプやスピーカーを作るより、ずっと簡単で入門的だと思う。
私はStereoという雑誌付録に突き進んでいるが、まずはもっと簡単な所から…という人にぜひお勧めしたいキットである。