先日、GeForce GTX 475に関しての事をちょっと書いたが、ライバルであるAMD側の新型であるRadeon HD 6800シリーズが本日正式に発表となった。
前回にも書いたが、どうも新しい6800系は5800系の上位に位置する製品とは言えないようである。
もちろん、上位というのは性能的な意味であり、コストは5800系よりもずっと下位にラインナップされる。
5800系よりもダイサイズを25%切り詰め、省電力化しているのが特徴だが、性能は効率化する事でわずかながらのダウンに留めている。つまり、5870よりちょっとだけ性能が下回る6870、5850よりちょっと性能が下回る6850といった位置づけという事だ。
だが、価格は完全に1ランク下へと展開しており、6800系の投入により日本円にして2万円台というゲーマー層によく売れる価格帯に5870弱の性能製品を投入する事が可能になった。
具体的には従来はGeForce GTX 470と価格的に並んでいたRadeon HD 5870だが、6870を投入する事で、GTX 460と6870が同列に並び、性能的アドバンテージを見せる形となる。
具体的な事などは専門のサイトに譲り、私なりの思った事をいくつか。
今回の6800系の約1ヶ月後に、6900系の発表があると言われている。
これはAMD 副社長兼GPU事業部CTO エリック・デマース氏の言葉からも分かる。
「リスクマネージメントの問題だ。Caymanのようなマニア向けの製品はコストや時期をあまり気にして開発する必要がないので、さまざまな事ができる。これに対してメインストリーム向けの製品では、常にコストを気にする必要があるし、クリスマス商戦に間に合わせるなどスケジュールの問題も意識する必要がある」
(impress PC Watch 笠原一輝のユビキタス情報局より)
Caymanとは、今回の6800系より後に出る6900系の事。
つまり、本当の意味での性能を追求した製品はまだ投入されていないという事になる。
ただ、ミドルハイクラスの製品を買う場合は、今回の6800系は実にターゲットになる製品だと思う。
5870よりも性能的にわずか下であっても、消費電力も低ければ価格も安い。
これは純粋に喜ばしい話である。
電源とコストが許せば、CrossFireXによる性能向上も期待できるわけで、やり方によれば選択肢がかなり増える事になる。
ただ、どうしても納得できる価格で納得のできる性能が欲しいという場合は、あえて5870を購入するという手もある。消費電力は多少上がるが、もともとNVIDIA製品よりワットあたりの性能は上だから、製品在庫があるウチであればそういう選択肢もある。
正直、今世代のビデオカードはAMD系の圧勝のような気がしてならない。
もちろんHPC分野ではNVIDIAが大きなシェアなのかもしれないが、少なくともコンシューマ向け製品ではNVIDIAはあまりにも展開が遅すぎた。
GeForce GTX 460が価格対性能比でかなりお買い得感の高い製品と言われてはいるが、AMDの今回のRadeon HD 6870は、それよりもハイレベルな性能を同価格で実現できる。
消費者側からすれば、NVIDIAの利点はもはやソフトウェア対応が速いという所にしかない。もっとも、それが一番重要だという人もいるだろうが…。
なにはともあれ、今回の6800系の発表は技術系としてはちょっと寂しい感じの製品だ。
だが、確実に消費者側は得をする発表でもある。
新しいビデオカードでちょっと性能向上を考えている人には、新しい有力な選択肢となると思われる。