ネックバンド型ノイズキャンセルイヤフォンの頂点か。
QN1、再び
ソニーがネックバンド型Bluetoothイヤフォン「WI-1000XM2」を発表した。
欧州での販売発表が先行し来年1月に発売するとしたが、日本国内は発表こそ欧州より遅れたが発売は年内の12月7日となる。
価格はオープンプライスで、店頭予想価格は35,000円前後。カラーはブラックとプラチナシルバーの2色展開となる。
密閉型ヘッドフォンである「WH-1000XM3」と同じQN1という高音質ノイズキャンセリングプロセッサを搭載し、イヤフォンに搭載したフィードバックフォワードマイク、フィードバックマイクからの騒音をQN1で処理し、高精度な逆位相の信号を発生させてノイズキャンセルを実現する。
このQN1というプロセッサは実に万能で、音質向上にも使われている。ノイズを分析して逆位相信号を生成し、ノイズキャンセルを実現するだけでなく、その逆位相成分と音楽データをミックスし、32bitで高精細に処理をして音質向上を実現するだけでなく、QN1には低歪率かつ高SN比のDACと高品位なヘッドフォンアンプも内蔵し、それらを組み合わせて利用する事で音質向上を図っている。
また、イヤフォン部は従来モデルと同じHDハイブリッドドライバーを採用し、9mのダイナミック型とバランスド・アーマチュア型を組み合わせたドライバを搭載している。高音はバランスド・アーマチュア型、低音はダイナミック型で再生する事で、高域から低域までをカバーする。
それと、ハイレゾ以外の音楽を再生する土岐も、ハイレゾ相当までアップコンバートして再生する「DSEE HX」機能を従来機器から継承する。
全方位に対して機能を洗練させた製品ではないかと思う。
aptX系には対応しない
「WI-1000XM2」のBluetoothコーデックは、SBC/AAC/LDACに対応し、aptX/aptX HDは非対応となった。何故今回の製品に関してaptX系が非対応になったのかは分からないが、本格的にLDACの普及に踏み切ったのかもしれない。
連続再生時間はNC ON時では最大10時間になる。その時の充電時間は約3.5時間で、10分で80分の利用が可能な急速充電機能を持つ。充電用の端子はイマドキのUSB Type-Cになる。
その他、重量が71gから58gへと軽量化し、ネックバンドはシリコン製に変更された。イヤーピースは角度がついたアングルドイヤーピースとなり、装着性は向上した。
大凡の製品改善は行われているが、やはり一番大きな問題はaptX系コーデックに対応しなくなった点だろう。
スマホとの接続を考えると、iPhone勢には何ら困らない話だが、Android勢はLDACに対応していなければSBCでの接続となるので、ここに難色を示す人が現れる事が予想できる。
ライバルはWH-1000XM3
この「WI-1000XM2」は、QN1を内蔵したという事で、ライバルは自社の「WH-1000XM3」になるとメーカーは言っている。
密閉型をライバル視するという事自体、この製品そのものに相当な自信がないと言えない事ではあるが、少なくともノイズキャンセル能力に相当な自信がある、という事は間違いなさそうである。
おそらく、ノイズキャンセルという機能においては、ソニーは第一級の技術を持っているとは思うが、こうした製品はノイズキャンセル性能だけで最終評価はされない。
先日、このBlogでも紹介したが、Noble AudioのFALCONはノイズキャンセル機能はないものの、左右独立型イヤフォンとしての性能は高いと評される製品である。
結局は、耳での聞こえ方が全てであり、そこにノイズが乗らないようにノイズキャンセル機能を持たせたというだけでは、良い音を聴いている、という事にはならない。
また、デジタル的な処理での性能向上には残念ながら限界もある。構造そのものが優れていないと、最終製品としての仕上がりは評価されないので、そういう面も含めてライバルを「WH-1000XM3」にしているのだとしたら、それはスゴイ事だと言える。
私が思うに、おそらく最終的な性能はやはり「WH-1000XM3」が一つ抜きん出ると思う。
これは構造上の問題であり、設計自由度の差でもある。
ただ「WH-1000XM3」に肉薄しているというだけでも「WI-1000XM2」は相当に高性能と言えるのではないだろうか。
左右完全独立型、オーバーヘッド型、そしてネックバンド型等々、音響製品も形態がいろいろあるし、製品数も出そろってきた感じがある。自分にあった高性能品を見つけることができれば、その性能で不満が出る事は最近の製品にはないだろう。