消費者庁とは、日本の行政機関の一つで内閣府の外局にあたる所で、主として消費者の視点から政策全般を監視する組織の実現を目指して、 2009年5月に関連法が成立、同年の9月1日に発足している。
つまり、簡単に言うと消費者サイドを守る為に存在する行政機関であり、消費者が損害を受ける可能性のある商法に対しての抑止力になったりする。
その消費者庁が、いよいよ携帯ゲーム市場にメスを入れ始めた。
もう有名な話であるため、私の周囲で知らない人はいないと思うが、対象となったのはケータイゲームのグリーやモバゲーである。
これらのサービスが展開しているゲーム中には、何が出るのかわからないガチャガチャのようなアイテム購入方法があり、その出てきたアイテムの組み合わせで新たなアイテムを獲得できるというものがある。
今回問題となったのは、この“コンプリートガチャ(コンプガチャ)”である。
(読売新聞より。情報サイトからの画像転載)
この新聞内には、名指しで「探検ドリランド」や「アイドルマスターシンデレラガールズ」が取り上げられているが、まさにこれらのゲーム中にはランダム要素が絡み合うアイテム購入方法があり、それらの購入アイテムの組み合わせで新たなアイテムの獲得という方法が存在する。
このような方法を消費者庁では景品表示法で禁じる懸賞に当たると判断したようだ。
GREEやDeNAなど6社が運営する団体“ソーシャルゲームプラットフォーム連絡協議会”に消費者庁がこういった手法の中止を要請するようで、もし会社側が応じない場合は景表法の措置命令を出す方針としている。
まぁ…ようやく動いたか、というのが私の見解。
AKB商法(というかそれよりも前にR18系PCゲームではAKB商法のような事は行われていたが…)は、CD等の中に入っているものを利用して人気投票したりする、複数枚を購入させてしまうようなやり方ではあるものの、こちらは入っているものから新たな景品などが当たるワケではないし、何より物品として残る以上、それの売却も可能という点においてまだ救われる。
しかし、今回のケースのような携帯ゲームのアイテムとなると所詮はデータ。つまり売却は出来ないワケでアリ、消費者側はひたすら買うだけ。
まぁ、そもそも複数枚購入させる手法そのものが良い方法かと言われればそうではないのだが、それを煽り立てて新たなアイテムをチラつかせる方法は、消費者心理としてなかなか歯止めが利かない。
だからこそ景品表示法では、こうした内容がわからない形でカードを購入させ、特定の種類を揃えると別の商品と交換できる様な手法、いわゆる「カード合わせ」を禁じている。
実は…私も前職の時にこういった商売方法を考えついたこともある。
だが、同時に自分が消費者の立場で考えた時「これはさすがに悪質だ…」と自制したのも事実で、その後にいろいろ調べて、このやり方がひょっとしたら「カード合わせ」になるのではないか? と思い当たり、それ以降この方法は頭の片隅からも消し去った事がある。
より多く売るためにどうするか? という事を考えると、どうしてもこうした方法を思いつくのも売る側の心理であり、私もかつてそうした側にいた身であるからこそ、こうしたシステムを導入したゲームを作る側の気持ちも分かる。
しかし、ゲームクリエイターとしての原点を思い出して欲しい。
ゲームクリエイターを目指した時、自分がゲームを好きで好きで、楽しい(或いは面白いかもしれないし、感動できるかもしれない)ゲームをユーザーに提供したい、という気持ちがゼロの人は、そもそもゲームクリエイターを目指したりはしないハズである。
つまり、作る側でありながら、自分も遊びたい側のハズだ。だったら、自分が遊ぶ側ならどう思うか、考えるか? は自ずと分かるはずである。
つまり、今のゲームクリエイター側は、そうした心理を持つ事すらできないぐらいに鳴ってしまっている、と言えるのかもしれない。
売るために、生き残る為に、少しでもユーザーを獲得できる方法を確立しなければならない。そうした心理に追い込まれているのかもしれない。
ある種、行きすぎたビジネス方法が、今ゲームの世界には必要な状態なのかもしれない。
もちろん健全ならそれでも問題はない。しかし、ユーザーを獲得する為には囲い込みをしなければならない、という心理は、面白いゲームを作るという方向とは別のベクトルにあるように思える。
こんな言葉はもう既に陳腐化してしまっているが、本当に面白いゲームならユーザーはそれに投資する事を惜しまない。先に例として出したAKB商法は、まさしくこの方向にベクトルを持つ商法であり、囲い込みとは違う方向でユーザー心理を誘導している。
どこまでが合法でどこからが違法なのか?
これも分かりづらいのも確かだが、一つ確実に言える事は、作り手がどれだけユーザーサイドに立ってモノを作るか? という事が出来ていれば、自ずと合法の道を歩む事になるだろうと私は思う。
今のゲームクリエイターはその視点が欠けている所が多々見受けられる。
これがゲームが衰退し始めた要因ではないか? と、一般消費者に戻った私が行き着いた結論である。
ま、ビジネスだから儲けなければならない、という前提がある為、なかなかユーザーサイドに立ってモノづくりできるとは言えないのも事実だが、そこはモラルの問題。
どれだけ楽しめて、どれだけ楽しませることができるのか? というバランスが大事なのではないかと思う。
さて…モバマスに投資した全国のP(プロデューサー)たちは、これからどんな反応を見せるのか…ある意味、見物である。
追加情報。
何か…この情報そのものが誤報とか言ってるし orz
この情報で、GREEやDeNAの株価が急落したようで、GREEは時価総額が5000億円以上あったにも関わらず、株価が23.25%も急落して、わずか1日で1000億円超が消えたことになるそうな…。
誤報といいつつも、検討は始めているみたいで、その結果がまだ出ていない、という事なのかもしれない。
不確定要素が多い情報のようだけど、実際どっちなんでしょうね?
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