Ryzen Threadripperの下位版が登場。
Ryzen7と同等コア数
Ryzen Threadripper(通称スリッパ)の下位版1900Xがリリースされた。
1900Xのスペックは、8コア/16スレッド、動作クロック3.8GHz/ブースト4GHz、キャッシュ16MB、TDP180Wといったもので、メモリは4ch、PCI Expressのレーン数は64と、中核となるスペックは上位版と同じものの、動作コア/スレッド数がRyzen7と同等という仕様となっている。
唯一上位版と異なるのは、キャッシュメモリが上位版は32MBに対し、1900Xは16MBと半減している事。これはCCXを1基まるごと無効化しているためであろうと考えられる。
つまり、スリッパとRyzen7の中間性能とも言えるのが1900Xという事になるが、この性能に納得できない部分が一つある。
それはTDPが180Wだという事。
コア性能としてはRyzen7と同等であるにも関わらず、キャッシュ容量が多い事とPCI Expressのレーン数が64基あるからというだけで、180WものTDPになっているのは、消費者サイドとしては受け入れがたいスペックと言える。
考えて見れば当たり前の事で、キャッシュ容量とPCI Expressのレーン数以外はRyzen7と同等なのだから、何故にその2倍近いTDPを必要とするのかが疑問でならない。
ちなみに、スリッパの1920(Xが付かないタイプ)は、TDPが140Wと低めに設定されている。であるなら、1900Xはその動作コア数から考えても140Wレベルでもよかったように思うのだが…。
価格も高い
基本的に1900XはRyzen7 1800Xと比較して価格は50ドル高いだけの設定となっている。
499ドルの1800Xに対して549ドルの1900Xという並びである。
これが日本国内の価格となると、1800Xは現在の店頭価格は6万円半ば(税込)で、1900Xは7万円台半ば(税込)と、その価格差は1万円程度となっている。
本来なら50ドルの差なのだから、6,000円程度の差にならなければならない所なのだが、ここでも国内との差には多少割高な面が見られる。
ただ、そもそも対応するマザーボードの価格差も結構あり、X399対応マザーは比較的高価な設定となっていて、5万円台のマザーボードが一般的。
それに比べRyzen7のマザーボードであるAM4対応マザーでは、3万円程度でもハイエンドクラスであるため、総合的な価格で言えばやはりRyzen7をら導入する方が価格は安く済む。
ハイエンドクラスとミドルハイとの明確な差と言ってしまえばそれまでだが、スリッパの導入を考えている人は、総合的なコストを視野にいれていないと存外に高い買い物になってしまう恐れがある。要注意である。
まぁ、私はスリッパの導入はまずあり得ないが、PCI Expressレーン数64本というのはある種魅力的であり、そこを求めている人からすれば、今回の1900Xは一つの選択肢になる可能性はある。そういう人は検討してみてはどうだろう?