NVIDIAのビデオカードで、以前GeForce GTX 465というモデルナンバーがあった。
これは中身的にはGeForce GTX 470の廉価版で、コアそのものがその下位になるGeForce GTX 460と異なるものだった。
もっと詳しく言うならば、GeForce GTX 465はGF100コア製品だったが、GeForce GTX 460はGF104コア製品で、そもそもの成り立ちが違う製品だった。
だから465と460という一桁の数字を変えたモデルナンバーという意味に納得できるものであり、違いが明確にわかるものだった。
しかし、今度出ると言われている新型ビデオカードは同じ製品名でGF114コアのものが既に発売されているにもかかわらず、GF110コアでのGeForce GTX 560 Tiと名の付く新製品が投入されるらしい。
私が現在使用しているビデオカードは、GeForce GTX 560 Tiだが、当然そのコアはGF114のものである。
これはCUDA core:384、TMU:64、メモリインターフェース:256-bit、ROP:32という構成で、明らかにGF114の全機能をONにした製品になる。
しかし新型はCUDA core:448、TMU:56、メモリインターフェース:320-bit、ROP:40と、GF110がもつStreaming Multiprocessorユニットを2基OFFにしたスペックとなっている。
要するに、GeForce GTX 570と極めて類似したスペックを持つ製品という事になる。
この流れを考えると、前世代はGeForce GTX 470、465、460と並んでいたにもかかわらず、何故今回はGeForce GTX 570、新型560 Ti、旧型560Tiとしたのだろうか?
別にGeForce GTX 570、565、560 Tiとしても良さそうな感じがするのだが…。
そうしたネーミングに違和感がありつつも、この製品そのものに魅力があるか? という事をちょっと考えてみたいのだが、個人的にはあまり魅力を感じていない。
というか、この製品を買うくらいなら上位のGeForce GTX 570を購入した方がマシではないかと思っている。
というのも、消費電力から言えばおそらく570も新型560 Tiもあまり変わらないだろうと考えられるからである。
ワットパフォーマンスを考えれば、まだGF114コアを使っている旧型560 Tiはマシな方で、GF110コアを使用する580、570は恐ろしいまでの消費電力となる。その同じGF110コアをいくらStreaming Multiprocessorを2基分OFFにしたからといって、その消費電力が劇的に減少するとは考えにくい。
たしかに性能は旧型560Tiより僅かながら上昇するかもしれないが、上昇した性能と上昇した消費電力の比率から考えれば、納得のいく消費電力上昇幅ではないと思われる。
新製品が薄い市場に新製品を投入するのは良いとして、消費者を混乱させるような製品名にする事自体、あまりよろしい事とは思えないが、さらにその性能としても実に微妙な製品となると、個人的にはオススメしようがない。
これならば、GF114のコアをより高クロックで動作可能とする製品を投入した方がまだマシのような気もするが…。
ま、ワットパフォーマンスを求めるなら、Radeon HD 5870もしくは5850を中古で探す方が今はオススメできるように思えてならない。
なので、今の時期にビデオカードを購入しようという人は、そうした誤解を受けやすい製品に注意されたし。