なんかこのタイトルだと絶対的な製品というイメージが出てしまうかも知れないが、そういう意味ではないのであしからず。
入門用としてオススメできるもの、と捉えて戴けるとありがたい。
但し、入門用としては出来すぎた製品とも言えるので、万人にオススメできるという事に関しては間違いないのではないかと思う。
30年の歴史が生み出したダイナミック型イヤフォン
Dynamic Motionという会社がある。
韓国のメーカーなのだが、30年以上も前からダイナミック型スピーカーユニットを手がけている会社で、毎月2000万個ものユニットを生産し、世界中のヘッドフォンメーカーに納入しているメーカーだ。
今では世界トップシェアのスマートフォンに付属するイヤフォンのユニットも手がけているそうで、そのトップシェアスマートフォンがiPhoneなのかそれともGalaxyなのか気になる所ではあるものの、その製品レベルが低くない事がよく分かる話である。
そのDynamic Motionが初の自社ブランドとして手がけたのが、今回オススメしたいインナーイヤフォン“DM008”である。
色はゴールド&ブラック、シルバー&ホワイトと、わかりやすい2種類が用意されている。
ハウジング自体は樹脂製ではあるが、アルミカバーが使われていて不要振動を抑制しているものと思われる。
デザイン的に実にわかりやすいのがLRの区別で、最近私が買ったSonyのXBA-H2などは最初どちらがどちらなのかわからないといった事があったが、DM008は見てすぐにわかるデザインとなっている。
よく見るとわかるが、このLRのマークはケーブルパーツの一部がそのままデザインの中に取り込まれている。良く出来た構造だ。
ケーブルは平型で分岐部分のパーツにも金属が使われるなど、部分的に高級感を出してきているが、残念ながらケーブルの脱着はできないようになっている。残念。これが出来る様だと格が一つ上がった感じがするのだが…同社第2弾に期待したい。
試聴していないので…
残念ながら、年末にこの製品が直接売り場に出ていないか探したものの見つからず、私自身は試聴できていない。
試聴していれば、どんな感じかを直接レビューできるのだが…。
なので、この製品をレビューしたサイトを紹介する。私より明確にレビューしていると思う(爆)
impress AV Watch
http://av.watch.impress.co.jp/docs/review/review/20131219_627924.html
このレビューによると、8mmのドライバーユニットながら10mmユニットと同等の性能を持ち、大口径でない事が音のバランスをよくしているといった感じだ。
よく勘違いする人がいるので一つ言っておくと、音はすべてバランスで決まる。
高音域、低音域がズバ抜けて良く出るユニットをそれぞれ配したとしても、おそらくそれでは中音域は犠牲になってしまうだろう。それぞれのユニットが自分の得意分野の音を再現しつつ、他分野の邪魔をせず、そのバランスをもって音を再現できる製品が良製品なのである。
BAドライバーユニットをいくつ配しようが、大口径ダイナミックドライバーを配しようが、そこから出てくる音が他の領域を打ち消してしまっては意味がない。
すべてバランスが整って初めて良い音になるのである。
だからダイナミックドライバーただひとつを配した製品だとしても、それで全ての領域の音をちゃんとカバー出来ていれば素晴らしい製品になる。要は音をどのようにチューニングしているか? という事が全てである。
Dynamic Motionの今後に期待したい
DM008自体の価格は13,440円と、高級ヘッドフォンという枠組みには入らない価格になる。
3,000円ぐらいの製品を購入する人からすると「高いよ」と思うかもしれないが、私の持論として、良い音を聞きたいなら1万円が一つの目安になる。
だから、この製品は私からすると入門用。もちろん入門用以上の音は出るかもしれないが、導入しやすい製品として考える。
BAユニット製品でない事に苦言を呈するのであれば、この価格帯でBAユニットを搭載している製品に手を出してみればいい。多分、低音がスカスカな感じがするかもしれない。
もともとBAは低音が得意ではないし、価格からいえばBAユニットを一つ配するのが精一杯だと思う。それで音をチューニングしようとしても、上手く低音が再現できないのではないかと思う。もちろん、空間を利用して低音をチューニングしている製品もあるかもしれない。
ダイナミックドライバーは逆に高音が不得意だが、再生できないわけではない。問題はその不得意な音域を殺さずに活かすチューニングができているかで決まる。
そういう意味では、このDM008はオススメできる製品ではないかと思う。価格帯以上の価値があるように思う。
Dynamic Motionは、春頃にDM008の上位機種を発売できるよう開発を進めているようだ。
その製品はフルメタルボディの製品になるような事を言っているようで、期待が持てる。
また、Balanced Dynamic Driver(バランス型ダイナミックドライバー)という技術を持っていて、2種類の異なった素材を使用したフォーミング振動板によってバイアス振動のないドライバーユニットを製造する技術を持っているとの事で、BAユニットのようなクリアな音を再現できるらしい。
そうした製品を投入する事で、ダイナミック型でありながらBAに劣らない製品を開発していくようだ。
こういう話を聞くと期待せずにはいられない。
今後に期待しつつ、その新製品の価格が高くならないことを祈りたい(爆)