AMDが次期クァッドコアのデスクトップブランドを刷新した。
Athlonの名称はそのまま消えることはなく、Phenomの下位として今回は生き残る事になる。
PhenomシリーズはAthlon 64シリーズと似た構成になり、Phenom FX、Phenom X4、Phenom X2の3シリーズ構成になる。
FXは従来のQuad FXと同じく、マザーボード上に2個のCPUを搭載するタイプで最大8コアまでサポート、X4はシングルソケットのみに対応し4コア、X2もシングルソケットのみ対応で2コア搭載という形をとる。
面白いのは、Phenomは全て128bit FPUとL3キャッシュを搭載しているという事。
Athlon 64 X2では64bit FPUを搭載しL3キャッシュは未搭載だったわけで、どれほどの性能アップになっているか、かなり興味のあるところである。
対応ソケットはやはりデスクトップ向けはAM2+が完全対応になるようだ。
上位互換は護られていて、AM2+ソケットを持つマザーボードは従来のAM2タイプのAthlon 64 X2は完全に対応する。
下位互換の方は、AM2ソケットをもつマザーボードでもハイブリッドBIOSと呼ばれる対応BIOSにアップデートすることで利用できるそうだが、HyperTransportは1.0で動作する(Phenomは3.0で動作するのが基本)そうで、一部機能限定となる。
まぁ、全く使えなくなるよりはマシという感じだろう。
Athlon 64 X2はTDPが45Wに引き下げられた製品が登場するが、その際、名称もAthlon X2と変更になる。
より省電力化しているというところが大きなポイントとなるが、中身は基本的に同じ。
省電力動作をさせたいという人はコチラの方が魅力的に映るかもしれない。
で、AMDはCPUの刷新と共にようやくDirectX10対応のGPUを発表した。
むしろコッチの方が今すぐ形になっているという点で注目度が高いかもしれない。
発表されたのは、従来からR600シリーズとして噂されていたUnified-Shaderを搭載したGPUで、正式名称は“Radeon HD 2000シリーズ”となる。
性能を評価する場合、かなり難しい話になるため、下記リンクを参照してほしい。
impress PC Watch 多和田新也のニューアイテム診断室
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0514/tawada104.htm
簡単に説明すると、AMDの発表ではGeForce8800シリーズより高性能という事。
ただし、ここにものすごく大きな誤解もあり、NVIDIAも反論している。
impress PC Watch NVIDIA、Radeon HD 2000の仕様に異論
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0515/nvidia.htm
どっちの言い分が正しいとは言えない。
これはハードウェア設計の思想の違いであり、どちらがより高性能かは実アプリケーションでの運用で把握するしかない。
正直言えば、ベンチマークソフトですら、正確にこの両者を比較する事が現在では困難と言える状況で、どちらが高性能かを把握するにはもう少しDirectX10対応のソフトが充実するまではわからない。
一つ確実に言えることは、AMD最上位モデルとなる“Radeon HD 2900 XT”の価格とバッティングするNVIDIA製品は“GeForce8800 GTS”だという事だ。
つまり、コストパフォーマンスにおいては間違いなくAMDが優勢という事。
これは消費者として見逃せないポイントである。
ま、このGPU戦争はあくまでもハイエンドなお話で、普通の人にはあまり関係のない話でもある。
問題はミドルレンジからバリュークラスでの性能比較であり、もう少し時間が経たないとそこらへんが見えてこない。
やはり今年後半ごろが雌雄を決する時期とみた方が良いのかもしれない。