10年という時間に終止符を打つXbox360。
第3位の8,550万台
4月20日、米MicrosoftがXbox360の生産を終了すると発表した。生産の終了なので在庫分に関しては引き続き販売される事になるが、事実上これで倉庫にあるもの以外の新しいXbox360は手に入らない事になる。
Xbox360は2005年11月に発売が始まり、昨年10周年を迎えた。最終的な総販売数は約8,550万台で、同世代機種では任天堂「Wii」の約1億台、SCE「PS3」の約8,640万台に続く第3位の販売台数になる。
ライバルで未だその機種における新作がそれなりの数で発売されているのは、SCE「PS3」ぐらいなものだが、Microsoft側としては今後はXbox Oneに移行、リソースを集中したいという事なのかもしれない。
そもそも、PS3の次世代機であるPS4は、PS3の後方互換機能が今の所ないが、Xbox OneはXbox360のエミュレータによる後方互換機能を持っているため、ユーザー負担がほぼない。エミュレータ動作とはいえ、物理メディアを読み込む事もできるため、Microsoftとしてはユーザーに新型へ乗り換えてもらう事を促進したいのだろう。
今回の生産中止の発表によって、ユーザーへのサービスが滞る事は今の所ない。サポート含めて今後も変わらず継続するとし、ユーザー負担がない事をアピールしている。
ハードとしては名機
Xbox360はハードウェアとしては個人的に嫌いではなかった。
搭載しているCPUはMicrosoftとIBMの鏡胴開発品であるPX(マルチコア)が搭載されているのだが、実はコイツは今や影を薄くしたRISC型CPUで、かのIntel製CPUを搭載する前のPowerMac G5に搭載されたPowerPC 970FXと互換性がある。実際、Xbox360のアルファ版開発環境として提供されていたのはPowerMac G5+Radeon 9800 Proだった。
この互換性のあるPowerPC 970FXは、アップルとIBMの5年にもわたる共同研究開発によって生まれたCPUで、このCPUの親にあたるのがIBMのPOWER4である。
PowerPC 970FXは2002年頃では最高クラスのコアだったワケだが、このコアそのものは3GHzの壁を超えることができず、それ以上のパフォーマンスを発揮する事ができなかった不運のCPUである。
このアーキテクチャを内包したのがPXであり、IBMとしてはその後の発展が見込めなかったPowerPC 970FXを上手く廃品活用した…といえば言葉は悪いが、コンシューマ機に搭載する事で、その性能を上手く利用する事にした、という背景なのかもしれない。
どちらにしても、ライバルであるPS3が搭載したCell Broadband Engineと張り合うに十分な性能と言えるCPUを搭載していた。Cell Broadband Engineは、その独特なヘテロジニアス(異種混合)コアの使い方の難しさ故に性能を引き出すのが難しかったという事もあって、初期はXbox360の方が高度なゲームが発売される事もあり、実に良いライバルだったように思う。
名作も生まれた
Xbox360の最大の名作といえば…私の場合、やはりTHE IDOLM@STERを避けて通れない。
もともとアーケードゲームだったものをXbox360版として再構成して発売された本ゲームは、その後10年続くビッグシリーズとなった。
当時、どうしてPS3で発売しなかったのだろう…という思いもあったのだが、おそらく開発の容易さという面でXbox360が選ばれたのではないかと思う。
このTHE IDOLM@STERがあるからこそ、その後のTHE IDOLM@STERが存在するのであり、後に発売されたLive for Youもまた同じである。
ただ…当時私はTHE IDOLM@STERにそこまで思い入れなどなかったのだが、起点はXbox360にあるという情報ぐらいは知っていたワケで、興味のない私であっても知っているほど、有名な話であるという事である。
他、Haloなども名作名高いタイトルである。
基本的に洋物ゲームが多いイメージだが、それは流石にMicrosoft製コンソールだからかもしれない。
ただ、当時個人的に私がXbox360の気に入らない部分が一つあった。
それはXbox Liveというネットワークサービスで、有料でないとネットワーク経由のゲームやサービスが受けられなかった。
対するPS3はSCEがログインサーバを用意し、ゲームそのものはメーカーがサーバを用意し運用していた(らしい)事から、ネットワークサービスが無料だった。
この違いでXbox360は国内で受け入れられにくいんだろうな、と思っていたが、PS4になった現在は、基本PS Plusに加入する事を推奨していて(絶対ではない)、結果SCEも同じ道を辿った事を考えれば、Microsoftの方が時流に乗っていた、という事が言えるかも知れない。
何はともあれ、Xbox360は一時代を築き、生産が終了した。
Xbox Oneは残念ながらハードウェアとしてPS4と比較すると確実にスペックは下回るが、それでもWindows10との親和性などを考えると、まだまだ伸びしろのあるハードである。
PS4もVR用外部デバイスが発表され、またその流れでPS4 NEOという高性能版が噂される状況となった。
そう考えれば、Xbox Oneもまた、今とは異なる展開になっていくかもしれない。
どちらか一方が独り勝ちする世の中は競争概念がなくなる為、あまりよろしくはない。
今後の発展に期待したいところである。