PC上でスタジオを構築する事のできるソフト“Reason”が先日ver.6にアップデートした。
実のところ、私は初代Reasonの頃からのユーザーで、Reason2、Reason2.5、Reason4とアップグレードしてきた。
Reason3が抜けたのは、当時Reasonの必要姓がこれでもかという程なかったためで、Reason4にアップグレードした理由は、Recordという新しい録音環境ソフト登場と同時にReason4が登場したため、recordとセットになったReasonのアップグレードを申し込んだ為である。
その後Reason5&Record1.5が発表となったが、そのアップグレードは見送った。特に困ることがなかったからでもあるが、何となくRecordというソフトの行き着く先がReasonとの統合なのではないか? という予感があったからだ。
もともとメーカーであるPropellerheadは、初代Reason発売当初より録音部分に必要姓を感じていないようなコメントをしていた、と記憶している。つまり、そもそもrecordを出した時点でReasonに足りない部分である外部録音機能を別体化して提供してきた、とも言えるかもしれない。
しかし、recordの機能はソフトシンセ側とオーディオの密接なつながりを持つミキシング機能だから、本来ならReasonにもあってしかるべき機能とも言えた。なのでいずれは統合化するんじゃないか? という予感だけはあったのである。
そしてver6となり、結局予想通りRecord機能はReasonに統合された。
見た目はReason4&Record1.0、Reason5&Record1.5と全く変わらず、そして使い勝手もほとんど変わらないアップグレード。いくつかの新機能はあるものの、私にとって64bit化した事以外に大きなメリットのないアップグレードだが、それだけにメーカーであるPropellerheadから、Reason&Recordユーザーに向けて“自分でアップグレード価格を決めて良いというキャンペーン”が行われた。
一応、メーカーが設定しているアップグレード料金は存在する。
それが99$である。
だが、普通に考えて99$は高いかもしれない。1$=77円で考えれば7,623円になる。
日本のソフトでもそれぐらいの料金設定はあるにはあるが、今回のアップグレードは機能面で見てしまうとReason&Recordが統合し、いくつかの新機能が搭載、そして64bit化したのみ、である。
だとするならば、私的にはニンテンドーDSのソフト1本分くらいの価値かな? と思い、結局60$=4,620円という設定にした。
メーカー指定価格の約6割の価格。自分としてはかなり安い設定ではあるが、それぐらいが妥当なラインだろうと踏んだのである。
ところが、世間ではこういうキャンペーンがある事をいいことに、とんでもない設定額でアップグレードしていたようで…。
これは私も噂だろうぐらいに思っていたのだが、この事実にぶつかり、気持ち的に開発者側を多少は擁護したい気分になった。
mixiコミュニティ Reason
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=63700538&comm_id=93489
このトピック内で、Reason6へのキャンペーンで1$でアップグレードした、という人がいるのである。
まぁ、確かにメーカー側は“ユーザーが価格を決めて良い”というキャンペーンを行ったわけで、1$で買ってはいけないとは設定しなかったワケだが、普通に考えて1$=77円でアップグレードはあり得ないだろう?
まして単にReason&Recordを統合しましたというだけのアップグレードではなく、新機能もあり、64bit化もしているワケだから、全く手間がかかっていないという事はない。
であるならば、それらの新機能や64bit化にかかる分として、ある程度の価格があってしかるべき、と私は思うのだが…。
世間では1$で購入可能な事が“当然の権利”であるかのように、このキャンペーンを使っている人がいたわけである。
確かにメーカー側はユーザー側に価格決定を委ねた。しかし、その価格を決定するにあたり、5つある新機能にどれだけの価値があると見るか、決定した価格を割り振るように指定している。
私は60ドルの内、64bit化のみを20$、その他の機能に各10$を割り当てた。一つ一つの機能で考えれば、これでも安いと思った。
しかし、1$設定の人は…要するにどれか一つの機能に1$を割り当て、その他の機能は無償…という事になる。
たしかに無償でも良いという人もいる。それは近日に旧バージョンを購入した人だ。
これに関してはPropellerhead側から無償アップグレード対象者を別で設定している。
問題は、旧バージョンの内、さらにもう一世代前、つまりReason4&Record1.0の所有者も今回のキャンペーン対象者である、という事である。
Reason4&Record1.0からReason5&Record1.5へのバージョンアップが行われた時は、たしか日本円で約15,000円くらいの価格でのアップグレードだった(うろ覚えなので正確ではないと思う)。
つまり、Reason4&Record1.0からReason5&Record1.5にアップグレードした人は、ある一定の大型アップデートをするにあたりそれなりの料金を支払っている。だから無償アップグレード対象期間中の人でなくても、Reason5&Record1.5所有者なら今回のアップグレードは格安でも良いかもしれない。
しかしReason4&Record1.0所有者は、それなりの大型アップデートをしていないにもかかわらず、今回格安の、それも1$も可能な設定でReason6へとアップグレード出来てしまうのである。
できてしまうからラッキー! と捉えるか?
開発者たちの事を考えると、それなりの価格設定を考えるか?
これらの判断を、メーカーはユーザーに委ねたのが今回のキャンペーンである。
私はReason4&Record1.0ユーザーであったから、まさしく大きく得をする人の一人だったわけで、60ドルという設定で安い買い物をしたと思っているが、世間では1$で良い、と判断した私と同じ状況の人もいたのである。
しかし、よく考えて欲しい。
普通に考えて、開発会社が各ユーザーに対して1$のアップグレードで運営していけるのか? という事である。
自分たちが使っているソフトを今後もっとよいソフトになって欲しいと考えた時、果たして1$という料金設定がそれを可能にすると言えるだろうか?
逆に言えば、メーカー側はユーザーから1$程度でしか評価してもらえてないのか…という事になるだろう。
そのモチベーションで、よりよいアップグレードを考えるだろうか?
ここら辺、個人の判断基準の話になるため、何が正しいという話ではないだろう。
個人の倫理観の話だろうから、1$で購入した人が悪いとは言わない。
ただ、1$で購入した人、それが故意であるならば、その1$という価格はあなたがReasonというソフトに感じている価値という事にもなる。少なくとも開発者側はそう見るだろう。もちろん、旧来からのアップグレードにかかっている費用もあるため、そのまま1$が価値という話ではないが、開発者側のモチベーションは1$という価格で決定してしまうだろう。
悪いとは言わない。価値観が違うだろうから。
だが…そういう人が大多数の世の中になってしまったなら、なんと寂しい世の中なのだろう? と思えて仕方がない。
世の中、フリーソフトで良質なソフトはいくらでもある! という人もいるかもしれないが、それとコレとは話が違う。サポートを正式に受けている以上、フリーソフトと同列で見る事などあり得ないのだから。
この辺り、実に微妙な問題ではあるが…
世の中の人たちはどのように受け止めるのだろうか?