昨日発売となったRyzen Threadripperの実況放送。
全てが豪華
昨日発売となったRyzen Threadripper(通称スリッパ)だが、早速各所でレビューの為の実況放送などが始まった。
CPUそのものがとてつもなく巨大であり、その取りつけ方法も従来のCPUとは異なる為、実際にスリッパを扱う人は結構注意が必要だったりするのだが、こういう実況動画があると手順などの確認には良いかも知れない。
その道のプロたちが試行錯誤している姿を見ると、プロでも手間取ったりするのだな、という事がわかるのだが、それぐらい今までのAMD系コアとは扱いの異なるCPUだという事がよくわかる。
また、スリッパのCPUクーラーは基本が水冷が基準になる。もちろん空冷でも動作するのだが、上位品になればなるほどその発熱は高くなり、流石に16コアで3.4GHz動作(ブーストクロックは4GHz)ともなると、その発熱量はハンパではないと見える。
実際TDPも180Wと高い為、通常使う上では水冷が基準と言っても疑いようがない。
メモリも4chで、IntelでいうならばまさしくXeonのPCを組み立てている感覚に近いが、スリッパはこれでもサーバ用途向けではなくあくまでもハイエンドゲーマーやクリエイター向けのCPUという扱いである。
ま、AMDとしては久々のハイエンド向けCPUという事でIntelと全ての市場で戦うつもりでスリッパを展開しているのだろうと思う。
16スレッドの脅威
上記動画では、当初CPUの搭載間違いで1920X(12コア)でのスタートとなっているが、その後1950Xに差し替えてベンチマークを回している。
12コアの時も凄いと思ったが、16コアのマルチスレッド処理能力の高さはそれを遙かに凌駕し、その性能差は数値で表せば大凡2割ぐらいの性能差がある。
面白いのは、IntelのCore i9-7900Xが大凡1920Xと同等の性能のようで(もちろん処理によっては異なるが)、10コア20スレッドのIntelコアと12コア24スレッドのAMDコアが似たような性能になる、という傾向のようである。
AMDコアの面白い所は、クロックももちろん影響はあるものの、Core数と性能指数がほぼ比例しているという事。つまり、16コア32スレッドの1950Xの性能の約半分の性能がRyzen7 1800Xの性能になるという事である。CCXというZenコア4つで構成されるユニットの数でRyzen7とスリッパに違いがある関係上、こういう結果は実にわかりやすい。
ただ、スリッパで注意しなければならないのは、メモリコントローラの接続がRyzen系と異なる(というか構造上そうなってしまう)為に、メモリアクセスモードが2つ存在し、アプリケーションによってどっちが最適かが変わるという事である。
また、これは現在のゲームエンジンの問題だろうとは思うが、認識されているコアが20コア以上だと処理速度が遅くなるという問題があるため、スリッパではゲームモードとして強制的に8コアを非動作状態にするモードがあったりと、ハイエンド向けCPUとして今まで今まであまり意識していなかったいろんなモードが実装されているようである。
スリッパは買いなのか?
このレビュー動画を観て思ったのは、私にはスリッパは不要だという事である。
もちろん、今後プログラム側の最適化が進むと話は若干変わってくるのかも知れないが、それでもスリッパが最高性能を発揮する環境自体を、私はほとんどの環境で提供できない状況から、スリッパの性能を引き出すことができないと考えられる。
特にゲーム用途ではゲームによって16コア動作をさせられないという状況もあるため、半減能力で運用するしかないケースもあり、またエンコードなどの用途も、私は毎日エンコードしているような人間でもないので、Ryzen7 1800Xがあれば事足りる話になる。
もともと価格的に私がスリッパを買うという事はまずない話ではあるが、価格だけの性能を発揮できる場面を用意出来ない以上、私には無用の長物といえる。
逆に、私がメインPCとして選択する上で迷う事になるのは、やはりIntelのCore i7-7700Kもしくは次世代の8700KとRyzen7である。
Coffee LakeのCore i7-8700Kの性能がまだ見えてこない為、単純比較はできないが、8700KがRyzen7と同等以上の性能を持っているならば、私の用途としては8700Kがベストチョイスという事になるかもしれない。
しかし、もし8700KとRyzen7を比較したとき、それでも8コアのRyzen7の方が優位という事になると、私は今度はチップセット側で迷うことになる。残念だが、Ryzen7のチップセットであるX370に内包されるUSB3.0コントローラーの安定性は、Intelのソレと比較してまだ不安が残る要素である。
ま、こういうのは、人それぞれの用途で選択肢が変わるので、よく考える必要があるのだが、とりあえずCPUの処理速度だけでPC環境を選択すると、後で痛いしっぺ返しを受けるので、注意が必要である。
今後の動向は初秋か
とりあえず、私の場合は秋以降にメインPCの動向を見定める事になる。
まずCoffee Lakeの動向を見なければならないという事と、もう一つはAMDのRadeon RX Vegaの動向である。
Coffee Lakeはまだ良いとしても、問題となるのはVegaである。
先日も書いたが、マイニング人気でゴッソリ中国に持って行かれる可能性があり、入手難になる事は間違いない。
この問題は性能とは全く異なるレベルの話ではあるのだが、モノが手に入らない事には始まらない。
おそらく、9月末ごろにはベンダーデザインのVegaが発売されるというので、そこで数はまた纏まって市場に出回るとは思うが、それすらもゴッソリ持って行かれる可能性があるため、予算が取れていたとしても購入までに相当高い壁があると考えていい。
ホント、いいかげんこういうので入手難になるってのは何とかしてホシイものである。
何はともあれ、私の動きとしては初秋には性能的評価が見えてきてその後は入手する為の動向を見守っていくという事になるだろう。
年末に…全部揃うといいなぁ、と今の段階で心配しなければならないというのもどうかと思うが。