12月3日に公開が始まった映画『けいおん!』、12月3日と4日の公開2日間の放映館数137スクリーンの結果だが、興収3億1631億円を記録したそうである。
比較参照として12月1日に公開したスティーヴン・スピルバーグ最新作『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』は公開から4日間の放映館数895スクリーンの結果で興収3億1929億円というから、いかに劇場版けいおんが以上な数値かがわかる。
とにかく“けいおん”はここ数年の中で異常なコンテンツになってしまった。
市場規模として150億円という規模も異常だが、何より異常なのはこの傾向が数年にわたって継続している事である。
通常コンテンツで数年にわたって盛り上がりを見せるものは非常に稀といえる。仮に盛り上がったとしても、それが売上に結びつくとなればさらに稀なものとなる。
“けいおん”はその非常に稀な部類の中に含まれるタイトルであり、おそらくはアニメ信奉者以外からの盛り上がりがその長期的なセールを支えているように思えてならない。
個人的ではあるが、このロングセラーっぷりは、かの大作“ヱヴァンゲリヲン”に匹敵するものではないかと思ったりする。
ヱヴァンゲリヲンの時は全分野に爆発的に商品展開された。
これは参画した企業の影響もあるが、その爆発ぶりは今ほど落ち込んでいない日本経済を揺るがしたほどで、それは今以てなお継続している部分がある。
“けいおん”はそこまでではないにしても、今の経済に大きく影響を与える一つのコンテンツと見る事ができるほどになった。
何より今まで無関係だった分野に活性化をもたらした。いわゆる楽器系にである。書籍やレコード、映像、グッズといった部分は従来作品でも活性化する事はあったが、楽器系にまで波及したケースは“けいおん”ならではの特徴である。
今回の劇場版の最終的な興収がどれぐらいになるかは分からない。“けいおん”はスタートダッシュで終わってしまうかもしれないし、最終的にはグローバル展開している作品の方が強いかもしれない。
しかし、今回のこの流れは業界のみならず一般市場へ大きく影響するだろう。それは今までのこのコンテンツの流れから見ても間違いない。
その時、この作品がどこまで大きく広がりを見せるのか、まだまだ先が見えないコンテンツなのではないか? という思いがしてくる。
ひょっとしたら、こういう流れが今後のヒット作に共通するようになるのかもしれない。現代人のコミュニケーションの変化で今までのような爆発的な流れにならず、“けいおん”スタイルがデファクトスタンダードになるのかもしれない。
それはそれで時代の変化というか、時の流れというか、変革の時なのかもしれない。