ウチの会社の専務の代行として、事業創造大学院大学のセミナーである「IT経営セミナー」というものに参加してきた。
好きこのんで参加したワケではないが、社命である以上行かないわけにもいかず、久々にスーツなんてものを着て行ってきた。
慌てて出かけたためコートも着ないで行ってしまったのは痛恨のミスだが、もっと痛恨のミスだったのはノートPCを持っていかなかったこと。
当日になって「ノートPC持っていくか?」と専務から言われ、当然バッテリーを充電しているワケでもなく、持って行けないと判断したところ、会場にちゃんと電源が用意されていたという、考えてみれば極々当たり前の結果を予測できなかった。
多分、今日はすべてが悪い方向に回っていたんだと思う。
だが、私を陥れる罠はそれだけではなかった。
聞いていた場所が見あたらないのである。
アクセスマップには“東京駅八重洲北口改札から歩いて2分”と書かれており“雨に濡れずにアクセスできます”と書いてあった。
私はバカ正直に八重洲北口から外に出たが、当然屋根がない。
意味不明と重いながら周辺を歩いたが、サピアタワーなる建物が見つからない。
で、仕方がないので駅ビルの中をJR東京駅日本橋口方面に歩いていくと…出たすぐ前にサピアタワーが… orz
アクセスマップに「日本橋口すぐ前」と書けよっ!と突っ込みたい気分である。
こうしてセミナーに参加する前に45分も歩かされ、最初からモチベーション最低のラインからのスタートとなった。
このIT経営セミナー2008は、年間を通して開催されるセミナーで、私はその中の1回をスポット参加という形となった。
なので8月に行われたセミナーの分析とか言われても全く分からないが、その分析内容の説明を聞いていると、参加している人たちのレベルというものが見えてきた。
まぁ、その中には当然ウチの会社の専務もいるわけだが…まぁ、そんなもんだろう。
言っている内容からすると、20世紀型の経営戦略では21世紀は乗り切れないと盛んに講師である上村孝樹氏は言う。
当たり前である。
20世紀型というのは、拡大市場に向けての経営戦略であり、既に市場が伸びきった現在ではそのような戦略は無意味である。
今の日本自動車業界を見ていれば一目瞭然。先進国には殆ど売り尽くした感があり、互いにシェアを食い合っているのだ。
21世紀は、その伸びきった市場の中から如何にシェアを伸ばしていくかという事が基本戦略になるわけで、その為には無駄の排除やピンポイントな市場に向けての展開が必須だ。
考えれば私なんかが気がつく程度の事を、ITを使ってどう展開していくかという事を延々と分析し、説明していた。
まぁ…全ての人がコンピューティングインフォメーションを自在に操れるわけではないワケで、だからこそこうしたセミナーが行われているのだろうが…。
で、このセミナーで今回は外部講師として東京和晒株式会社の社長とそのシステム構築をした外部企業の社長が招かれていた。
東京和晒では日本手ぬぐいのオーダーをネットで受注しているとかで、それで講師として招かれていたのだが、やっている事は要するにネットショップの一歩進んだバージョンである。
ネットショップでは既存製品を売るだけだが、この東京和晒ではオーダーメイド製品を販売している。
そのやりとりについての講義があったわけだが…これも内容を聞くと実にローテクな方法ばかりであった。
ネットでオリジナルのデザインを客からもらい、それをベースに手ぬぐいを作って売るというスタイルなのだが、ただそこに顧客とのイメージギャップが発生すると問題となるため、あらかじめ予防線を張るために注意書きを事細かく設定しているぐらいが他と違うところだろうか。
というか、プリントでなく染め物であれば、細かいデザインはかなり無理があるのが常識だと思うが、どうも最近の顧客はそのあたりが分からないらしい。
染め物がどうやって染められるかという、ある程度の知識ぐらいは持った上で発注しないとマズイという、顧客側の認識と注意が最近はないようである。
この東京和晒という会社の運営スタイルなども説明されたが、そこに真新しい手法はなかった。
というか、私が頭の中で考えている生産管理システムと何ら違いがないのである。このあたりは既に行き着いた感じがある部分でもあるため、どの業界でも同じような手法を採らざるを得ないのかもしれない。
考えれば分かる事だ。
受発注の手順をどうやれば人的ミスを最小にできるか?
数多い受注案件をどうやってタイムスケジュールで追っていき、もれなく管理するか?
その追っていく工程をどうやってリアルタイムに把握するか?
その程度である。
こんなのをコンピュータシステムでどうやって管理するかなど、どの業界でも似たような方法を採らざるを得ないのは自明の理である。
私は、これらの問題に加えて、どうやって品質を管理するか?というところに着目しているが、品質面で起きうる不適合問題は業界によっていろいろあるだろうから、ココこそが他業種との最大の違いになると思っている。
事務職が行う部分など、あまり業種に依存しない。
だから、生産管理システムはどのソフトを使っても変わり映えがしないのである。
話を元に戻す。
今回のIT経営セミナーではそうしたちょっと考えれば分かる事を延々と説明していた。
これをバカバカしい事と結論づけるのは早計だ。
こんなわかりきった事を言われても実際に言われた事が出来ていない企業が圧倒的に多いのである。
20世紀型の経営戦略をベースに作られてきた既存企業が行き詰まっているのは、20世紀型の経営から脱する事が出来ていないからだ。
そして今軌道に乗っている企業は、そうした20世紀型の経営戦略を一切採らずに最初から21世紀型の新しい経営戦略で事業を開始している、あるいは完全に20世紀型を脱し21世紀型に乗り換えられた企業という事である。
このIT経営セミナーとは、そうした古い体質から脱する事のできない、堅い頭をもった経営者達に、そうした新しい手法を取り入れていかないと危険ですよと警告しているセミナーに他ならない、と私は見た。
だから、私には真新しく見えなかったという事である。
今回のセミナーに参加して思ったこと。
私にも学歴と立場が与えられたなら、セミナー講師になれるだろうという事だ(爆)
まぁ、その学歴と立場を得る事が難しいからこそ、今の私はこのような立場でしかないわけだが。
それにしても…人生とは深く複雑なものだ… orz