特別モデルが発売される。
Ryzen 7 2700X Gold Edition
今年、AMDは晴れて50周年を迎える。
それに併せ、AMD 50周年記念モデル「Ryzen 7 2700X Gold Edition」が発売された。店頭価格は約38,000円(税別)で、通常モデルよりも価格は高いが、ノベルティなどの特典が付属している。また、ヒートスプレッダ表面にCEOであるLisa Su氏のサインが刻印されているのも特徴となっている。ちなみに性能だが、Intelの時のCore i7-8086と異なり、通常販売品のRyzen7 2700Xと全く同じ仕様になっている。ここは選別品を採用して多少なりクロックアップ等して欲しかったところである。
また「Ryzen 7 2700X Gold Edition」にはCPUクーラー「Wraith Prism」が付属するが、これも通常モデルと同じである。
この50周年記念モデルの発売に合せ、AMD指定のRyzenやRadeonシリーズを購入した人にゲームソフトを2本プレゼントするキャンペーンが4月29日から始まっている。当然、本モデルも対象であるため、ゲーム2本分の価格だけ安い、という言い方もできなくはない。
…まぁ、通常品でもゲームソフトが付いてくるのだが。
AMD 50周年記念サイト
https://www.amd.com/ja/events/50th-anniversary
何だコレは?
で、このAMD 50周年記念モデルの事をいろいろとネットで検索すると、赤い筐体に包まれたRadeon VIIの姿を見つけることができた。
一体コレはなんだ?
wccftech
http://j.mp/2L8rapc
上記サイトを見てみると、どうも50周年記念のRadeon VIIなるものが海外で出回るらしく、赤い筐体をしているらしい。
性能的には通常のRadeon VIIと全く同じとの事だが、特別感満載なモデルが欲しいという人は個人輸入に頼って頑張ってみるのも手かもしれない。
AMDにとっての平成
平成最後のネタが、AMD 50周年記念の話となった。
よくよく考えて見ると、平成という時代はAMDにとって結構苦難な時代だったのではないかと思う。もちろん苦難だけではないのだが、長きに渡る苦難を味わった時代と言えるのではないだろうか。
1991年、AMDはAM386という80386互換32ビットCPUを発表した。ここからK5、K6と次々とx86互換CPUを発表していくワケだが、1999年6月、ある意味Intelを初めて超えたCPUである“Athlon”を発表した。その翌年にはAthlonは1GHzのクロックの壁を突破し、その3年後である2003年にはAMD64という64ビットCPUを一般化させるに至った。
その後“Athlon64”“Opteron”と快進撃を続けたが、これはIntelがPentium4やPentium Dといった、とにかくリーク電流に悩まされる時代へと突入した事が幸いしたのもあり、時の勢いはまさしくAMDが握っていた。
しかし、AMDの苦難はここから始まる。
IntelがCore2へとアーキテクチャを変更した時代から、その様相は変わっていく。
“Centrino”という、Core2 CPUやチップセット、無線LANなどの技術を1つに纏めたパッケージを採用したベンダーにIntelが補助金を出したあたりから、AMD製品はあまり売れない方向に流れていった。
そして今にしては残念だったBulldozerアーキテクチャを採用したCPUへと移行した時から、AMDのCPUはIntelの圧倒的なワットパフォーマンスに後れを取るようになった。
APUというGPUを内包したCPUは、そのGPU能力からまだ救いようがあったが、ハイエンド市場でのCPUの勢いは地に落ちたとさえ言えた。
そして今から2年前、遂にAMDは復活を果たす。
Zenアーキテクチャを採用したRyzenを発表し、今まで圧倒的な差を付けられていたIntelアーキテクチャと互角の勝負ができるようになった。
マルチコアでの戦いではIntelを超える勢いすらある状況である。
こう考えると、令和という新時代はAMDにとっては新しいまだまだ伸び代のある時代になるような気がする。
NVIDIAとの差をつけられてしまったGPUも、Naviアーキテクチャが登場すれば、幾分かは状況が変わるかも知れない。まさしくAMDの令和初の新アーキテクチャである。
と言うわけで、令和という時代の最初の頃は、AMDにとって明るい話が多いような気がする。
CPUはIntel一強、GPUはNVIDIA一強という時代が完全に終わりを告げ、選択肢が増える時代…それが令和であると声を大にして言えたなら、PC業界はもっと明るくなるんじゃないだろうか?
ぜひそんな時代がやってくる事を祈りたい。