ジャイロを内蔵し、操縦者の体重移動などで自由に移動できる乗り物として、随分と前からセグウェイが存在していた。
セグウェイはその斬新な発想ゆえに素晴らしい乗り物であると言えるが、悲しい事に公道で乗ろうとすると現行法では解決できない問題をいくつも抱えている事で、思ったよりも普及が進んでいないというのが世界的に言える事だ。
米国ですら、一部の工場や公共機関が使用しているだけに留まっているのだから、世界的に普及するのにはまだまだ時間はかかるだろうし、まして日本での普及はまだ相当先の話と言える。
日本では千葉県の一部の駐車場管理に使われていたり、東京では東京ビックサイトの警備に採用されたりしているが、どれも公道を走る事を禁じている事から、そうした業務用途での使用に留まっている。
セグウェイですらまだまだ困難な状況であるにも関わらず、HONDAはセグウェイとはちょっと違ったアプローチで非常に不思議な乗り物を発表した。
次世代型の電動一輪車“U3-X”である。
このU3-Xは、HONDAが開発した二足歩行ロボット“ASIMO”のオートバランサー技術と、新たに開発したHOT Drive System(全方位駆動車輪機構)を組み合わせ、前後左右、つまり平面上の360°に渡り自由に移動できる仕組みを取り入れた画期的な一輪車である。
実際に動きを見てみないと分からないだろうから、YouTubeにて公開されている動画を紹介する。
動画で動きを見ればすぐにわかると思うが、実に滑らかに前後左右に動いている。この滑らかな動きがどのような仕組みなのかは公式サイトの広報発表ページを見てもらうとして、その仕組みを知ると、おお、なるほどと単純に関心してしまう。
まだ試作機という事もあり、リチウムイオン電池での稼働で1時間しか動かす事ができないのだが、この技術を応用する事でいろんな方面に新しいテクノロジーをもたらす事ができそうだ。
私が考えるに、真っ先に応用されそうなのが、介護に使用する乗り物だ。
もちろん、今のこのような形にはならないだろうが、脚の不自由な人向けにいろんな事が出来そうだし、何よりアクセルやブレーキという挙動とは違う制御であるため、安全性を含めて研究の余地はいろいろあるのではないかと思う。
これを機に、日本でも本格的にジャイロ型の乗り物への積極的なアプローチが欲しいところだ。
セグウェイも含めて、エコを謳うなら化石燃料の乗り物から電動へとシフトしていく方がいいだろうし、交通というものを再整理する意味でも都合が良いのではないかと思ったりする。
とりあえず、HONDAの今後に大いに期待したい所だ。
最後に。
とりあえずYouTubeのオリジナルもリンクしておく。
動画は前述のものと同じなのであしからず。