ようやくここまで来たか…。
Optane DC
Intelが現地時間30日に、DDR4メモリスロットに挿す事のできる「Optane DC」不揮発性メモリを発表した。これはIntelがMicronと開発したOptaneメモリをメインメモリで使用するというもので、PCI Express接続でなく、DDR4メモリインターフェースで運用する事で、低レイテンシと高速性を実現したもの。
メモリモジュールそのものはOptaneメモリと同様、従来のDRAMと異なり電源を切ってもデータの保持が可能であるため、電源を落としたとしてもデータは保持され、数秒で再起動なども可能となっている。
現時点では1モジュールあたりの最大容量は512GBとなっているが、Optaneメモリのスタック技術が向上すれば、今後はもっと大容量を搭載する事も可能と思われる。
2019年に本格展開
Intelでは、Optane DCを現在サンプル出荷中で、年内には限られたメーカーに出荷する予定としている。
本格的な普及に関しては、2019年を予定していて、今後データセンターを中心に新しいメモリ/ストレージ技術を提供していくとしている。
ま、要するに基本的には商業ベースの技術という事になるので、民生用に下りてくるにはまだまだ時間がかかると考えられるが、この不揮発性メインメモリの技術は昔からいろいろ騒がれていただけに、ようやくここまで来たか、という感じを受けなくもない。
不揮発性である事の未来
基本的にメインメモリというのは、常にデータが書き換えられる事から、NANDフラッシュメモリではとてもその書き換え回数には耐えられないと言われていた。
そこで、MRAM(磁気を利用した不揮発性メモリ)などいろんな技術でデータ内容を保持する事を可能にしたDRAMの代替メモリが研究されてきたが、速度と容量、そしてコストとの兼ね合いでなかなか実現に至っていなかった。
そこにきて3D XPoint技術を使ったOptaneメモリがその弱点をある程度克服、キャッシュに利用できる事を証明し、今ようやくメインメモリの代替という方向で商品化してきたと考えられる。
このメインメモリを不揮発性にする事で、いろんなメリットが生まれると言われている。
まずは再起動の短縮化で、メモリに起動時のメインメモリの内容を残すことで、再起動時に前回内容をそのまま保持している事で一気に起動できるというメリットがある。
このメリットには一つ弱点があり、メインメモリ内に不具合を内包してしまうと、再起動してもその症状が改善しないという問題がついて回るのだが、このあたりは不揮発性メインメモリが実現可能になった段階で今後いろんな技術との組合せで解決していく可能性が高い。
また、今まで用途として分かれていた、メインメモリとストレージの関係が大きく変わるとかんがえられる。
揮発してしまうメインメモリにデータをロードするというのが通例のプロセスだが、そのメインメモリにデータをロードするという行為の意味合いが異なってくる。おそらく、今後のプログラムの在り方からして変わってくる可能性がある。
ある意味、PCの構造もこれから先の未来に変わっていく可能性がある。そもそも、ストレージのアクセス速度がメインメモリ並になれば、今のメインメモリの必要性はないのである。
Optane DCだけがその未来の鍵になるとは思わないが、不揮発性メインメモリという未来が今後より活性化する事を期待したい。