今日はちょっといつもと違った方向性で。
バイノーラル音源用?
2019年の夏ごろに、コアゲーマーの間で密かに流行となったイヤフォンを2019年内に紹介しておこうと思う。
いつも、私はモニター系のヘッドフォンやイヤフォンを紹介する事が多く、いわゆる一般的な音楽で最適解な音を得られるようなものを紹介する事が多いが、今回紹介したいイヤフォンはそういった一般的なモノというよりは、ものすごく偏った方向性を持つものになる。
しかも、今流行りのワイヤレスとかそういうのでもなく、単純な2ch用の有線イヤフォンである。
何故イマドキ? と思われるかも知れないが、それはこのイヤフォンの用途がほぼ偏った目的に最適化されているからである。
製品名はfinalの「E500」、VRやASMRに用いられるバイノーラル音源を再生する事に特化したイヤフォンである。
finalというメーカーから出されているイヤフォンとしても、いろんなタイプのイヤフォンがあり、それぞれ特徴があるのだが、今回はEシリーズの最廉価版であるE500をチョイスしているのは、コイツの価格が2,000円台だからである。
この価格でこの性能は正直ぶったまげる製品である。
スペックを見てもわからない
このE500だが、スペックを数値として見ても、そう大したイヤフォンには見えない。
6.4mmダイナミック型ドライバーを持ち、感度は98db、インピーダンス16Ωと、コレといって特別感を感じるスペックではない。
ケーブルはOFCブラックケーブルとなっているが、本体から外せるようになっているワケでもない。なので正直言って、格安イヤフォンの定番的な構成でしかない。
ただ、唯一違うのは、低価格であっても包装はちゃんと丁寧にされていて、そのあたりが一般的な格安イヤフォンとは大きく異なる。メーカーの意地ともとれる要素である。
しかし、このE500をひとたびバイノーラル音源に使ってみると、その価格の安さはぶっとぶ。
音の定位というものがどういうものを言っているのかがよくわかるのである。
音の距離、位置、周囲の材質の硬さ、そういった音の反射など影響を受けるものがどういう状態なのかが耳を通してよく分かるのである。
もちろん、そうしたバイノーラル音源に使わず、普通のオーディオ再生に使ったとしても、この特性が邪魔をする事はない。解像度、分離感なども申し分ないもので、ちょっとモニター系の音に感じる側面すら持ち合わせている。
しかしイヤフォン自体がバイノーラル音源に特化している為、多方向の音が混ざって全体の音が一斉に寄ってくる感覚があるため、それを聞き分けられれば、という条件が付く。
なので本家モニターヘッドフォンと比較すると、本当の意味での解像感は届かない。これはドライバーユニットの差で、E500はイヤフォン内の構造で音を粒だったものにしているからと言えるかも知れない。
購入する意味
こうした特性があるE500を、ゲームで使うとどうなるかというと、特にFPSなどでその効果がよく分かる。
音の方向感がハッキリしている為、今正に注視している方向の音はハッキリ聞こえるものの、その逆側からの音が気にならなくなる。ようするに、没入感をより際立たせた方向性と言えよう。
十分な音圧もあり、視角情報から入ってくる音を明確にするのだから、たしかにVR向きといえるかもしれない。
と、結構私としてはベタ褒めしているE500だが、それはあくまでも価格が2,000円台だというところに起因している。
もし、今使っているヘッドフォンが1万円以上クラス、もしくはもっと上のクラスなら、あえてE500を選択する意味はないと思う。
私はAKGのK702を使用しているが、こいつの価格が安い所で買えば16,698円くらいで購入できるが、こいつと比較したならは、間違いなくK702の方が良い音に聞こえると思う。
私の場合、このK702をさらにリケーブルしているので音としてはさらに上を行く(と思っている)。
なので、今使っているヘッドフォンが5,000円クラス以下だという人であれば、一度E500を聞いてみる事をお薦めしたい。7,000~8,000円クラスの人でも、一度聞いてみて判断するのもいいかもしれない。
E500は、間違いなく価格的にそぐわない音を出すイヤフォンであり、クラス超えをしている製品になるが、過度な期待が出来る製品でもない、という事は最後に言っておく。
ま、VR用として1本購入しても損をする価格でもないので、お試しにどう? という感じである。
final
https://snext-final.com/products/detail/E500