DELLが5Kディスプレイを発表し、ついに来年は本格的に4Kディスプレイへの道が開かれようとしている。
4Kディスプレイはいいのだが…
一口に4Kディスプレイは高解像度と言っても、そこでそのディスプレイを利用するという状況を考えた時、全ての人が4Kディスプレイが適しているとは流石に言えない。
そもそも、今使っているモニターサイズ、おそらく19インチ~24インチくらいが最も普及しているとは思うが、そのサイズで4Kディスプレイになった場合、ほとんどのケースで「高精細すぎて使いにくい」という話が出てくるハズだ。
最近はスケーリングという言葉で表現されるが、元々Windowsは96dpi(dot per inch、つまり1インチ内にいくつドットが入るのかという意味。この場合96ドット入る細かさという事)程度を想定している。昔は72dpiだったが、WindowsXPの頃からは大体96dpiだが、もし24インチ程度のモニターサイズで4Kという事になると、200dpiは超えてくると想定できる。そうなると、少なくともアイコンの大きさは4分の1程度の大きさになってしまう。つまり、それだけ細かすぎて見づらいという状況が生まれるわけである。
なのでWindows8などはスケーリングで表示を等倍以上にできる。私が持つVAIO Duo 13はWindows8.1 Updateを搭載している13.3型フルHDという高精細パネルだが、通常私は125%~150%のスケーリングで使用している。等倍だとかなり細かい文字になったりするため、実用度が下がるためである。
つまり、今と同じ物理的なサイズで4Kというサイズにすると、圧倒的デスクトップの広さを得られてもどうしても見づらさが出てしまうのである。
となると、4Kディスプレイを快適に使用する場合どれぐらいの物理的広さが必要になるのか?
家庭用テレビと同じサイズ?
例えば今23型フルHDディスプレイを使用していたとして、それを同等のスケーリングで4Kディスプレイとした場合、そのディスプレイサイズは実に46型というサイズになってしまう。
これは単純に4KディスプレイがフルHDの4倍の面積比になるという計算から導き出した答えである。
46型となると…これはもう家庭用テレビと同等サイズという事であり、一人で作業時に見るディスプレイというサイズとするには大きすぎるイメージがある。
高精細感を感じつつある一定の大きさに留めるとした場合であっても、40型くらいが理想かもしれない。32型というサイズだと、やはり高精細ではあるものの、見づらさは出てしまうだろうから、スケーリングに頼ることになるだろう。
つまり、4Kディスプレイに向かうという事は、即ち、物理的モニターサイズも大きくなる事を覚悟した上でないとなかなか難しいという事である。
そう考えると、東芝のREGZA 40J9Xという40型テレビは、実にPCに接続する4Kディスプレイの理想型とも言える製品になる。ただ…HDMI2.0による接続になってしまうため、ビデオカードを選ぶという問題は残るが。
というわけで、個人的に考えるならば、4Kディスプレイはまだまだ乗り越えなければならない壁が非常に多いと言わざるを得ない。
EIZOからも32型のプロ向け4Kディスプレイが登場したり、LGからも低価格4Kディスプレイが登場したが、機能的・価格的に満足できる製品はまだないと言える。
その中にあって東芝のREGZA 40J9Xは接続端子的問題はあるものの、テレビという付加価値&超解像技術を搭載している事を考慮すると約20万円という価格はかなり安いと言える。あくまでも相対価格の話でしかないが、今後は価格と機能、そして実サイズの問題により焦点が当てられ、新製品が登場してくるに違いない。