以前このBlogで、私が満員電車の中や車の渋滞の車内に居るときに、どうしてもその場にじっとしていられなくなる、耐えられなくなるという、精神疾患が時折起きるという事を書いた事がある。
初めてその状況に陥ったのが今から3年ほど前。
MRIの検査の時、機器の中に入る際にベッドに頭と体を固定するのだが、どうしてもその固定された状態で機器の中に入ることが出来ず、結局体を固定せずに自分でじっとしているという条件で検査を受けた。
次はその約半年後、満員電車の中で椅子に座っていた時に、その窮屈な状態に耐えられなくなり、顔は真っ青、脂汗が出てくるという状態になって、結局目の前に立っている人と交代してもらって気持ちを落ち着け、何とかその場を収拾させた。
その次は随分と間が空くのだが、高速道路の渋滞にハマった際、運転席にずっと座っていられなくなり、動きが止まった際に一端外に出たりして気分を紛らわせ、難を逃れた。
そしてその後も比較的車の渋滞時にそうした危機が訪れるようになり、先月、その極めつけが私を襲った。
先月、私は鼻と喉をやられて酷い鼻づまりと咳に悩まされた。その時、その鼻づまりの状態でいる事に急に耐えられなくなり、自室のPC前に座っていられなくなった。
この時はさすがに焦った。
何しろ、体は自由に動かせるし、別に窮屈な思いをしているわけでもなかったからだ。だが、一つ言えたのは、酷く息苦しく、またスッキリしない状況が続いていたという事。でもそれは仕方のない事だし、何れ治るだろう事であるにも関わらず、その状態にいる事が耐えられなかったのである。
しかもその状態に耐えられなくなると、眠る事すら出来なくなり、結局医師に相談、睡眠導入剤を処方してもらうという事態になった。
先月のこの状態になるまでは、私の精神疾患はいわゆる“閉所恐怖症”なのかと思っていた。MRI、満員電車の座席、車の運転席、どれも閉所や自分の体を自由にできない場所という共通点があるからだ。
だが、先月の問題は自室で体の自由が利くにもかかわらず起きた。問題だったのは、息苦しいという呼吸の自由が僅かながら悪かった、という事のみだ。
この先月の問題で、私が持つ精神疾患が一体何なのか、私では全く想像できなくなった。
医師に相談した方がいいのかもしれない…とずっと思っていたのだが、今日、たまたま3ヶ月に一度診てもらっている主治医に、実は…と相談してみた。
そこで思いも寄らぬ話を聞いたので、その事をちょっと書いてみる。
主治医は精神疾患は専門でない、とした上で、おそらく“パニック障害”あるいは“パニック発作”ではないか、と話してくれた。実は精神病のいくつかの症状は医学の世界でも認定が比較的新しく、古い医師ほど知らないケースが多いのだそうだ。
パニック障害もその一つで、不安に思う気持ちや危機を感じる心が体を活性化させ、活動したくなる症状になるのだそうだ。
この「不安に思う」「危機を感じる」という気持ちは実はとても大切で、人間の精神と身体を人間自身が守ろうとする行動に直結する感情なのだそうだ。つまり、何か恐怖を感じる場面に突入した際、まず自身の安全を確保するため逃げるなりの行動をしなければならないのだが、あまりの恐怖に思考が停止してしまい、そのまま身体まで停止してしまうと、人は助かるものも助からなくなる。だからそうした危機に際して、身体が自らの防衛本能を働かせ、思考を必要とせず身体を動かすという状況を作り出すのだそうだ。
パニック障害は、何かしら精神的な原因でその危機を感じる気持ちによって引き起こされるトリガーが、なんてことのない状況で引かれてしまうという障害を言うのだそうだ。それが発作のように起きるため、パニック発作とも言われているようだ。
確かにそう言われれば、私の状況はパニック障害によって起きている、と説明ができそうな感じである。
とにかくじっとしていられなくなる、という結果がかならず付いて回る。
先月の時は、自宅でじっとしていられなくなり、夜中に車に乗って夜間ドライブに出かけて気を紛らわせるという事もした。
車に乗って渋滞にはまれば、それはそれでまた問題になるのだが、とにかくじっとしていられなかったのである。
このパニック障害、決して治療できないものではないのだそうだ。
まず専門医に相談する事から始まる(ようするにカウセリング)のだが、最初にやる事は考え方の視点を変えるという事らしい。
これは結構難しい事のようなのだが、パキシル、デバスといった治療薬も存在する。
それらを使用する事で克服する事もできるし、思考方法の視点を変える事が自然にできれば、完治する可能性もあるようだ。
もちろん現時点では専門医の話を聞いていない為、それ以上詳しい話はできないが、私の主治医は「極端に深刻に思う必要はない」と話してくれた。
とりあえず、今の私は頻度的に重度に問題となるケースがないため、もう少し様子を見ようと思っているが、あまりにも酷くなるようであれば、専門医にかかる事を検討しようと思っている。
昔は精神科にかかるという事は世間的に見て結構大問題のように捉えられがちだったが、今はまず精神科にかかる人が増えているという。
なぜ増加しているのかというと、昔より精神的な病気の研究が進み、今まで病気と考えられていなかった症状を扱う事が多くなったからだという。
また、現代社会がストレス社会になってしまった事も背景にある。
昔と今とでは、状況も対策も全く異なっているのである。
もし、私のように何かしら問題があるのかも…と思う人は、専門医に相談する事をお薦めする。単純な事で治るケースも多々ある。
今の社会、ストレスを感じずにいられる程、人の心は強く出来ていない。
文明が産み落とした害悪の一つと言えるが、身体の安全が保証された代わりに、心の安全に危機が訪れた、と考えれば、専門医にかかるのは自身を守る為の防衛行動と言えるだろう。
ま、時折そうした事をものともしない、とても強くたくましい人もいるわけだが…感受性の高い(高すぎる)人は、とてもそうした事をマネする事はできない為、無理せず対策を講じるのが良いだろう。