いよいよ、というか、やっと登場した感じのあるOLYMPUS PENシリーズのフラッグシップモデル、それが“OLYMPUS PEN E-P5”である。
前機種であるE-P3が登場したのが2011年7月だから、2年越しのフラッグシップ更新という事になる。搭載されているセンサーは、姉妹機のOlympusのマイクロフォーサーズカメラフラッグシップであるOLYMPUS OM-D E-M5と同じ1,606万画素のものとなり、他にも画像処理エンジン“TruePic VI”や薄めのローパスフィルターを使用して解像感を高めるファインディテール処理などを引き継いでいる。これによって画質面ではE-M5と同等になったと言えるだろう。
詳しい説明は以下を参照してほしい。
impress デジカメWatch
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/20130510_598826.html
今回のE-P5で私が感じた事は、上手い内部構造の稼ぎ方をしたな、というもの。
今のカメラは、撮影したGPS情報を画像に入れるためにGPS等を内蔵するのが普通なのだが、そのGPS機能を内部に持たず、Wi-Fi機能で外部と連携したスマートフォンのGPSを利用し、画像にその情報を書き入れるという方法を採った。
これはある意味正しい使い方というか、あるものを最大限利用しようというスタイルで、個人的には好感度が高い。
というのは、徐々に高密度化するデジタルガジェットは、単体だけでものすごい高機能なものへと進化しているが、どれもが単体で高機能化し、気がつけば複数のデバイスで重なる機能を持ち歩いている事が多い。それなら、その機能を他の機器と連動させ、その分デバイスを軽くしたり小さくできる方がメリットがある。E-P5はまさにその使い方を実践したものと言える。
Wi-Fiでスマートフォンと連動した機能として、E-P5のライブビューをスマートフォンで見ながら撮影できるという機能もオモシロイ。しかもスマートフォン側でピントを合わせ、シャッターを切る事もできるというから、もはやスマートフォンがデジカメのEVF(意味は違うが)という感覚だ。
それと、今回のE-P5は、ミラーレスでは最速の1/8,000秒というシャッター速度を実現している。
前機種のE-P3やE-M5では1/4,000秒であった事を考えると、更なる進化がここで見て取れる。
また従来よりもピンポイントに合わせることができるスーパースポットAFが用意された。14倍の拡大表示時で、画面対角の1/70のサイズのAF枠を利用できるのだが、このAFについては個人的にはちょっとガッカリしている部分もある。
それは他社が位相差AFを部分的に取り入れて高速AFを実現している所を、コントラストAFで常に追いかけ続けるという姿勢を崩していないという事。別にそれだけの性能が得られていれば問題がない、と言ってしまえばそれまでなのだが、どうも安心感として位相差AFの方が私は安心できる。
今のコントラストAFは位相差AFに匹敵するだけの高速性と確実性があるのだろうか?
この辺り、実際にE-P5のレビューがサイトにで始めたなら、確認していきたいところである。
実際、性能差がないというのなら別に問題にはならないのだが。
ここまでの進化を見ると、マイクロフォーサーズフラッグシップであるOM-Dの次世代機が気になってくる。センサーがさらに高密度化するのか、それとも
シャッター速度がさらに速くなるのか、またAFに位相差AFが追加されるのか等々、ステップアップ技術が気になってくる。
E-P5ぐらいになると、OM-Dと比較して機能として差がほとんどなくなってくる。どちらが上位かといえばOM-Dだが、PENとOM-Dはもはやカメラライフの違いによって選択する時代になったのだろうと思う。
EVFファインダー内蔵のOM-Dはカメラマニア向けだろうし、PENはもっとカジュアルにデジカメと付き合いつつも、その中に拘りがある人向けという立
ち位置だと思う。もっと手軽にカジュアルに使いたい人は、E-PL6がE-P5とほぼ同時に登場するため、そちらがお薦めになる。
マイクロフォーサーズという規格の中で、うまい棲み分けになっているとは思うが、PENのE-P5とOM-DのE-M5は機能としては横並びだけに、ライフスタイルの違いによる選択がもっともシックリとくるだろう。
カジュアルと言えば、Canonからも新しい使い方を提示するコンパクトデジカメが発売されたが、このE-P5はカメラの正統進化の過程でスマートフォン
を利用した新しいスタイルを提示するという方向のカメラになったと思える。いわばカジュアルだけれどどこかにマニアックな所を残し、カメラをより意識する
スタイルを確立しているように思う。ただ、どちらにも言えるのは、デジタルカメラというハードウェアよりも人々はそれらで撮った写真をどう使うかという、
方向にシフトしているという事。
ここからどのように広がっていくかは分からないが、よりカジュアルに向かうのがCanonの方向だとすると、E-P5の方向はもっともっとニッチな方向ではないかと思う。
そう考えると、E-P5は懐古主義を持ちつつも今のデジタルによる利便性をオモシロイ形で使いたいという実に稀な方向にに舵取りしたように思う。
…実に私向きなスタイルだ(爆)