まぁ、私自身前々からそういう話は知っていたし、その流れにある事は数年前から私の周囲からも出ていた。
ただ、私はソフトウェア制作という仕事をしていた関係上、メーカー製PCが販売され、それが売れ続けている間は何かしらの需要があるだろうと思っていたから、どこか他人行儀な感覚でいた。
で、その業界からも離れ、前々から言われていた事をすっかり忘れていた頃、ふとネット上でこのような記事を見つけた。
IT Media +D PC User 5年後の秋葉原を歩く
まぁ、このシリーズ記事は秋葉原の未来を考える上で問題となる事をテーマに書かれているが、この第3回は秋葉原に出店している小売店のほとんどが懸念すべき事を提示しているように思う。
確かに消費者は安ければイイという感覚ではあるのだが…。
まず秋葉原の店の構成は明らかに家電を扱っていた当時と異なっている。
今や一大産業となったアニメをはじめとした萌え産業だが、おそらく今のアキバの6割以上の主産業と言える。
この萌え産業に従事していた私が言うのもなんだが、実は景気が低迷している日本において儲かるという事自体、日本の未来をかなり危うくしていると思う。
景気は上向き傾向だ…なんて国の発表をマトモに信じている人はいないと思うが、国が上向きと判断しているのはあくまでも一部企業の売り上げや収益であり、それらは国内を視野に入れていない事が多々ある。
いざなぎ景気という過去の好景気と今回の景気上向きの最大の違いは、内需であるかそうでないかという点に尽きる。
安い労働力を海外に求め、その海外の労働力で企業が利益を上げている今、その利益をもって好景気とするのは間違いだ。
今、景気が上向きと言っているのは、まさにその部分が顕著に現れているわけで、労働者レベルでの景気の上向きとは全く違う。
そんな労働者クラスが萌え産業に給料を投下しているのだから、萌え産業自体が収束に向かうのは目に見えて明らかだ。
少々話が逸れたが、この萌え産業に給料を投下している人々と自作PCに給料を投下している人というのは、多分にして重なる事が多い。
そう、自作PCは今まさに趣味の世界と化している。
プラモデルが売れず、完成品フィギュアが売れている流れが、PC産業に同じように浸透し始めていると言い換えてもいい。
自作でなく、完成されたメーカー製PC、もしくはショップブランドPCへと人が流れていく、と言うわけである。
実際、DellやEPSON Direct等が個人の顧客をかなり取り込んでいる背景は、この流れに合致する。
そしてアキバの大型家電量販店がショップブランドPCを打ち出し、それが売れているというのも同じ事だ。
そうなると自然と苦しくなるのがPCパーツショップだ。
元々薄利多売だったところに、パーツそのものが売れないとくると、倒産しても仕方がない。
これは薄利多売という流れそのものがマズイのであり、適正価格で最初から販売できていれば、ココまで悪化する事は無かっただろう。
一端、この安値が浸透してしまうと、価格を適正にする事はかなり困難だと言える。
ひょっとしたら、もうこの流れは誰も止められないのかもしれない。
実際、私自身も安い方がイイと思っているのだから、消費者側からすれば、この流れそのものが変わって欲しくないという意識にあるに違いない。
自作PCの世界はもう終わっている。
しかしそれでも自分の求めるスペックがあり、価格があり、スタイルがある以上、その世界が終わって欲しくはない。
この状況、一体どうやって打破すべきなんだろうか?