10月2日にAMDがTrinityを発表した。
省電力をウリにしつつ、強力なGPUを内蔵したAPUの第2世代コア、というのがTrinityの位置づけだが、基本となるコアアーキテクチャが前世代のLlanoと異なる事から、CPUとしての基本性能はLlanoと同程度と言えるようである。
性能などの詳しい情報は専門サイトに譲るが、私がそうしたサイトで感じた印象は、純粋にビデオ性能が強化された低価格&省電力コア、という印象である。
今回発表されたシリーズの中で私が注目したいのはA10-5700である。
TDP65wという省電力でありながら、Core i3並のシステム性能とRadeon HD 7660Dの性能を併せ持ったコアである。
A10-5700とマザーボードとメモリとストレージがあれば、これだけでそこそこの性能のPCが出来てしまう。しかもビデオ性能はそこそこなんてレベルの話では収まらない。
使用するマザーボードをMini-ITXあたりにすれば、省電力&静音PCとする事もできるのではないかと思う。
だが、ひとつ注意が必要なのは、シングルスレッドの性能を求めるなら、そもそもTrinityは不向きである。
TrinityはBulldozerアーキテクチャの進化形ではあるが、基本がそこにあるため、どうしてもシングルスレッド性能はIntelのCore iシリーズに劣っていると言える。
シングルスレッドの性能でパフォーマンスが決まってしまうアプリケーションもまだまだ多い為、そうした用途になるようであれば、TrinityではなくCore i3もしくはCore i5あたりを選択するのが正しいだろう。
ちなみに私がTrinityを使った省電力PCを考えるとしたら、やはり走らせるOSはWindows Home Server 2011を選択すると思う。
サーバはマルチスレッドでの処理を優先した方がいいし、そもそもシングルスレッドの性能を要求するようなアプリも走らせない。
同時にRadeon HD 7660DのようなGPU性能も必要ないのだが、そこは簡単な用途であればサーバをそのまま通常用途で使ってしまおうという事も可能な話。何だ、結局万能ジャナイカ…って、よくよく考えるとサーバに使う意味ないかもしれんな、コレ(爆)
やっぱホームサーバとして使うなら、もっと省電力なコアが良いのかもしれない。
結論からすると、Trinityはやはり省電力でありながら良好なビデオ性能とそこそこのCPU性能を求めたい人向け、という事になるだろうか。
おそらく、普通に使う場合は性能的にも何ら困る事はないだろうし、Windows8からはよりマルチスレッド処理が増えると言われている為、Core i3と比較しても良好な性能が得られるのではないかと思う。
ただ…それでもTrinityはRadeon HD 7660D以外は今一つパンチ力に欠ける性能と言わざるを得ないかもしれない。
この性能でTDPが45wを下回れば…誰得なコアか? なんて事を問わずとも答えは出ただろうに…。