都内に15店舗ある“山本耳かき店”は、その名の如く耳かきしてくれる店なのだが、そこはそれ、普通に耳かきだけでは無意味であり、結果“浴衣の女の子が膝枕で耳かき”してくれるというサービスが特色となっている。
まぁ、こんな事をいうのも何だが、こんなのがサービスとして成立する時代というのもどうかと思うのだが、ニーズがあって成立してしまったのだから仕方がない。
これで何の問題もなく風俗とはまた違ったサービス業として展開してくれていればよかったのだが、やはりというか、やっぱりというか、問題が起きてしまった。
山本耳かき店の指名No.1の女の子が、常連客に交際を求められ、その交際を断わった事で刺され、その祖母は死亡・女の子本人も意識不明の重体という事件が起きてしまった。
まったくもって、世も末である。
容疑者として逮捕されたのは、会社員・林貢二容疑者(41歳)で、山本耳かき店の常連客だった。多き月では30万~40万をつぎ込んでいたらしく「これだけ通っているんだから、付き合ってくれてもいいだろう」と交際を迫ったらしい。
…そもそも30万~40万円をどうやってコイツは支払えたのだろう? と私などは思ってしまうが、ため込んだ貯蓄をつぎ込んだのかもしれないし、林容疑者は稼ぎが良い職についていたのかもしれない。
だが…この男は自分が心の病に冒されている事に気づかなかったのだろうか?
店の女の子に直接つぎ込んだワケでもないだろうに、さも自分がその娘につぎ込んだと勘違いしただけならいざ知らず、それに恩を着せて交際を迫るなど、思考があさはかもいいところである。
しかも林容疑者があまりにもしつこいからだろうが、山本耳かき店が林容疑者を出入り禁止とした後には、ストーカー行為に出、挙句の果てに殺人事件である。
後先考えない41歳…実に痛い話である。
この事件、もし新宿歌舞伎町などで起きていたら、多分「ああ、またこんな事件なのね」で終わっていたかもしれない。
だが、問題はこの刺された被害者の女の子が“山本耳かき店 秋葉原店”勤務だったという事だ。当然、事件当日の秋葉原は、警察とマスコミで騒然となっていた。
秋葉原という地名が加わった事で、これで少なからず、秋葉原というイメージが同事件にテイストとして加えられ、またねじ曲がった解釈に突き進んでいくのではないか? と私は危惧している。
世間の秋葉原に対するイメージというのは、かなりねじ曲がったものが多いが、それは事件性を帯びると途端に発火し暴発する。
誤解もいいところである。
一つ言っておくと、秋葉原という街はヲタクの街なのではなく、ヲタクを相手とした商売が売れるから秋葉原がそういう街になったのである。
その昔、秋葉原はラジオパーツの店が所狭しと並んでいた。それは戦後、ラジオを買うよりは自分で作った方が安上がりという事で、パーツを売り始めた結果それが売れたためであり、要するに売れるものを売ろうとする業者が集まる街なのである。
ラジオの次にテレビ、テレビの次に白物家電、そしてパソコン、ケータイと続き、今のようなアニメ産業やヲタク産業が台頭してきたのである。
秋葉原という街の歴史を眺めると、確かにマニアを集める土壌はあったかもしれない。しかしそれが即ヲタクと直結というのは間違いだろう。
そこのところがイマイチ理解されていない。
アキバ系なんて言葉が生まれた背景にも、秋葉原という街の歴史は何ら関係がない。要するに売れるキャッチコピーでしかないワケである。
だが、やはり人はイメージに流される。それがマスコミの責任であるという事にマスコミ自信が気づいていないという問題が、今大きく影を落としている。
少なくとも、私はそう思っている。
と話は脱線したが、この残念な41歳は明らかに心の病の持ち主である。
精神鑑定ではおそらく正常と出るだろうが、後先考えないストーカーはやはり私はどこかに心の病があるのだろうと思う。
だれかバッサリ斬ってやって欲しいものである。世の中の為にも。