何故に3種のコードネームが混在するのか?
第8世代Core
8月21日本日、Intelは第8世代Coreプロセッサを正式に発表した。
私的にはCoffee Lakeの話題になるのだろうと思っていたら、まず発表されたのはKaby Lake Refreshという、TDP 15Wの製品群だった。
(下記写真はKaby Lake Refreshのダイ写真)
要するにモバイル系のコアとなるUシリーズという事だが、それが今まではデュアルコアまでだったものがクアッドコアとなって登場する事で性能が大きく引き上げられるというものである。
2コアが4コアになる事で単純に性能が上がるのは当たり前と言えば当たり前なのだが、別に微細化プロセスが前進したとかそういう理由でそうしたワケではないだろう。おそらく、ライバルとなるAMDのRyzen 3シリーズの登場と、それに合わせて年末に登場する予定といわれている、Raven Ridgeが4コアであるという情報があるからだろうと思われる。
Intelの方向性としては、ライバルがコア数を増やしてマルチスレッド処理でリードしてきた事に合わせて、各レンジで投入するCPUのコア数を見直しているのだろうと思われる。
その証拠に、発表されたKaby Lake Refresh以外にその存在を明らかにした、Coffee Lakeも、上位版は6コアCPUになると発表されている。
そう、今回第8世代Coreプロセッサとして発表されたコアは、Kaby Lake Refreshだけでなく、Coffee Lake、そしてその次に投入されるというCanon Lakeまで含まれているという。
第8世代と言っておきながら、コードネームが3種類も混在するという状況にある事で、今回の第8世代Coreプロセッサは、かなり混乱する事になるだろうと思われる。
省電力コアはより魅力的に
Kaby Lake Refreshの登場で、個人的には省電力コアは依然のKaby Lakeよりずっと魅力的になったと思っている。
2コアだったものが4コアになるのだから当たり前と言えば当たり前だが、それ以外にもPower Limit値が変更されているという所にも注目すべきところがある。
このPower Limit(PLと略す)とは、CPUに供給する電力値の事で、PL1、PL2、PL3、PL4と4つの値が規定されている。PL3とPL4はオプション扱いだが、どんなCPUでもPL1とPL2は設定されていて、このPL2の値がKaby Lake とKaby Lake Refreshでは大きく異なっている(ちなみにPL1は通常駆動のTDP値となっていて、PL2はターボブースト時の値である)。
異なる理由は、コア数そのものが違うからというのもあるが、それ故にPL1からPL2へのTDP上昇率が異なる。
Kaby Lakeでは1.25倍に設定されているものが、Kaby Lake Refreshでは3倍と跳ね上がっている。駆動させるコア数が増えて、それをオーバークロックさせるとなれば当然それぐらいの倍数になるのだろうが、当然の如くそれだけの処理能力を手にできる事になる。
設計する側からすれば、それだけ増大する熱設計電力を考慮した設計にしなければならないワケだが、ユーザー側からすればハイパワーを手にできる事になる。
なので、Kaby Lake Refreshの登場で、開発側は筐体設計から手を入れなければならない事になるが、性能は今までよりずっと上のレンジに来る製品が出回る事になる。
より微妙なCoffee Lake
Kaby Lake Refreshのようなモバイル系と異なり、デスクトップ系のCoffee Lakeは今まで考えていたよりもずっと微妙なCPUになる可能性があるように思える。
一応、登場するであろうCoffee Lake-S(Sシリーズはミドルレンジデスクトップシリーズ)は、今年10月頃の登場になると考えられるが、やはり当初から言われているように組み合わせるチップセットは2段階で投入される予定らしい。
最初に投入されるZ370というチップセットは、基本的にはKaby Lake-S用として提供されている200シリーズの焼き直しで、Coffee Lake-Sの電力レギュレータに合わせた改変がされているものになる。なので基本機能はZ270と同等と言える。
そして来年に投入されるチップセットZ390はさらにその後に投入される予定のCanon Lake向けに開発されたものがベースとなり、ここからが本当の300シリーズのチップセットと言えるものになる。
一応、Coffee Lake-Sは6コア版と4コア版が登場すると言われているが、Intelが以前言っていた、性能30%アップという指標が、このCoffee Lake-Sの事を指すのか、それとも次のCanon Lakeを指すのかはわからない。
Coffee Lakeはますます立ち位置として微妙なコアになるように思えてならない。
本命はCanon Lake?
以上の事から、Intelコアを本気で導入しようと考えるなら、今はCanon Lakeまで待つ方が無難なように思える。
Canon Lakeは10nmプロセスで製造されるコアで、一応今年の年末には一部が出荷されると言われている。
それが、どのレンジの製品なのかはわからないが、どちらにしても本格的に量産品が出回るのは2018年の第2四半期の時である。
Canon Lakeが10nmなら14nm++のCoffee Lakeよりワットパフォーマンスはずっと高いだろう…そう考える人もいるかもしれないが、そうとも言えない事情が今の微細化プロセスの技術であり状況なので、Coffee LakeとCanon Lakeの性能差はあまり大きくないかもしれないが、これは今の段階では全くわからない。
ただ、搭載する機能は間違いなくCanon Lakeの方が新しく、また進んだものになるので、本命がCanon Lakeになるだろうという事は概ね間違いない。
こういう時、自作ユーザーは本当に迷うことになる。
混乱もするし、性能比較情報を片っ端から集めて歩くことになるわけで、それが楽しいという言い方もできる反面、導入すべきものがどれがベストかを悩むわけである。
AMDが投入したRyzenを発端に、Intelが大きく慌ただしく動きだし、ユーザーサイドとしては選択肢が増えただけでなく同時に混乱まで起き始めた。
それぐらいRyzenの登場は大きな波を起こしたと言えるのかも知れないが、これは今までがあまりにも平穏過ぎたという事の反動なのかもしれない。
Vega64、発売
そういえば…今日はRadeon RX Vega64の発売日だったわけだが、おそらく各店頭では瞬殺している事だろう。
どうもリファレンスカードの販売は国内では4店舗のみで行われたようで、AMDから指定された所でのみの発売だったようである。
ほとんどの所では予約分販売のみという感じだそうだが、一部では当日分として20枚用意された所もあるようだが、所詮は20枚である。すぐに瞬殺する事は間違いない。
ワットパフォーマンスではGeForce GTX 1080に全く及ばない事はわかっているが、重い処理でも性能が落ちにくいという傾向のあるVega64だけに、性能重視な人やマイニング目的な人などからは重宝される存在になるだろう。
私も突貫したいところだが…流石に価格が価格だけに、国内販売価格の見直しが行われればいいのに…と米国より2万円近く高い国内価格を恨むのであった。