第2世代Ryzenと新チップセットの組合せ。
ストレージ高速化手段
Intelには、Intel Smart Response Technology(ISRT)やIntel Optane Memoryといった、ストレージの高速化手段が今までいろいろと提供されてきたが、AMDからはというと、有償による企業向けとも言えるようなサービスしか存在していなかった。
だが、第2世代Ryzenの登場と共に発表されたX470チップセットでは、遂にストレージ高速化技術である“AMD StoreMI”が提供され、AMD製のシステムであってもストレージ高速化手段を利用する事ができるようになった。
だが、このAMD StoreMIは、IntelのISRTやIntel Optane Memoryとは根本的に異なっている部分があり、いわゆるSSDをキャッシュとして使用するという技術とは異なるアプローチを持つものである。
AMD StoreMIでは、高速なSSDを「Fast Tier」とし、低速なHDD等を「Slow Tier」として選択し、2台のドライブを統合した仮想ドライブを作成する。なので、基本的にこのAMD StoreMIという技術を利用する事で、容量の足りなくなったストレージの容量を別ドライブを使用する事で増加させる事ができるという使い方もできる。
Intelとの違いで言えば、キャッシュというアプローチではなく、複数ドライブを連結した複合ドライブとして構成し、アクセス頻度の高いデータをFast Tierへ、あまり頻度の高くないデータをSlow Tierへ保存する事でアクセス体感を高速化する、というものである。
具体的なデータの割り振りに関しては何を基準にしているかはわからないが、Windowsから見たドライブは一つとして認識されるところは、ISRTやIntel Optane Memoryと同じであるのだが、Intel Optane Memoryと大きく違うのはデータドライブへの適用が可能だという事である。ISRTではデータドライブでの運用も可能ではあるが、Intel Optane Memoryは基本的に起動ドライブでの運用となるため、ここに大きな違いがある。
また、AMD StoreMIでは、メインメモリを2GB分、キャッシュとして追加する事も可能という部分も、Intelとは異なるところである。
どちらが構成するにあたってハードルが低いかというと、AMD StoreMIの方が技術的には低い事にはなるが、起動ドライブを高速化する上では、OSがUEFIモードでインストールされていなければならないという条件に関しては、Intelとの違いはない。
効果は?
で、問題のAMD StoreMIの効果だが、それを検証したサイトがある。
impress PC Watch
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/topic/review/1123034.html
これを見る限り効果はテキメンで、読み込み2回目以降はSSD並の速度でアクセスしている事がわかる。
但し、キャッシュメモリの効果はあまり見られないような所もある。おそらくはキャッシュメモリとして使用する容量を超えるデータを扱った際に、最初はキャッシュメモリを読みに行き、それで足りないので再度Fast Tier、Slow Tierへとデータの確認をしている為に、遅れるのだろうと思われる。
であるなら、キャッシュは使わない方向でいいのかもしれない。
概ね、2度目以降のアクセスではFast Tier並の速度が出ているので、この技術を利用できるなら積極的に利用した方がいいのではないかと思う。
ただ、コノ手の技術は残念な事に上級者向けと言わざるを得ないところがある。
結局はUEFIモードが基本にあり、まずはそれでOSをインストールしているかどうかなど、ゼロから自分で構成している人の場合には、どれだけ熟知した上で構成しているかが問われる部分がある。
私はIntel Optane MemoryをISRTで利用しようとして引っかかった為、私自身もまだまだ上級者とは言えない所にいるワケだが、こうした技術を利用することでより便利につか売るようになる事は間違いないので、今後、より理解を深めていこうと思っている。
まずはAMDで構成している人は、AMD StoreMIを試してみて欲しい。