iPhoneより盛り上がる異様な発表会。
新型iPad Pro
今回のAppleの発表会では、どの製品も注目される製品ではあるのだが、iPad Proの発表は結構衝撃的だったのではないかと思う。
今回のiPad Proから、遂にホームボタンがなくなり、FaceIDが搭載され、全面ディスプレイと変化した。
11インチモデルと12.9インチモデルが存在し、メモリは64GBから1TBまで4種がそれぞれ存在する。またそれに合せてCellularモデルもあるので、総計すると16モデルが存在する事になる。搭載されるFaceIDによるノッチはなく、本体の狭いベゼルに何とか収めた事で、全面ディスプレイという特徴的なスタイルを確立した。
また、筐体スタイルも一新され、iPhone4以降に採用されたソリッドなデザインへと変化した。この変化になった最大の理由は新型のApple Pencilとも関係があるようだが、もちろんそれだけではないと私は見ている。先程のFaceIDのユニットがベゼル幅に収まったのは、このソリッドデザインの恩恵と言えるからだ。そのApple Pencilだが、従来モデルのようにLightning端子によって充電する方式から、マグネットによって本体に吸着した際に無線充電するスタイルへと進化した。これにより、充電しわすれもなくなるだけでなく、本体に磁力で張り付くので、収まりも良い。ある意味、最大の改良点である。ちなみにこのApple Pencilだが、円筒形デザインでなくなり、一面をフラット面にし、そのフラット面にはタッチセンサーを内蔵している。そのタッチセンサーでペンと消しゴムを切り替えたり、アプリによっていろんな機能が割り当てられると思われる。
話を本体に戻すが、本体はより薄くなった。12.9インチモデルは従来モデルよりも1mmも薄くなり、46g軽くなった。ベゼルが狭くなったおかげで全体のサイズもかなりコンパクトになったのも大きい。見た目に大きな変化があるので、進化の度合いがより強調されていると言える。
また、今回のモデルからイヤホンジャックがなくなり、Lightning端子がなくなりUSB Type-C(USB3.0 Gen2対応)に切り替わった。これにより、SDカードとのやり取りは今までより安安くなったと言える。
そして中身についてだが…搭載されるコアはA12X Bionicコアへと変わった。A12 Bionicは高性能コア2つ+高効率コア4つという構成だったが、A12X Bionicは高性能コア4つ+高効率コア4つというオクタコアへと進化した。また、A12 Bionicでは4コアだったGPUが7コアへと増量され、グラフィックパフォーマンスが2倍に高速化した。当然、ニューラルエンジンも搭載しているので、Apple製コアとしては現時点で最強のコアを搭載したと言える。
搭載した液晶パネルは解像度こそ同じだが、Liquid Retinaディスプレイと名前が変わった。もちろん名前だけが変わったわけでなく、角丸液晶なので使用しているパネルそのものも違うが、120Hzリフレッシュレートにも対応している。
こうして見ると、この新型iPad Proはハードウェア的な弱点は今の所ほぼない。あとはiOS側でどのような事を可能にするか? といったところで、このデバイスが大成功するかどうかが決まるように思える。
MacBook Air
前モデルがディスコン扱いとなると言われていたMacBook Airが、Retinaディスプレイ搭載で復活した。
発売されるのは13.3インチの1モデル構成で、他モデルは存在しない。もはやiPad Proに移行しろとAppleが言っている様な流れではあるが、それでもMacBook Airを求める声が強いために1モデル残した…そんなところだろうか?
搭載されるコアはIntel第8世代Core i5で、SSDの搭載量やメモリはBTOで変更できる。
Force Touch対応のトラックパッドを装備し、電源ボタンにTouchIDが搭載されるところが従来と異なる部分。TouchIDは今までMacBook ProのTouch Bar搭載機にしかなかったものだが、TouchIDを搭載した事でセキュリティ向上を狙ったとみられる。
特筆すべきは、USB Type-Cを2ポート搭載するという事でなく、この端子は同時にThunderbolt3に対応しているという事。これで外付けGPUの利用が可能となり、4Kモニタを2枚接続できる事になる。
そしてこれは残念な部分だが、搭載されるCPUは若干グレードダウンになるかもしれない。
というのは、第8世代コアへと進化した代わりに、クロック周波数が1.8GHzから1.6GHzへと低下した。Appleが公表したわけではないが、このクロック周波数から考えるとTDPが15WのUプロセッサからTDP 5WのYプロセッサへと変更した可能性がある。もっとも、第8世代コアとなった事で4コア4スレッド動作へと変わった可能性もあるので、能力的には向上している…と思いたいところである。
4年越しの新型Mac mini
ある意味、今回の発表の中で一番のトピックと思えるのが、新型Mac miniである。
第8世代Core i3からCore i7を搭載可能となったMac miniは、前モデルと比較して5倍は速くなったという。
BTOで構成を変えられるため、その構成によって性能は大きく変わる。最大6コアのCore i7を搭載可能なので、デスクトップマシンとしてもかなり高性能にする事が可能となる。
インターフェースとしては、USB Type-C(Thunderbolt3兼用)を4ポート、USB(おそらく2.0)を2ポート(キーボード、マウス用と思われる)、HDMI2.0を1ポート、ギガビットLANを1ポート、3.5mmヘッドフォンジャックを1ポートと、背面に装備している。
Thunderbolt3が4口あるので、新型MacBook Airと同じく外付けGPUに対応する事が可能となり、より汎用的に使って行く事ができるようになった。
これで筐体サイズは従来機種と全く同じ。実際には80gほど重くなっているが、気になるレベルの話ではない。
これで、iMacはイヤだけどMac Proは買えないしどうしろっていうんだという人も安心してMac miniに飛び込んでいけるのではないかと思う。
但し、今回のMac miniで最強BTOを組もうとしたら46万円超えとなるので要注意である。
iPad Proの動向が気になる
今回のApple Special Eventでは、やはりiPad ProがノートPCキラーとして確立できるかが全てではないかという予感がしてならない。
その性能もとんでもない高性能になった事もあるが、ノートPCと渡り合えるだけのハードウェア性能は身に付けたと言える。
しかし、実際の現場ではiPadよりもSurface Proの方が使えるという声が強いのもまた事実。要するに、Windows10というOSの「何でもアリ感」が圧倒的な強さなのではないかという事である。
折角ハードウェアで圧倒的な性能を持たせたのである。後はこのハードを存分に使えるOSとしてiOSを進化させれば、状況は一変すると言える。
実際、Adobeは新型iPad Pro用にPhotoshopを進化させたようで、Event内で使われていたPhotoshopのサンプル画像では、解像度12,000×12,000でレイヤーの枚数が100枚を超えていたという。通常、これだけの処理をデスクトップPCにやらせても相当重い処理といえるわけで、それを可能にしてしまったiPad Proの性能はズバ抜けていると言える。
なので、あとは業務でどれだけ新型iPad Proが使えるか? が問われるだけだと思う。
趣味で使うレベルであれば、もう文句の付けようはないレベルにあると断言できるが、業務で使うとなると性能だけでは判断できない。旧来からのソフトとの互換性、連携のしやすさ、データのイン/アウトのしやすさが問われる。
このポイントを押さえてしまうと、もう通常のノートPCは不要になるかもしれない。
ノートPCに必要なものは、マルチタスク性能ではなく、シングルタスクであっても従来ソフトとの互換性と連携、そしてデータのイン/アウトのしやすさ、そして現在のタスクの処理能力の高さなので、処理をするコアがx86ベースであろうとARMベースであろうと関係ないのである。
そういう意味では今回のiPad Proの潜在能力の高さは言うまでもない。あとは環境が整うか次第であり、それはAppleを中心としたベンダー次第ではないかと思う。
個人的には手書きデバイスとして利用できるiPad ProがノートPCの代わりに成り代われるなら、それの方が良いと思っているのだが…。
自己レス。
どうも新型MacBook AirのCPUはIntel Core i5-8210Yではないかという予想。
こっそり、Intel ARKにその情報が掲載されている模様。
https://ark.intel.com/compare/189912,185280,185281
これによると、比較対象としては8200Yと8500Yが考えられるわけだが、8210YはTDPが7Wと、ファンレスを想定しているYシリーズとしては高めの設定。搭載メモリのクロックを含めて、動作クロックを相当に引き上げている感じ。
性能的には…Retinaディスプレイを採用している分、ビデオ周りで高性能化しているという感じではなかろうか?
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